お役立ちコラム
2022.11.01
経済産業省が警鐘を鳴らした日本企業のDX化の遅れに対して、企業の間でも注目され始め、大企業・中小企業を問わずDXを進める企業が増えています。リコーお役立ちコラムの第3回目の今回は、DX推進ガイドラインや構成に、DX推進ガイドラインの活用方法やDXを推進するために大切なポイントを説明します。
目次
DX推進ガイドラインとは、経済産業省が公表したDX推進に関してまとめられたガイドラインです。正式名称は、「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」で、DX推進の実行に必要な企業経営の姿や、仕組みと体制の構築などについて記載されています。
DX推進ガイドラインは民間企業に向けて作成されており、DX化を実施するための基準を確認できます。
DX推進ガイドラインは、DXを進めていくための行動やアプローチの認識共有を目的として作成されました。DX推進ガイドラインのもとになったDXレポートには、日本のDX化の遅れによるシステムのブラックボックス化を改善し、デジタル技術を使った新しいビジネスモデルを創出できる企業を増やすための方策が提案されました。この提案を受けて、経済産業省は「DX推進ガイドライン」の策定を始めました。
デジタル技術が多くの業界で活用され始め、今まで通りの方法では、企業の競争力の維持が難しくなりつつあります。競争力の強化や維持のためには、DX化が欠かせません。DX推進ガイドラインは、「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」と「DX推進のための経営のあり方、仕組み」の2つにより構成されています。
※出典:経済産業省『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)』
DXを推進するためには、どのような経営のあり方や仕組みが必要なのでしょうか。ここでは、5つのポイントについて解説します。
DXの推進において、詳細で明確なビジョンと経営戦略の考案は重要なポイントです。DXを進めるための経営方針が不明確なままでは、効率的にDXの推進はできません。事業分野や手段、創出を目指す新しい価値を具体的に決定し、社員全員と共有しましょう。
DXの推進には、今までのビジネスモデルや企業文化を見直し、社内の変革が必要といえますが、社員の抵抗が起きる場合も考えられるでしょう。経営トップには、社内の変革を実行していくための当事者意識やリーダーシップの発揮が求められます。
DXの推進に伴い、自社内の体制整備は必要不可欠です。体制整備に必要なことは3つあります。
DX推進のための体制整備に必要な3つの項目
経営層が各部門の社員に継続的にチャレンジできる環境を提供すると、DX推進の促進につながります。
DXを継続的に実行するには、適切な投資判断や予算配分が重要です。投資等の意思決定を判断するポイントは3つあります。
投資等の意思決定のポイント
DXの推進は、情報のデータ化やデジタルデータの活用だけに留まりません。今後のビジネス環境に対して、迅速な変化対応力を身につけることが必要です。企業のグローバル展開や経営方針の変化を、スピーディに実施できるかが求められます。
DX推進ガイドラインに記載されている、DX化に向けたITシステムの体制や実行プロセスについて解説します。
体制・仕組みとは、システムのブラックボックス化の防止や、ITシステムの構築に必要な体制や仕組みづくりのことです。
全社的に新しいITシステムへ構築するためには、社内全体で意思疎通を図れる組織体制に整備しなければなりません。ITシステムの全体設計を担う人材や、DXの推進を管理する人材が必要です。
ITシステムの構築には、部門に関係なく、社内全体に最適化された判断が求められます。この実現には、ガバナンスが効いた体制の確立と経営層の意思決定が重要です。
全社的なITシステム構築に必要なポイント
企業のDX推進が遅れる要因の1つに、ITシステム構築に関わる業務の外部委託があります。外部委託により修正コストがかかり、ノウハウが社内に蓄積しない問題が起きます。推進部門がオーナーシップを持って主導できているかが重要です。
DX推進ガイドラインの実行プロセスでは、DXの推進を実行するために必要な行動指針が示されています。
企業が現在保有しているIT資産の分析と評価ができているかを確認しましょう。各部門にあるITシステムとシステムの活用方法を把握し、現状を分析することから取り組みます。
継続して活用するITシステムと刷新するITシステムの仕分けを行います。同時に、部門を超えて社内全体で活用できるITシステムが構築できるかどうかも確認しましょう。
DXの推進を行い、新しいITシステムを導入した場合には、日々のシステム更新が重要になります。更新性の低いITシステムはブラックボックス化を招くため、注意が必要です。システムが環境の変化に素早く対応できるか確認しましょう。
DX推進ガイドラインは、DXの推進に向けた進捗状況の把握や分析、評価に役立ちます。ここでは、活用方法の手順について解説します。
始めにDX推進の進捗状況の把握を行います。DX推進指標とは、DX推進ガイドラインをもとに細分化された経済産業省が公表した指標のことです。
DX推進が社内でどれだけ進んでいるか、分析し評価しましょう。DX推進指標を活用すれば、質問に答えるだけで社内の状況を簡単に診断できて、より詳細な分析が可能です。
DX推進の進捗状況を分析、評価した後は、問題の改善が可能な部分をリストにまとめます。参考として、成功事例を調べるのもよいでしょう。事務作業の軽減やペーパーレス化、オンライン化に関わるIT技術は、業界や業種に関係なく取り組みやすく、DX推進の基盤構築にもつながります。
DXを推進するには、企業全体の取り組みやシステム導入後の取り組みが重要です。それぞれを説明します。
DXの推進は企業全体の取り組みになるため、経営層が現場と協力する体制構築が求められます。社内で情報の共有を行い、経営層と現場で協力しながら、DX推進に取り組みましょう。
DXに対して経営層と現場の間に意識の違いがあると、事業の方向性を見失いやすくなります。DX化は長期間の取り組みになるため、長期目線をもって取り組み、経営層自らDX化を牽引することが重要です。
DX推進におけるITシステムの導入は、あくまで手段です。まずゴールを設定してから、DX化の推進を行ってください。企業によってはITシステム導入後に使用機会が少ないことや、システム化した後に生産性が下がるなどの問題が発生する恐れもあります。ITシステムを導入する際には、自社の課題解決を行うために、運用体制も視野に入れて検討しましょう。
DX推進ガイダンスは、経済産業省が民間企業に向けて公表した、DX推進に関してまとめられたガイドラインです。DX推進を行うには、経営層が率先してDX化を牽引することが求められます。ITシステム導入の際には、導入後の運用体制も考慮して検討しましょう。
最後にリコーグループの事例をご紹介します。
リコーグループでは「全員参加型の社内デジタル革命」という経営基本方針のもと、RPAやAIを活用した業務プロセス改革を、間接業務だけではなく開発や生産の現場も含めた全社で取り組んできました。また、自らの実践・変革を通じて、お客様のデジタル変革をご支援し、そのビジネスを成功に導くデジタルサービスをご提供しています。
具体的な事例の1つは360度画像、クラウド、AIを利活用した新たな顧客価値を創出です。コロナ禍で、不動産業は対面接客が、建築業では現場への出張が、ともに困難になりました。ワンショットで空間全体を簡単に撮影・キャプチャーできるリコーの360度カメラ「RICOH THETA」と、誰でも簡単に360度コンテンツの制作・公開を可能とするクラウドサービス「THETA 360.biz(導入企業1万社以上)」により、これらの課題を解決しさまざまな業界で活用されはじめています。
リコーグループのDXの事例も自社の参考にぜひご覧ください。