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2017年度 通期連結業績予想の修正、減損損失の計上について

1. 会⾒主旨

  • 社⻑の⼭下です。本⽇開⽰した内容の概略およびその背景を説明します。
  • 当社は、2018年3⽉期(2017年度)の第4四半期において、1,800億円の減損損失を計上する⾒込みです。
  • 2017年4⽉からの新経営体制の下、新たな成⻑に向けた戦略の転換に伴う構造改⾰を実施してまいりました。その中で、今回の減損損失を計上することになりました。
  • 合わせて、2018年3⽉期通期の連結業績予想を税引前利益で1,800億円下⽅に修正することを、本⽇の取締役会で決定しました。
  • なお、これを含む2017年度の最終的な業績は4⽉27⽇の通期決算発表にて⾏う予定です。

2. 減損損失について

  • 減損テストの結果によって⾒込まれる損失は、事業別では、オフィスプリンティング事業:1,550億円、オフィスサービス事業:250億円となります。
  • 減損損失を⾒込む資産は、地域では主に北⽶の"のれん"、有形固定資産及び無形資産です。オフィスプリンティング事業では、2008年に買収したIKON社の"のれん"が含まれております。オフィスサービス事業では2014年に買収したmindSHIFT社の“のれん”が含まれています。
  • まず、IKON社について、買収の狙いと効果、そして減損に⾄った経緯を説明致します。
  • IKON社の買収によって、⽶国でのオフィスプリンティング事業、オフィスサービス事業、プロダクションプリンティング事業の事業拡⼤を実現できたことに加えて、今後の新たな成⻑に活⽤できる顧客基盤や⼈材、ノウハウといった経営資源を確保できました。結果として、IKON社買収のシナジーは⼀定の成果があったと認識しています。
  • ⼀⽅で、クラウド/モバイル環境の進展、デジタル化の進展にともなうペーパレス化が進む中で、オフィスプリンティング事業の競争激化、単価下落が北⽶で顕著になっておりました。
  • 第19次中計より、先進国におけるオフィスプリンティング事業については、規模の拡⼤から徹底した利益重視へと戦略の転換を進めております。それによって将来キャッシュフローを⾒直した結果、IKON社の買収を主とするのれん、有形固定資産及び無形資産を対象に減損損失を認識する⾒込みとなりました。
  • 続いて、mindSHIFT社について説明いたします。
  • 2014年のmindSHIFT社買収によって、⽶国におけるサービス事業の拡⼤、サービスオファリングの開発、顧客の信頼を得るためのIT⼈材やノウハウなどを当初の狙い通り獲得できました。
  • しかしながら、クラウドサービスの急速な普及や、IT系のビッグプレーヤーの中⼩向け市場への参⼊などにより市場環境が⼤きく変化しました。その影響で当初⾒込んでいた収益性が今後も得られない可能性が⾼くなりました。
  • こうした環境変化を受けて、従来のオフィスサービス事業では、利益貢献が期待できる事業へ集中するとともに、本年2⽉に発表した成⻑戦略(リコー 挑戦)では、顧客基盤にリコーならではの新たな付加価値を提供するための開発、特にコミュニケーションサービスや現場とオフィスをつなげるワークフローの改⾰などにリソースをシフトすることとしました。
  • これらの戦略転換を反映した将来計画に⾒直した結果、過去の戦略においてサービス事業の拡⼤を⽬的として買収した従来型のITサービス事業で発⽣した"のれん"を中⼼に減損を認識する⾒込みとなりました。

3. 通期連結業績予想の修正について

  • 以上の減損損失計上の結果、2018年3⽉期通期連結業績予想を以下の通り修正いたします。
売上⾼
(億円)
営業利益
(億円)
税引前利益
(億円)
親会社の所有者に
帰属する当期利益
(億円)
基本的1株当たり
当期利益
(円)
前回発表予想(A) 20,400 200 140 0 0.00
今回修正予想(B) 20,400 △1,600 △1,660 △1,700 -
増減額(B-A) - △1,800 △1,800 △1,700 -
増減率(%) - - - - -
(ご参考)前期実績
(2017年3⽉期)
20,288 338 299 34 4.81

