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お知らせ

技師長の平倉浩治が2010年の ヨハネス・グーテンベルク賞を受賞

世界初の「4ドラムタンデム方式
デジタルカラーレーザー電子写真システム」の開発

2010年9月30日
株式会社リコー

リコーの理事であり、研究開発本部とMFP事業本部の技師長である平倉浩治が、IS&T(Society for Imaging Science &Technology:国際画像学会)より、2010年のヨハネス・グーテンベルク賞を受賞しました。9月22日、米国で開催の同学会の主要な年次大会であるNIP26(The 26th International Conference on Advances in Non-Impact Printing Technologies)の席上で表彰式が行われました。

ヨハネス・グーテンベルク賞は、プリンティングに関する科学、技術において顕著な貢献があった人を対象に、1987年より毎年、世界で1、2名に授与される栄誉ある賞で、米国ヒューレット・パッカード研究所がスポンサーとなりIS&Tから贈られるものです。

平倉は、1970年にリコー入社以来、一貫して電子写真技術の研究開発に従事。今回の受賞は、1980年代半ばから平倉が中心となり取り組んだ世界初の「4ドラムタンデム方式デジタルカラーレーザー電子写真システム」の開発が高く評価されたもの。現在、この方式はカラー複合機、カラーレーザプリンターやプロダクションプリンティングで各社の製品でも採用され、印刷技術の標準的方式として確立しています。

受賞の額と記念のメダルを手に、IS&T <br>President Dr. Rita Hofmannと共に<br>国際画像学会のNIP26/DF2010国際会議<br> (テキサス州オースチン)にて

受賞の額と記念のメダルを手に、
IS&T President Dr. Rita Hofmannと共に
国際画像学会のNIP26/DF2010国際会議
(テキサス州オースチン)にて

受賞の額と記念のメダル

受賞の額と記念のメダル

<世界初の挑戦:4ドラムタンデム方式の開発>

 電子写真方式のデジタルカラー複写機は1980年代後半から各社が製品化に向けた開発を行いました。当時の「1ドラム4サイクル方式」は、カラー画像を形成するのに、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)を4回の作像を順に繰り返して1枚のコピーを作成していたため、白黒複写機と比べて単純に4倍の時間がかかり極めて低速でした。リコーが開発した「4ドラムタンデム方式」は、4つのドラムで一度に処理することで約4倍の高速印刷を実現するものでした。このエンジンを採用したリコーのデジタルカラー複写機「ARTAGE 8000」(1990年に発売)は当時のカラー複写機で世界最高速となる毎分15枚(A4)を実現しています。この成果は、1991年のIS&Tの年次大会NIP7で報告され、リコーの技術力の高さは世界の注目を集めました。

「4ドラムタンデム方式」は、4色(CMYK)で構成されるカラー画像の高速印刷を実現しましたが、技術的なハードルは極めて高いものでした。平倉は、当時を振り返り、「4色を一度で処理できれば、印刷速度が4倍になることは自明でした。でも、単色の場合も変動が大きかった帯電、感光体、現像、転写などそれぞれのユニットの特性をいかに一致させるか、4ドラムシステムの見当ズレ(色ズレ)をいかに小さくするかなど課題は山積でした。しかも、機器の小型化も求められていました。」と語っています。しかし、リコーではこうした難しい技術課題に敢えて挑戦。「物理、化学、機械、電気、光学、レーザー、ソフトなど社内のさまざまな分野の技術者60~70名でプロジェクトを組み、日々喧々諤々の議論、開発、試作と実験を重ね、各種の電子写真プロセスコントロール技術も導入して、課題をひとつずつ克服していきました。多くの苦難がありましたが、誰もやらない困難な技術に果敢に挑戦したことが評価され今回の受賞につながったのだと思います。」

当時はまだカラー複写の需要は限られたものでしたが、リコーは業界に先駆けて「4ドラムタンデム方式」によるデジタルカラー複写機を開発し、その後のカラープリントの高速化と普及に大きく貢献しました。

なお、平倉は2008年4月より2010年3月まで日本画像学会の会長を務めました。