お役立ちコラム
2023.10.17
近年、企業はステークホルダー(顧客、株主・投資家、従業員、地域社会など)とのコミュニケーションツールとして、統合報告書やサステナビリティレポートをはじめとするESG関連のさまざまなレポートを発行しています。リコーお役立ちコラムの第5回目は、企業が発行しているレポートについてご紹介します。
サステナビリティレポートの概要と背景について解説します。
サステナビリティレポートは、持続可能な社会の実現につながる企業の取り組みを、世の中に開示する目的で作成された報告書です。近年では、財務情報と非財務情報(サステナビリティに関する情報を含む)を統合し、企業の価値創造の全体像を説明する統合報告書(Integrated Report)という形で発行されることもあります。
これらの報告書を作成する際に活用されるガイドラインにはさまざまなものがありますが、主要ガイドラインとして日本の多くの企業が活用しているのが、「GRIスタンダード」です。「GRIスタンダード」は、オランダに拠点があるGRI (Global Reporting Initiative)が発行しているサステナビリティレポートのガイドラインです。
また、統合報告書作成に活用されるガイドラインには、国際会計基準(IFRS)の策定を担う民間の非営利組織であるIFRS財団が推奨する「国際統合報告フレームワーク」や経済産業省の「価値協創ガイダンス」があります。
1990年代から企業の社会貢献につながる取り組みが活発になり、2000年前半から多くの企業がCSRレポートを発行し始めました。CSRレポートは、企業視点で社会的責任をどの程度果たしているのかを判断する報告書です。
1990年代までは、環境問題に限定する取り組みに世間の注目が集まっていましたが、2000年代以降は、環境問題に加えて社会問題にも焦点が当てられ、企業の社会的責任がより重要視されるようになりました。企業や組織はサステナビリティに関する情報をまとめ、サステナビリティレポートとして公開することで経営の透明性を高め、ステークホルダーとの対話を深める重要な手段として活用しています。
サステナビリティレポートを発行することには、企業や組織に多くのメリットがあります。
多くの株主・投資家や顧客、従業員、就職活動をしている学生などが、サステナビリティに関心を持っています。サステナビリティレポートの発行により、ステークホルダーに対して社会的な責任を示すとともに透明性の高い企業というイメージの形成につながります。
サステナビリティレポートは、株主・投資家をはじめとするステークホルダーとの対話やエンゲージメントの基盤を提供し、信頼関係を構築し、維持するのに役立ちます。
ESG投資は、環境、社会、コーポレート・ガバナンス(企業統治)における取り組みを企業の評価基準にして、投資先を選定する投資方法です。サステナビリティレポートはESGに焦点を当てた投資を受けるための要件として役立ちます。
統合報告書、サステナビリティレポート以外にも、企業では情報開示を強化する目的でESGに関連するさまざまなレポートを発行しています。
ESGデータブックは、ESG関連情報のなかでも、特にデータをもとに詳しくまとめられた報告書です。統合報告書・サステナビリティレポートでは紹介しきれない定量的な数値を多く用いて、ESGの観点で、企業の取り組みについてさまざま情報をまとめたものです。
TCFDレポートは、「気候変動関連情報開示タスクフォース(TCFD)」によって提言され、気候に関連するリスクと機会が財務に与える影響をまとめた報告書です。気候関連の情報開示の重要性が高まり、TCFDによる提言内容を組織として支持し、TCFDレポートを発行する日本企業も増えてきています。
サーキュラーエコノミーレポートは、経済産業省・環境省のガイダンスに基づき、循環型社会の実現に向けた取り組みについてまとめた報告書です。リコーグループは2022年3月に国内企業として初めてこのサーキュラーエコノミーレポートを発行して以降、毎年発行を続けています。
リコーグループでは、3冊に分けて発行していたレポート(アニュアルレポート、環境経営報告書、社会的責任経営報告書)を2012年度から「サステナビリティレポート」として1冊にまとめて発行を開始しました。その後、2015年度からは「サステナビリティレポート(統合報告書)」、2018年からは「統合報告書」と名称を変更して発行し、株主・投資家をはじめ、さまざまなステークホルダーの皆さまへの情報開示を年々充実化させています。
くわえて、昨今のESG投資への関心の高まりと企業への情報開示拡充の期待を受けて、2019年度から「ESGデータブック」を、2021年度から「TCFDレポート」と「サーキュラーエコノミーレポート」を発行しており、2022年度からはこれらの4レポートを同時に発行しています。
各レポートを通じて、株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまに、リコーグループの中長期的な展望や企業価値向上に向けた取り組みの全体像、環境、社会、ガバナンスに関する具体的な取り組みやデータなどの詳細情報をお伝えしています。
リコーの開示は、GPIFの国内株式運用期間が選ぶ「優れた統合報告書」と「優れたTCFD開示」に、2021年度、2022年度に連続で選定されています。また、「日経統合報告書アワード2022」では優秀賞を受賞しています。
最新のリコーグループの統合報告書、各種報告書は以下からご覧いただけます。ぜひご覧ください。