ニュースリリース
理化学研究所(理研)光量子工学研究センター画像情報処理研究チームの大山 慎太郎客員研究員、辻村有紀テクニカルスタッフⅠ、横田秀夫チームリーダー、技術基盤支援チームの山澤建二副チームリーダー、株式会社リコーの渡邉政樹スペシャリストの共同研究グループは、患者の骨の内部を含む欠損部位の形状を再現した「人工骨」を「3Dプリンター[1]」技術により製造する手法を開発しました。
本研究成果は、骨に関わる疾患の早期治療や患者の生活の質(QOL)向上に貢献すると期待できます。
今回、共同研究グループは、BJ(Binder Jetting)方式[2]をベースに、α-リン酸三カルシウム[3]の粉末に対してエチドロン酸などの新しい凝固インクを用いた粉末積層装置により、人工骨の3次元造形手法を開発しました。本手法は、3Dプリントしてすぐに使え、高強度で高い骨置換性[4]を持つ3次元造形人工骨を造形することができます。作製した人工骨の生体適合性を、培養環境下での培養細胞の増殖率と動物への移植実験の組織観察により調べたところ、良好な細胞の増殖率に加えて、速やかに本来の骨組織に入れ替わることを確認しました。これは、骨本来が持つリモデリング機能を阻害しない良好な人工骨であることを示しています。
本研究は、米国アトランタで開催されるSociety For Biomaterials' 2018 Annual Meetingにおいて研究成果の発表(4月11日および13日付け:日本時間4月12日および14日)を行います。