お役立ちコラム
2022.11.01
企業がSDGsを経営に取り入れる流れは、日本企業でも広がってきています。リコーお役立ちコラムの第4回目の今回は、SDGsの目標達成に向けて企業ができること、目的やメリットについて説明します。
目次
SDGsは国連で合意された2030年までの世界的な優先課題および世界のあるべき姿を定めた世界共通の目標です。企業のSDGsへの取り組みは、挑むべき新たな成長の機会でもあります。
SDGsへの認知が高まる中で、SDGsに取り組むことが企業のメリットとして捉えられるようになってきました。とはいえ、企業にとっては一見コストがかかることと捉えられがちです。どのようなメリットが考えられるかを簡単にご紹介します。
企業は、地球環境や人間社会の上に成り立っているものであるという認識から、社会的責任(CSR)を果たすために行動すべきであるという社会的風潮が高まっています。顧客のSDGsへの意識の高まりにともない、企業の方向性や施策がブランドイメージを左右し、購買行動にも影響するようになりました。SDGsの取り組みを通して、企業の信用度やブランドイメージの向上が期待できます。
SDGsへの取り組みは、新しいビジネスチャンスの創出の機会です。国連が責任投資原則を提唱して以来、持続可能性を重視するESG投資は急速に拡大し、SDGsに積極的に取り組む企業を優先的に投資する投資家が増えています。 SDGsへの取り組みは挑むべき新たな成長の機会でもあります。
SDGsの目標は、さまざまな社会課題の解決です。企業ならではの発想やイノベーションによって、社会課題の解決への貢献が期待されています。企業全体でSDGsに取り組むことは、社員のモチベーションアップにつながります。社会に貢献しているという意識により、働きがいや仕事に対する満足度の向上も期待できます。
SDGsに取り組むことは、事業の継続や企業の存続に貢献します。SDGsに取り組むことで、SDGsに積極的に取り組んでいる企業と取引できる機会が増えることもあるでしょう。今後は今以上に企業の社会的な責任が問われるようになるため、SDGsに取り組まない企業の存続は難しくなるでしょう。長期目線で考えると、SDGsは企業に大きな利益をもたらす活動といえます。
SDGsとは持続可能な開発目標「Sustainable Development Goals」の略称で、国連で合意された2030年までの世界的な優先課題および世界のあるべき姿を定めた世界共通の目標です。17の目標で構成されており、貧困、不平等・格差、気候変動による影響など、世界のさまざまな課題が含まれています。SDGsは「誰一人として取り残さないこと」を原則としています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、企業も積極的に取り組んでいく必要があります。
CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略称で、企業の社会的責任を表します。ESGは「環境・社会・ガバナンス」の頭文字をとった表現で、環境・社会・企業統治の観点を示す用語です。SDGsは、世界的な優先課題および世界のあるべき姿を定めた世界共通の目標です。
世界中でSDGsが求められている今、企業のCSRには必然的にSDGsへの取り組みが求められ、その取り組みは、ESGにも影響を与えます。
SDGsが掲げる17の目標には、貧困、不平等・格差、気候変動による影響など、世界のさまざまな課題が含まれています。大きく3つに分けて解説します。
1〜6は誰もが安心して暮らすための目標が定められています。開発途上国だけでなく、日本を含めた先進国にも当てはまる課題で、詳細は以下のとおりです。
1.貧困をなくそう
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
2.飢餓をゼロに
飢餓を終わらせ、⾷料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
3.すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての⼈々の健康的な⽣活を確保し、福祉を促進する。
4.質の高い教育をみんなに
すべての⼈に包摂的かつ公正な質の⾼い教育を確保し、⽣涯学習の機会を促進する。
5.ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダー平等を達成し、すべての⼥性及び⼥児の能⼒強化を⾏う。
6.安全な水とトイレを世界中に
すべての⼈々の⽔と衛⽣の利⽤可能性と持続可能な管理を確保する。
7〜12は、エネルギーや働きがい、産業基盤、まちづくりなど日本においても身近に感じる目標が定められています。
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
すべての⼈々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
8.働きがいも経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成⻑及びすべての⼈々の完全かつ⽣産的な雇⽤と働きがいのある⼈間らしい雇⽤(ディーセント・ワーク)を促進する。
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
10.人や国の不平等をなくそう
各国内及び各国間の不平等を是正する。
