株式会社リコー(社長執行役員:大山 晃)は、独立行政法人国際協力機構(JICA)の2020年度第二回公募で採択されたフィリピンの非電化地域で働く現場のデジタル化を目指した案件化調査を完了し、株式会社PFU(代表取締役社長:村上 清治、以下PFU)と共同し、現地での実証検証フェーズに移行した事をお知らせします。
この案件化調査では、フィリピンの非電化・電力不十分地域において、3Dプリンターを使った独自形状の羽を用いた小水力発電(3Dピコ水力発電*1)システムで電力を供給し、農業・教育に従事する人々に対してデジタルを活用した働き方を推進するパッケージをワンストップで提供する事業の可能性について調査しました。新規事業の創出に向けた当社のアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」で活動する社内チーム「WEeeT-CAM(ウィットカム)」が2020年にJICAに提案、採択され、2024年に完了報告したものです。
本調査の結果、現地フィリピンでの農協や教育施設の実施検証先が複数決定しました。特にPFUと連携して取り組む同社のスキャナーを活用した実証検証では、ルーティンで人の手が多くかかる部分をデジタル化し、生まれた時間でより創造的な仕事に注力していく新興国での地域全体のDXを促進するWin-Winのビジネスモデル構築の可能性を見出しました。今後、現地特有の課題発見や地域ごとの差を学びながら3Dピコ水力発電の設置とのパッケージ提供を「LIFEPARTS(ライフパーツ)」サービスとして検証してまいります。
フィリピンにおける農業と教育の現場では、人口増加にもかかわらず、中間層の存在が稀薄で、生産性向上と収益拡大が課題となっています。リコーは、デジタルサービスを通じて現地の人々の“はたらく歓び”を最大化するための新たなイノベーションを促進し、事業を通じたSDGs達成に貢献してまいります。
PFUが開発・製造するイメージスキャナー「ScanSnap iX1600」、「ScanSnap SV600」を活用した実証検証では、以下のような成果が確認されています。
農協のメインオフィスにおいて、経理業務を電子化し、従来人の手で行っていた膨大な処理をスキャナーで簡素化することで、月間26時間相当の作業時間削減を実現しました。さらに、ペーパーレス化により月間1.3kgの紙(A4用紙約260枚分*2相当)の使用量削減にも成功し、CO2排出量削減に貢献しました。「ScanSnap iX1600」では、スキャンした書類を顧客へ直接送信できるため、迅速な対応が可能になります。
実証検証が行われた小学校では、教員は教育事務所に報告書を紙とデータで提出する必要がありました。以前は、スキャナーを使うために、片道1時間半かけて町まで行き、さらに2時間かけてデータ化作業を行っていたため、毎週合計5時間もの時間を費やしていました。
小学校への「ScanSnap SV600」の導入により、原稿をそのまま置いて高速読み取りができるため、スキャン作業が大幅に効率化され、わずか1時間で作業が完了するようになりました。これにより、移動時間や費用が削減され、教員の負担が軽減。空いた時間を授業準備や書類作成に活用できるようになり、教育の質の向上にもつながりました。
リコーグループは、お客様のDXを支援し、そのビジネスを成功に導くデジタルサービス、印刷および画像ソリューションなどを世界約200の国と地域で提供しています(2024年3月期グループ連結売上高2兆3,489億円)。
“はたらく”に歓びを 創業以来85年以上にわたり、お客様の“はたらく”に寄り添ってきた私たちは、これからもリーディングカンパニーとして、“はたらく”の未来を想像し、ワークプレイスの変革を通じて、人ならではの創造力の発揮を支え、さらには持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
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