この制度は今後の認証取得製品分野の拡大を踏まえ、より多くの認証申請に効率的に対応していく必要がありますが、下記のような課題がありました。
認証取得プロセスには、申請者・評価機関・認証機関(IPA)の3機関が関係しますが、これまでは各機関の独立性の観点から、認証取得プロセスの進捗状況が相互に非公開であったため、様々なフェーズで発生する各プロセスの遅延状況の把握が遅れ、高い精度でリソースの配置や管理ができず、全体スケジュールに影響が出てしまっていました。
上記課題に対する制度改善の一環として、IPAにより、リコーのデジタル複合機の認証プロジェクト2件(認証番号C0286およびC0299)が改善のパイロットとして選定されました。そこで、リコーは、株式会社電子商取引安全技術研究所(評価機関)と共に、2010年9月15日から2011年8月10日にかけて、スケジュール可視化の取り組みに協力を行ないました。
申請者、評価機関、認証機関で相互にスケジュールおよび進捗状況を情報共有し、各フェーズで発生し得る遅延リスクを早い段階で明確にしました。これにより事前スケジューリングやリソースの最適配置等の適切な対応が取りやすくなり、遅延の発生に対して全体スケジュールに与える影響を最小限にできることを確認しました。また可視化された情報の分析結果を、同時期に評価・認証を行っていたリコーの他案件にフィードバックすることで、よりスケジュール管理の精度を高められることも確認しました。
結果として、パイロットプロジェクトでは当社比で10%期間短縮でき、また遅延リスクの分析が行なえることで次の案件にフィードバックすることができ、認証取得プロセスの改善が行なえました。
今後は、適用対象プロジェクトの横展開を視野に入れた取り組みがIPAで予定されているため、引き続き制度改善に対する取り組みに協力していく予定です。