11.住み続けられるまちづくりを
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び⼈間居住を実現する。
12.つくる責任つかう責任
持続可能な⽣産消費形態を確保する。
気候変動や海・陸の豊かさ、平和など、開発途上国や先進国の枠を超えた包括的な目標が定められています。
13.気候変動に具体的な対策を
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
14.海の豊かさを守ろう
持続可能な開発のために海洋・海洋 資源を保全し、持続可能な形で利⽤する。
15.陸の豊かさも守ろう
陸域⽣態系の保護、回復、持続可能 な利⽤の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに⼟地の劣化の阻⽌・回復及び⽣物多様性の損失を阻⽌する。
16.平和と公正をすべての人に
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての⼈々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
17.パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発のための実施⼿段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。
企業がSDGsに取り組むためには、「SDGsコンパス」が役に立ちます。SDGsコンパスは、GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)、UNGC(国連グローバル・コンパクト)、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)の3団体が共同で作成した企業におけるSDGsの取り組みについて経営戦略との整合や導入方法といった指針がまとめられています。
「SDGsコンパス」でまとめられている、企業の経営にSDGsを導入するためのステップを見ていきましょう。
まず、SDGs について知り、企業活動にとってSDGsがもたらす機会と責任を理解することが大切です。SDGsとは何か、どのように策定されたのか、いかに企業がSDGsを有利に活用できるか、SDGsがどれほど従来の企業責任の上に成り立っているのかを理解しましょう。
SDGsの17の目標のすべてがそれぞれの企業にとって等しく重要であるわけではありません。各目標に対して各企業が貢献できる程度や、リスクや機会は多くの要因に左右されます。SDGsが掲げる17の目標の中から、優先課題を絞り込みます。自社の強みを活かし、ビジネスに取り込みながら貢献できる課題を決定することが重要です。
課題が決まったら、具体的な目標を設定します。いつまでに達成したいのか、何%達成したいのか、達成のために行うべき取り組みなど、具体的に設定しましょう。目標が定まったらSDGsへのコミットメントとして公表します。目標を公表することにより、社員や取引先がやる気になって取り組むことができます。また、外部のステークホルダーとの対話の基盤にもなります。
設定した目標を経営に統合し、企業に定着させます。自社の製品・サービスや顧客対応、原材料の選定・使用などあらゆる企業活動で変革をもたらすには、経営層のリーダーシップと、社員の理解が必要不可欠です。なぜSDGsに取り組むのか、SDGs経営で何が得られるのかを、全社員に浸透させ、組織全体の推進力を高めます。
具体的な取り組みが始まったら、株主・取引先・顧客といった主要ステークホルダーに定期的に報告し、コミュニケーションを行います。目標に対する進捗状況や達成度、実践内容といった項目を具体的に報告します。自社の社会貢献度を発信すれば、評価や信頼度が高まり、新たな投資やビジネスチャンスにつながる可能性があります。
企業はSDGsウォッシュに陥らないように気を付けなければなりません。SDGsウォッシュとは、SDGsへの取り組みを掲げながらも、その実態が伴っていない場合に用いられる言葉です。企業イメージのマイナスにもつながるため、注意が必要です。
SDGsは国連で合意された2030年までの世界的な優先課題、および世界のあるべき姿を定めた世界共通の目標です。企業でのSDGsを推進するには、上層部や一部の部署ではなく、企業全体での取り組むことが重要です。SDGsコンパスの理解を深め進めていきましょう。
リコーグループでは目指すべき「持続可能な社会」の姿を、経済(Prosperity)・社会(People)・地球環境(Planet)の3つのPのバランスが保たれている社会「Three Ps Balance」として表しています。
この目指すべき社会の実現に向け、SDGsに貢献しない事業は淘汰されるとの意識で、財務に加えてESGの視点で事業及び経営品質向上に取り組んでいます。また、社員一人ひとりが自分の業務とSDGsを紐づけ、全員参加でSDGsへの貢献を実践しています。
リコージャパンでは、2018年から自社のSDGsの取り組みを活性化する目的でSDGsキーパーソン制度を作っています。キーパーソンは2022年7月現在510人の登録があり、社内で勉強会を開くなど啓発活動を進めています。また、お客様や地域・社会に対しても当社の実践事例を紹介しながら、SDGs活動を支援しています。
リコーグループの持続可能な社会への取り組みやSDGsの実践事例を自社の参考にぜひご覧ください。