*事業報告に関する複数の質問から、主な質疑応答の要旨を記載しています。
為替変動に伴う1円あたりの売上と利益の影響額はどの程度か。
三浦代表取締役
為替感応度はドルの場合1円あたりの変動で売上高60億円、営業利益で5億円の影響、ユーロでは売上高で40億円、営業利益で16億円の影響と見積もっている。しかし、さまざまな地域でビジネスを展開しアジアの通貨などでの決済も増えたため、ドルとユーロだけでは為替影響を表わせなくなってきている。
英国がEUから離脱した場合の経営リスクはないか。
三浦代表取締役
英国のEU離脱でただちに大きな影響はないものと考えているが、離脱によって欧州全体の景気が落ち込んでいくと影響も出てくるかもしれない。英国にはヨーロッパの本社機能、製造拠点などもあり顧客接点に近いため、そうした事態の変化があれば、顧客ニーズを捉えた対応を迅速に行っていく。
御社のROE4%は低すぎはしないか。ROEを上げるために自社株買いの計画はないのか。また、成長のために有機EL分野に投資してはどうか。
三浦代表取締役
ROEについては現在の水準がよいと思っていない。営業利益をさらに高めROEを引き上げていきたい。なお自社株買いは、キャッシュの創出や投資の状況を踏まえながら適宜検討していく。
有機ELについては、株主様からの貴重なご意見として伺わせていただく。
特許についてランキング、特許収入、支払額について教えて欲しい。
松浦取締役
特許保有件数は2015年度、国内外の合計で48312件。うち日本が25491件、外国が22821件。昨年度の特許登録件数は、日本が2049件で国内7位の登録数、米国が1627件で15位となっている。特許に関しては質・量ともに高い評価をもらっていると考えている。特許収入については未公表情報なので数字は控えさせていただきたい。
昨年度の株主向けカメラ優待販売で申し込みをしたがうまくいかなかった。受け付けの仕組みに問題はないのか。
三浦代表取締役
大変申し訳ない。ご指摘を真摯に受け止めたい。
大山取締役
大変申し訳ない。担当として真摯に受け止め改善を図る。
日本の複合機メーカーは数が多いと思われる。今後、他社との合併や事業統合はさけて通れないのではないか。
三浦代表取締役
一般論として、事業継続のために必要であれば検討する可能性はある。
リコーといえば複写機のイメージだが、次の成長分野は何か。
三浦代表取締役
基盤事業に隣接している事業、例えばプロダクションプリンティングや、インクジェットを活用した産業印刷などの領域での成長を狙っている。また、ファクトリーオートメーション(FA)・車載向け光学機器、アディティブマニュファクチャリング(3Dプリンター関連事業)、医療分野なども対象となる。しかしなんでもやるのではなく、コア技術である光学技術、画像処理技術を活用した領域での事業育成を図る。
対処すべき課題のひとつとして全社構造改革があった。具体的な内容を教えてほしい。2016年度の利益の中でどの程度を見込んでいるのか。
三浦代表取締役
構造改革は単に費用を削るということではなく、販売体制や生産拠点の最適化など地道な活動の積み上げで行う。全体的に固定費を削減しその分を新規事業に投資する。さらに、不要資産売却、為替影響を受けにくい生産体制にするなど、全ての分野で実行していく。
全社構造改革による効果の具体的な金額は開示していないが、2016年度業績見通しの中にはその効果も織り込んでいる。
膨大なデータを扱う際の情報セキュリティーやその活用はどのようになっているか。
三浦代表取締役
情報セキュリティーに関しては会社として適切に対応している。またビッグデータの活用など事業への反映などもはじめている。サイバーセキュリティーについては慎重を期して対応している。
ペンタックスファンである。カメラ事業は業界全体として低迷しているが、リコーは今後の事業展開をどのように考えているか。
三浦代表取締役
従来のカメラだけでは大きな成長は難しい。RICOH THETA(リコー シータ)という新しい映像体験ができる商品などの開発にも努めている。光学技術をつかった新しいビジネスにも取り組んでいる。
写真用カラープリンターやハンディタイプのプリンターなど、カメラとともに使えるプリンター商品の開発を検討してほしい。
三浦代表取締役
株主様からの貴重なご意見として伺わせていただく。
株主優待に関してだが、すべて抽選であり、これは他社ではほとんどない。改善は考えているか。
大山取締役
株主様からの貴重なご意見として伺わせていただく。
地域別売上高に関して、新興国より米国のほうが増収率が高い。今後どちらに経営資源を投入するのか。
山下取締役
米国の増収率が高いことについて、ひとつは為替要因による。もうひとつはラテンアメリカなどの新興国が含まれ、それが伸びに寄与している。インド・中国などアジア地域については将来を見据え現在も注力している。当然ながら新興国には力をいれていきたい。
強靭な経営体質づくりに関して申し上げたい。自分はリコーグループとの取引経験があるが、リコーは最後の製品検収を現場でいっしょに3日間も行って判定していた。このようなことは初めての経験だった。こういうことの積み重ねが強靭な経営体質につながると思う。
三浦代表取締役
当社の取り組みを評価いただき感謝申し上げる。当社としてはパートナーやお客様と共に成長することを常に考えながら、強靭な経営体質をつくりあげていく。
従業員の状況に関して、平均給与はいくらなのか。5年前より多くなっているか否か。
大山取締役
従業員構成が変化しているので一概には申し上げられない。
昨今顧客情報の流出が相次いでいるが、リコーでは情報管理やサイバーセキュリティー対策はどのように行っているか。
大山取締役
不審なメールのスクリーニングをはじめ、従業員教育の徹底、ネットワークの24時間監視など万全の対策を施している。国際規格であるISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の取得なども行っているが、それに慢心せずに取り組む。
設備投資額が上昇しているのに対して、研究開発費はほとんど同じ規模となっている。技術力強化によって技術のリコーを世界にアピールできるようにしてほしい。
三浦代表取締役
研究開発投資は常に売上高比率5-6%の範囲にある。新規事業に向けて投資をし、実績も出始めている。
松浦取締役
現在、研究開発費の8割は基盤事業に対する投資であるが、産業用印刷、ヘルスケア事業、社会ソリューション事業など、新規事業育成のための投資比率を高めつつある。
リコーはラグビーチームを保有しているが、今後企業スポーツをどう考えているか。
三浦代表取締役
リコーのラグビー選手の多くはプロ選手ではなく社員で、夕方から練習する。ラグビーと仕事を両立させたいという社員を尊重して行く。それが企業スポーツの原点であると考える。
①同一労働・同一賃金制を導入しているか。しているとしたら自己評価をどうしているか。
②役員の女性比率が少ないのが気になる。
③女性目線で開発した商品はあるか。
大山取締役
賃金に関しては、同一労働・同一条件なら賃金は同じになるが、諸条件含めてすべて同じというケースはない。
三浦代表取締役
ダイバーシティー推進は重要であり、有能な人材を管理職や役員を含め積極的に登用していきたい。
松浦取締役
今後、例えば社会ソリューションなどの領域で、多様な視点を取り入れた事業開発を考えていきたい。