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第二章 セーブ・ザ・メモリープロジェクトの全体像

(7)パソコンによる写真検索

  被災者の方が写真センターのパソコンで写真を検索するにあたり、いかに簡便に検索いただけるように工夫するかが私たちの大きなテーマでした。
  もっとも重要であったのは写真センター現場スタッフによる手厚いサポートでしたが、私たちはできるだけ操作性を向上させた専用のWeb写真検索サービスサイトsavethememory.jpを開発しました。
  インターネット上でWeb技術を活用した写真検索サービスを提供するメリットは以下の通りです。

  • インターネットにつながったパソコンとWebブラウザーがあれば、特定の環境に依存せずに写真検索ができる
  • インターネットの閲覧で一般に見慣れたWebユーザーインターフェイスを用いて検索を実現できる
  • 検索用のパソコンを簡単に増やすことができる
  • 複数の市町に関わる大量の画像データを一元管理できる
  • Webサーバーサイドの開発のみでシステム構築できる
  • 誰にどの写真を返したのか等、写真センター管理者の管理業務もWeb上で一元化できる

  Web写真検索サービスsavethememory.jpの主な仕様については、次項にまとめます。
 ユーザーインターフェイスデザインについては当社総合デザインセンターの力を借り、使いやすさを主眼にこれまでリコーが商品開発で培ったノウハウを投入しました。

  検索方法は、主に「眼で画像のサムネイルを見て探す」ですが、他に文字列によるタグ検索も可能になっています。例えば、「結婚式」というタグ情報が付いた画像を検索することができます。また、ユーザーによって後ほど付加された「メモ情報」も非常に重要な情報となります。例えば、知人の写真を発見したとき、その写真に知人の名前として「東北太郎」などのメモ情報を書き加えることができます。東北太郎さんが自分の名前を入力したとき、東北太郎とメモ情報が加えられた写真が検索結果として表示されます。ソーシャルタギングと呼ばれる機能です。
  もっとも特徴的な検索方法は、類似した顔がある写真を検索できる「顔検索」です。これは、日本電気株式会社(NEC)のご厚意で無償提供いただいた顔認証技術「NeoFace」によって実現しています。自分が写った写真を発見したとき、自分の顔をクリックすると類似した顔が写っている写真の一覧が表示されます。この機能によって、一枚の写真をキッカケにして多くの写真を続けて発見できるようになりました。写真センターにおいてデジカメで来場者の顔写真を撮影し、顔検索に使用する試みも行われました。

  なお、プライバシーに配慮して本Web写真検索サービスは一般に公開しておらず、現地写真センター内のパソコンでのみで検索・閲覧が可能です。

写真を探す被災者の方々(南三陸町)

写真を探す被災者の方々(女川町)

写真を探す被災者の方々(亘理町)