第117回定時株主総会質疑応答

*事業報告に関する複数の質問から、主な質疑応答の要旨を記載しています。

質問1

株主優待の内容を改善してほしい。また、配当金に関して、記念配当がありながら減配するというのはおかしい。リコーの株価は同セクター他社に比べて低迷している。

回答者

山下代表取締役

回答

株主優待については、株主様からの貴重なご意見として伺わせていただく。配当に関しては、業績の下方修正を反映し減配をさせていただいた。今後期待にお応えできるよう構造改革の断行と未来への投資を行い、業績達成することで株主様に報いていく。

質問2

経営システムの強化に関して、権限委譲に関する具体的な内容を教えてほしい。また、過去に御殿場工場を見学後、改善提案書を事業所長宛に送付したが満足な回答を得られなかった。他者の意見を素直に聞く姿勢が必要ではないか。

回答者

山下代表取締役

回答

権限委譲に関しては、事業区分を明確にし、各事業部長にこれまでよりも権限を委譲している。
また、商用・産業印刷はヨーロッパ、オフィスサービスは米国と、それぞれの先進地域に本部を設置し、現地の者を責任者に任命した。今後、お客様の近くで先進市場の動向がすぐ事業に反映できるように進めていきたい。
御殿場工場に関しては、回答が不十分であったことをお詫び申し上げたい。御殿場の拠点は、機器の量産工場から、2015年に環境事業・技術の開発を推進するリコー環境事業開発センターに変更した。現在、複合機の再生センターと、将来の環境技術を開発する役割を担っている。同センターを地域とともに発展させていきたいと思っている。
さまざまなご意見に耳を傾ける、ということに関して、現在リコーではこれまでの前例にとらわれない経営を実践しようとしている。自前主義からの脱却など、お客様の声をよく聞き変化のスピードに合わせて事業を展開していく。

質問3

成長戦略の中で、クラウドやIoTに関してリコーはどのように取り組んでいくのか。

回答者

山下代表取締役

回答

クラウドについては、すでに複合機をクラウドにつなげたサービスを提供している。例えば、全天球カメラRICOH THETAでは、不動産業者様などへのクラウドサービスを始めている。今後、アプリを充実させながら、お客様の業種・業務ごとのワークフロー改善をさらに推進していく。
IoTについては、リコーは先進企業の一社であると思っている。複合機の@Remoteという保守サポートシステムによって、お客様の機器の稼動状態をセンターで把握することで、安心して機器をお使いいただけるようなサービスを長年提供している。
さらにインタラクティブホワイトボード(IWB)やユニファイドコミュニケーションシステム(UCS)というTV会議システムなど、リコーらしいデバイスをさらに強化し、クラウド、IoTに対応した事業展開によってお客様の知識創造を支援していきたい。

回答者

松浦取締役

回答

研究開発担当として補足する。IoT、AIといった分野はリコーも遅れをとらず鋭意開発を行っている。
@Remoteは、これまで機器側のソフト開発が大変だったが、近年ではクラウドの進展により開発がより効率的に行えるようになっている。
IoTについては、リコーは特にセンシング分野で重要な役割を果たす光学や画像処理の豊富な技術を有している。
AIに関して、世の中にはすでにオープンなプラットフォームがある。リコーはそれを応用する立場である。例えば、IWBではIBMのWatsonと連携して、会議の議事録自動作成機能などの開発を行っている。
自社でのAI研究開発専門部署設置に加え、産学共同の開発も積極的に行っている。
Big Dataの分野では、山下が説明した通りこれまでお客様の機器状況の分析を行ってきたが、お客様のデータを把握・分析できるということは大きな強みであると考えている。

質問4

顧客に価値提供するというが、具体的にはどのような価値を提供するのか。

回答者

山下代表取締役

回答

オフィスビジネスにおいては、ワークフローの改善が重要な提供価値のひとつだと考える。サービスメニューを豊富に持ちグローバルで提供している、という事実を、今後よりわかりやすく情報発信していきたい。

回答者

佐藤取締役

回答

基盤の複合機事業では、プリンティングだけなくスキャン機能や、いろいろなアプリ、クラウドを使って中小企業のお客様の業務改善を行うことも価値提供となる。
また、IWBを活用し画像共有を含めた遠隔地とのTV会議により、会議の生産性を上げる支援なども行っている。
製品を提供するだけでなく、お客様に一番近い営業区が顧客の課題を理解し、ものづくりにフィードバックすることが大切であると認識している。

