人間社会は、地球上の生態系から得られる様々な恵みに大きく依存しており、生物多様性はこの生態系と密接に関係しています。
しかし今、自然環境の悪化に伴い、生物の多様性がこれまでにない早さで失われつつあります。
企業には事業活動における生態系への影響を把握し、生物多様性の損失を止め、その回復に貢献することが求められています。
リコーグループは、生物多様性の保全が真に豊かで持続可能な社会の構築に繋がると考え、2009年に「生物多様性方針」を制定(経営会議で承認)しました。
さらに、2010年には森林破壊の予防と、労働などの社会面に配慮した原材料調達に向けて「リコーグループ製品の原材料木材に関する規定」(2003年制定の「紙製品の調達に関する環境規定」を発展)を制定しました。
また、2020年には森を「守る」「増やす」両面の森林保全活動により2030年までに100万本の森林を増やす目標を掲げました。
リコーグループは、2030年までに生物多様性の損失を止め回復軌道に乗せる 「ネイチャーポジティブ」と「森林破壊ゼロ」社会の実現を目指し、生物多様性リスクを把握し、様々なステークホルダーと連携し事業活動に伴う環境負荷を削減すると同時に、地球の再生能力の維持・向上に取り組んでいます。
社会は豊かな地球環境によって育まれ、その地球環境を支えている多様な生き物の営みが衰えつつあるという認識のもとに生物多様性方針を掲げる。
基本方針
私たちは生き物の営みによる恩恵を得、生物多様性に影響を与えながら事業活動を行っているという事実を踏まえ、生物多様性への影響を削減するとともに生物多様性保全に貢献する活動を積極的に行う。
生物多様性方針 (165KB)
地球環境保全並びに生物多様性保護の観点から、リコーグループブランド製品及びそれらの付随品の原材料木材が合法的かつ環境面・社会面で原産地の持続可能性に配慮されて得られたものであることを確認し、調達するために本規定を設ける。
適用範囲
リコーグループで調達する、木材を原料とする以下のもの:
原材料木材に対する要求
リコーグループ製品の原材料木材に関する規定 (146KB)
「用紙*基準」と「サプライヤー基準」の2つの基準で方針としています。
●用紙基準(調達する用紙への要求事項)
●サプライヤー基準(調達取引のための要求事項)
*対象:PPC用紙、ロール紙
環境・社会・ガバナンス分野におけるリコーグループの中長期的な課題を経営レベルで継続的に議論していくため、CEOを委員長とするESG委員会を2018年5月に設置しました。四半期に一度開催される委員会では経営幹部参画の元、生物多様性素分野における取り組み状況や課題・投資判断など経営上の重要なテーマとして位置づけ審議を行っています。審議内容は定期的に取締役会へも報告されESG経営を高次元で実現する執行の監督を行っています。
リコーグループでは、生物多様性への配慮を適切に実施するため、以下のプロセスで対応しています。
事業活動と生態系の関係性(環境影響・リスク)を明確にし、生物多様性に配慮する活動を推進しています。リコーグループでは、事業活動と生態系との関係性を明確にするため、製品のライフサイクルや土地利用などと生態系との関係を一覧できる「企業と生物多様性 の関係性マップ」を作成しています。
対象事業:画像事業、サーマル事業
対象範囲:原材料の調達、設計・製造、輸送・販売、使用・保守、回収・リサイクル上流下流
対象データ:エナルギー資源、鉱物資源、再生可能資源、大気・水質・土壌への化学物質排出、土地利用
※個別の事業サイトについては30by30自然共生サイト認定基準に基づいた評価も実施
企業と生物多様性の関係性マップ(再生デジタル複合機のイメージ)
事業と生物多様性の関係性を評価の結果、紙の調達がサプライチェーンでの評価結果の大部分を占めており 紙パルプなどの原材料の調達で生態系への影響・リスクが大きいことがわかりました。
想定リスク:違法調達等の影響により商品供給不足が生じるリスク、ブランドイメージ低下リスク
環境負荷を削減するために、再生紙や再生材の活用をすすめると同時に、事業部門とステークホルダー(お客様、地域住民、行政、NGO、仕入先など)とが連携し(図1)、生物多様性に配慮した原材料の調達を実施しています。リコーグループでは生物多様性への影響・リスク評価、および対策の結果を随時把握して、対応策を見直していきます。
またTNFDに沿ったLEAPアプローチに沿って自然資本への依存とインパクトの評価、リスク分析を開始しています。
生物多様性依存とインパクト評価図1:原材料木材の調達に関係するステークホルダーと役割
目標:新たに100万本の植林(2020年度~2030年度)
実績 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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植林本数:単年(千本) | 92 | 149 | 97 | 115 |
植林本数:累計(千本) | 92 | 241 | 338 | 453 |
進捗度(%) | 9.2 | 24.1 | 33.8 | 45.3 |
目標:持続可能な紙の調達100%(2026年度)
実績 | 2023年度 |
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持続可能な紙の調達の割合(%)※ | 60% |
※リコー独自の証明書により適切な森林管理が確認できている紙の割合(重量ベース)
2023年度の主な取り組み
グローバル紙調達プロジェクトの活動促進
サプライヤーへのアンケート調査、証明書の入手
その他生物多様性保全への取り組みに関する実績はこちらをご覧ください。