4. 背景・経緯

  • 次に、減損に⾄った背景について説明致します。
  • 2017年4⽉にスタートした第19次中期経営計画は、基盤事業であるオフィスプリンティング、オフィスサービスにおいて"規模拡⼤から利益重視へ"と戦略転換を⾏い、⽣み出したキャッシュを成⻑事業へ重点投資することでリコーグループの事業構造を変えることを戦略⽬標としています。
  • 2017年4⽉の社⻑就任時に発表した「リコー再起動」では、従来の戦略を継続した場合には2020年3⽉期(2019年度)に⾚字⽔準となる、という厳しいリスクシナリオを前提に『過去のマネジメントとの決別』として"成⻑を阻害する遺産・前例は聖域を設けず⾒直す"ことを社内外に宣⾔し、構造改⾰を断⾏してきました。
  • 17年度の構造改⾰は前倒しで達成できる⾒込みであり、2018年度からは「リコー 挑戦」として、筋⾁質な体制で成⻑戦略に舵をきってまいります。
  • これまで当社は、2016年度までは「画像&ソリューション」「産業分野」「その他分野」の3つの開⽰セグメントとしており、これらをベースに事業管理を⾏ってきました。
  • 「画像&ソリューション」は、1) MFP・プリンターを中⼼とした"オフィスイメージング"、2) お客様が同⼀で販売⾯でシナジーがある"ネットワークシステムソリューション"、3) お客様が⼀部重なりかつ技術シナジーがある"プロダクションプリンティング"の3つの分野で構成され、当社の中核事業としてこれらのシナジーを活かしてグローバルに売上拡⼤を⽬指し、成⻑させていくのが従来の戦略でした。その他、⾮中核事業として、産業ビジネスで当社の技術を活かしたサーマル・光学機器・インクジェットヘッドなどの「産業分野」、さらにデジタルカメラ等の「その他」と分けて管理していました。
  • 2017年度4⽉の社⻑就任時に「リコー 再起動」、本年2⽉に「リコー 挑戦」を発表し、現在の経営環境における各事業の位置づけを再定義し、戦略の転換を図ってまいりました。
  • 成⻑戦略として、当社の強みに⽴脚した"0"から"2"までの3つの戦略を定め、進めてまいります。
  • "成⻑戦略0"は当社の従来のオフィス事業の領域です。"戦略0"で培われたプリンティング技術の可能性を追求し、オフィスから現場へと顧客基盤を拡⼤していく展開が"成⻑戦略1"です。そして当社の最⼤の強みである"戦略0"の顧客基盤にリコーならではの付加価値を提供し、さらにオフィスと現場をつなぐことで新たな市場を創っていく展開が"成⻑戦略2"です。
  • "戦略0"における当社の強みを⾒極め、この領域で⽣み出したキャッシュを新たな"戦略1、2"へ投資し事業構造を転換することが成⻑戦略の⾻⼦になります。それゆえ、成⻑の起点としての"成⻑戦略0"としています。
  • 当⾯の間、"戦略0"は投資の原資を稼ぐ当社の中核事業の位置づけであることは変わりません。ただし、オフィスプリンティング事業を中⼼に事業環境は⼤きく変化しており、利益最⼤化の観点から、"戦略0"には、資源配分やオペレーションを抜本的に⾒直すべき分野や地域があり、それらを⾒極めた上で、戦略1、戦略2の領域を含めてきめ細かい管理と意思決定が必要と判断しました。
  • このような各事業の戦略に応じた管理を⾏うために、2017年4⽉以降に「オフィスプリンティング」「オフィスサービス」「商⽤印刷」「産業印刷」「サーマル」「その他」へと、より細かいセグメントに分けました。
  • 基盤事業であるオフィス領域の「オフィスプリンティング」と「オフィスサービス」では"成⻑戦略0"において、収益性の低い分野や地域の改⾰を断⾏するとともに、先進国と新興国などの市場環境に応じた施策のメリハリをつけ、構造改⾰と付加価値向上の両⾯から利益拡⼤を⽬指す領域です。
  • "成⻑戦略1"と位置づけているプリンティング分野の「商⽤印刷」「産業印刷」「サーマル」は、成⻑領域として明確に切り出し、リソース・資⾦を集中投下し、第2の柱とすべく収益拡⼤を⽬指す領域です。
  • さらに"成⻑戦略2"においては、「"従来の"オフィスサービス」で獲得した技術や⼈材といったリソースを活かし、エッジデバイスとアプリケーションを組み合わせ、さらにオープンなプラットフォームを提供することで新たな付加価値を提供していく「"次世代の"オフィスサービス」として進化・成⻑させていきます。
  • 「その他」分野は"産業プロダクツ"、"Smart Vision"、"その他"に分けて、それぞれ市場の将来性と事業の競争⼒をみながらメリハリのある資源配分を⾏う領域です。
  • 2017年4⽉以降、これら6つの事業領域をフレームワークとし、実際のマネジメントレベルでの意思決定や事業管理ではより細かい単位でモニタリングが可能となる仕組みを構築してきました。
  • さらにその管理単位にそって、資⾦⽣成単位としてのCGU並びにCGUグループを検討し、2018年2⽉の取締役会で決定いたしました。
  • 新たに設定したCGUにおいて、戦略の転換に基づき将来キャッシュフローを⾒直し資産価値の評価を⾏った結果、"成⻑戦略0"の領域において、2018年3⽉期第4四半期に減損損失を計上する⾒込みとなりました。