質問5

先般発表した、2050年までにリコーグループの電力をすべて再生エネルギーでまかなう、という計画に関しては自社の強みも活かせそうだが、実際どのように実現するのか。

回答者

山下代表取締役

回答

リコーは1998年に環境経営を表明し、以来同分野のリーディングカンパニーとして事業を進めてきた。
需要者としてリコーが目標を設定・宣言することは、電力供給者に対する意思表示にもなる。
また、自社の取り組みとして、御殿場の環境事業開発センターでは御殿場市と連携し、間伐材活用によるバイオマスボイラーでの熱エネルギー創出・活用や、ビルの配管に小さな水車を設置したマイクロ水力発電も進めている。
これらによって、現在同センターの電力・熱エネルギーの60%程度を自社でまかなえるまでになっている。こうしたものも含め、社内での活動を加速させる。

質問6

近年、複合機は成熟市場として競争が激化している。リコーは他社に遅れをとったのではないか。進んだ技術を有した企業のM&Aなどもより積極的に行うべきではないか。

回答者

山下代表取締役

回答

競争の激化はご指摘の通りであると認識しているが、商品力が低下しているとは思っていない。ご指摘の通りM&Aは選択肢のひとつであり、適宜検討していく。

質問7

ある民事裁判の陳述書の中で、リコーに関する記述がある。この件に関してどうお考えか。

回答者

山下代表取締役

回答

本件に関しては本総会で議論すべき内容に当たらない。事実確認の上、必要に応じて適切に対応する。

質問8

19次中計最終年度の目標数値を教えてほしい。また、前代表取締役会長・同社長は退いたが、依然として会長・特別顧問として残っているというのは、新しい経営トップの活動を阻害する要因になるのではないか。

回答者

山下代表取締役

回答

中計最終年度の配当目標は現段階では申し上げられないが、営業利益1,000億円を目標に、キャッシュを創出しながら配当を実施し株主様に報いていきたいと考えている。
前社長の三浦は現在社外の活動を積極的に行っている。会長の近藤には、ものづくり、事業開発の経験を活かした後進の指導をお願いしている。経営の執行は社長である自分が責任を持って行う。

質問9

一部報道で、リコーは複写機事業にこだわりすぎていることが業績悪化の原因、とあった。これに関してどう認識しているか。

回答者

山下代表取締役

回答

複合機は情報の入り口としていまだに重要な役割を担っていると考えている。電子ドキュメントは急激に増えており、お客様は現在、紙と電子が融合した環境で仕事をされている。その中でお客様のワークフローを改善していきたい。複合機に留まらずさまざまなビジネスを展開していきたい。

質問10

一部報道で、グループ会社であるリコーロジスティクスを売却するとあったが事実か。

回答者

山下代表取締役

回答

本件はリコーが公表したものではない。当日自社ホームページでもそのように公表している。記事になった会社のお客様、社員、その他関係者の方々には心配をおかけした。
リコーロジスティクスは物流機能として商品をお届けするだけでなく、国内生産拠点での構内物流も行う、大切な機能を担っている。

質問11

海外関連会子会社で一部社員による不正行為の兆候の指摘があった、と招集通知に記載されている。関連会社の経営管理強化、内部監査の実効性向上などが説明されているが、他の関連会社も含め具体的にどう強化しているのか。

回答者

山下代表取締役

回答

リコーインドで2015年度第2四半期決算において、監査法人から不正会計の兆候が指摘された。これを受けて現地マネジメントが刷新された。係争中の案件であるため詳しいことはこの場でご説明できないが、その後2016年度決算はボンベイ証券取引所に適正に開示しており、現在は正常な状態となっている。
監査体制に関しては、本社と地域統括会社とで連携し強化をしている。リコーインドは海外関連会社で唯一上場しており、ガバナンス、監査委員会の体勢を有していたが今回の件が発生してしまったため、専任者をつけてモニタリングを行い、網羅的でなく、より深い監査ができるように変えている。これはインドだけでなく、他の地域でも実行に移している。

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