ニュースリリース
株式会社リコー(社長執行役員:山下 良則)、エリクサジェン・サイエンティフィック(米国メリーランド州ボルチモア)の2社は共同で、iPS細胞(人工多能性幹細胞)*1から分化*2させた細胞を用いた創薬(新薬開発)支援のバイオメディカル共同事業を行うことで合意しました。リコーはエリクサジェン・サイエンティフィックに出資し、34.5%の株式を保有しながら北米を中心に事業を開始します。iPS細胞由来の細胞製造販売、細胞を播種*3した細胞チップ*4の製造販売、受託評価サービスによる新薬開発支援などの創薬事業を拡大し、iPS細胞を用いた革新的な創薬を実現していきます。
エリクサジェン・サイエンティフィックは、iPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)*5をさまざまな細胞へ分化誘導が可能な独自のQuick-Tissue™技術*6を有しており、この技術によってiPS細胞・ES細胞から直接、非常に高速な10日以内での高効率かつ均質な細胞分化を実現しています。この分化誘導技術によって作成された細胞は、成熟な細胞*7に近い機能や反応を示し、かつ疾患iPS細胞*8から分化された細胞では疾患特有の表現型を示すことがこれまでにわかっております。一方リコーは、40年以上培ったインクジェット技術を応用して、細胞を高い生存率かつ1個単位で精密に配置を行うことのできるバイオプリンティング技術を有しています。両社の2つの技術を組み合わせることで、例えば複数人のiPS細胞由来の細胞をワンチップ化した細胞チップを高効率に製造することが可能となります。この細胞チップを用いると、臨床試験を行う前に複数の人に対する薬剤の効果を一度に検査できることが期待されます。新薬の開発(創薬)において、候補薬の選別(スクリーニング)の精度を向上させることができるため、創薬プロセス全体での効率向上も見込まれます。
リコーとエリクサジェン・サイエンティフィックはこのバイオメディカルの共同事業を、2025年度までに売上200億円の事業に成長させることを計画しています。
リコーは、高齢化社会への対応、医療費削減、地域間の医療水準格差解消などが求められるヘルスケア分野を、社会課題の解決に取り組む分野の一つとして位置付け、2016年に事業参入することを決定しました。ヘルスケア分野については、「ヘルスケアソリューション」、「メディカルイメージング」、「バイオメディカル」の3つの領域を重点領域としています。すでに、統合医療介護連携システムなどの「ヘルスケアソリューション」領域、脳磁計などの「メディカルイメージング」領域で事業を開始しています。リコーは今までも「バイオ3Dプリンター」「DNA標準プレート」などの技術開発を行っていましたが、本合意によって「バイオメディカル」領域にも事業参入します。
エリクサジェン・サイエンティフィックは、米国メリーランド州ボルチモアのジョンズ・ホプキンス サイエンス+テクノロジーパークにある幹細胞技術に特化したバイオテクノロジー企業です。幹細胞関連産業においては、iPS細胞・ES細胞から特定の細胞への分化誘導に掛かる期間の長さと、その非効率性が高コストという課題の要因になっています。エリクサジェン・サイエンティフィックは、分化誘導にかかる期間を1週間程度まで短縮する技術の商業化に成功しています。
リコーグループは、オフィス向け画像機器を中心とした製品とサービス・ソリューション、プロダクションプリンティング、産業用製品、デジタルカメラなどを世界約200の国と地域で提供しています(2019年3月期リコーグループ連結売上は2兆132億円)。
創業以来80年以上にわたり、高い技術力、際立った顧客サービスの提供と、持続可能な社会の実現にむけて積極的な取り組みを行っています。
EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES - 人々の"はたらく"をよりスマートに。リコーグループは、さまざまなワークプレイスの変革をテクノロジーとサービスのイノベーションでお客様とともに実現します。
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