5. 最後に

  • 結果として短期的にP/L(損益計算書)の利益が⼤幅に減少となり、ステークホルダーの皆さまにご⼼配をおかけする状況に⾄ったことについて深刻に受け⽌め、責任と覚悟をもって18年度からの業績の回復に邁進していく所存です。
  • なお、今回の減損に伴い2019年3⽉期(2018年度)以降は有形/無形資産償却費が減少いたします。またキャッシュフローへの影響はなく、従って、現時点では今期の期末配当⾦⾒通しの変更も予定しておりません。
  • 今回の減損損失については、2017年4⽉に発表した「リコー再起動(構造改⾰)」、本年2⽉に発表した「リコー挑戦(成⻑戦略)」の2つのステージで狙う新たな成⻑に向けての戦略転換に伴い発⽣するものであり、事業構造を変える過程と捉えていただければ幸いです。
  • 構造改⾰に⽬処をつけ、戦略転換に応じた収益構造・資産に適正化し(再起動ステージ)、成⻑戦略でキャッシュを⽣み出すことで(挑戦ステージ)、資産効率(ROA、ROE)の改善を実現してまいります。
  • 2018年度以降も引き続き、IRでの説明の場で皆さまにこれらの進捗を⽰していく予定です。
  • 以上になります。

主なQ&A

Q 今回の減損後ものれん・無形資産が残るが、どのような内容か?また、今回の減損に⾄った将来キャッシュフローの⾒積もりの仕⽅を含め、残っているのれん・無形資産の減損可能性についてどのように考えておけば良いか?
A のれん等の残⾼があるのは、主にオフィスプリンティングおよびオフィスサービス事業。今回の中期計画における戦略転換によって、各事業の意思決定、事業管理をより細かい単位で⾏い、マネジメントしていくこととした。この詳細の単位で減損テストを実施することで、地域毎の成⻑予測等も反映されており、現時点で認識すべき減損は全て業績予想に反映したと考えている。
Q 有形および無形資産の償却費は今回の減損によって、どの程度減少する⾒通しなのか?
A 来年度の償却費は減少する⾒込みだが、現在試算中であり、通期決算説明会にて報告予定。
Q サービス事業を伸ばそうとしている中で、ITサービスの会社であるmindSHIFTが減損となるのはなぜか?
A mindSHIFTは、主に中⼩企業向けにオンプレミスのサーバーを設置し、保守管理などを⾏うサービスを提供してきた。しかし、クラウドへの移⾏など環境が変化し、収益性が低下したことにより、買収時評価されていたのれんなどの資産も減損が必要となる⾒込みとなった。ただし、オフィスサービス事業は、mindSHIFTも⾏ってきた上述のサービスと今後成⻑を図るサービスに分けられる。今後成⻑を図るサービスに向けては、mindSHIFT買収により得たソフトウェア技術者やサポート体制は⼗分⽣かせると考えている。
Q コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(CCBJH)株の売却益は来年度P/Lに計上されずに、キャッシュフローに反映されるという理解でよいか?
A 4⽉13⽇以降に株式買付けが⾏われる予定。IFRS基準に従って、2018年度のP/Lには計上されないが、キャッシュフローに反映される。
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