被災現場から写真を回収し、展示・返却を行うまでの基本的な流れを解説します。
写真を洗浄します。
写真をデジタルコピー機でスキャンしてクラウドに保管します。
パソコンのブラウザーで写真を探せます。
見つかった写真原本とデジタル画像データをお返しします。
津波によって流されてしまった写真は膨大な量に上りました。写真はがれきに混ざり、汚泥にまみれ、激しく散乱してしまいました。海中に消えてしまった写真も相当な量になるのではないかと推定されます。地上に散乱した写真は、初期の行方不明者捜索やがれき撤去作業を行った自衛隊や警察、消防の方々によって集められ、道端に置かれている状況が一般的でした。
道端に置かれた写真は、初期の復興支援活動に入った行政機関の方々、民間のNGO、NPO、ボランティアの方々によって一ヶ所に集められました。そして、電気や水道が十分に復旧していない段階から、現地での写真洗浄と展示活動が開始されることになります。
緊急対策として設置された臨時の写真展示会場には、多くの被災者の方々が失われた思い出を探しに訪れました。しかし、床一面、壁一面に展示されている膨大な量の写真を歩いて見てまわるには時間もかかるため、より簡便な方法が求められることになったのです。
そしてがれきの中から回収されてくる写真は日々増加しており、これ以上の写真を損傷を防ぐためにも、スピーディーで確実な処理が喫緊の課題となっていました。
私たちは、極めて膨大な量となっている写真をできるだけ早く効率的に洗浄~デジタル化処理するため、専用の作業場を確保することから始めました。津波の被害を受けた地域からできるだけ近く、電気、水道、交通等の生活基盤が回復しており、一定の広さが確保できる場所が探索され、結論としてリコーグループが運営する物流倉庫の一角を借り受けることが決定しました。
この作業場は東北最大の都市、仙台市の中心部からも近い場所にあり、宮城県名取市に位置していました。そして、「セーブ・ザ・メモリー ファクトリー名取」と名付けられました。後にセーブ・ザ・メモリーファクトリーは、東京都大田区にあるリコー大森事業所内の「セーブ・ザ・メモリー ファクトリー東京(洗浄・デジタル化作業拠点)」と神奈川県海老名市にあるリコーテクノロジーセンター内の「セーブ・ザ・メモリー ファクトリー海老名(洗浄作業拠点)」に拡張されます。
被災地で集められた写真は、順次セーブ・ザ・メモリーファクトリーに運び込まれました。宅配便も十分に復旧していない時期には、私たちが借りたレンタカーによって運び込んだり、仮設郵便局を経由して輸送しました。宅配便が回復した後は、宅配便を活用しています。
道端に集められた写真
泥で汚れたアルバム
回収された拾得物
バクテリアに浸食された写真
写真の現物展示(南三陸町)
写真の現物展示(亘理町)
レンタカーによる写真の運搬
ファクトリー名取に届いた写真
セーブ・ザ・メモリー ファクトリー名取
セーブ・ザ・メモリー ファクトリー名取
セーブ・ザ・メモリー ファクトリー東京
セーブ・ザ・メモリー ファクトリー海老名