この記録は、東日本大震災の後、津波によって失われてしまった数多くの写真を取り戻すために行われた心の復興支援活動「セーブ・ザ・メモリープロジェクト」の活動記録です。
セーブ・ザ・メモリープロジェクトは、リコーによって発災直後の2011年4月に企画され、2015年3月までの4年間にわたって実施されました。津波によって流され汚損してしまった無数の写真、その一枚一枚を洗浄し、将来にわたって失われることがないようデジタルコピー機(デジタル複合機)のイメージスキャナーを使ってデジタル化を行い、この活動のために開発されたWeb上の大規模な写真検索用データベースシステムに格納しました。この写真検索データベースシステムは、インターネットに接続されたパソコンのWebブラウザーで閲覧することができ、スムースな写真探しに貢献します。被災者の方がパソコンで検索し、見つけられた写真については、写真の原本と共にデジタル画像データが返却されます。写真のデジタル画像データについては、パソコンやスマートフォンで閲覧したり、プリントを行うことができます。また、どの写真をどなたに返却したのかについては写真管理システムによって記録されており、写真返却活動現場での管理業務を正確かつ効率的なものにしています。
プロジェクトが実施された4年間の間に、洗浄してデジタル化した写真の枚数は、418,721枚、被災者の方に返却された写真は、91,477枚になります。(2015年3月31日現在)
今回活動記録をまとめるにあたっては、今後の各種復興支援活動や万が一の事態に対して実務的に役立つことを心がけました。構築したプロセスやテクニックをできるだけ簡潔、具体的に記述すると同時に、私たちの技術的な開発成果も合わせて公開しております。<第二章・第三章>
また、携わったスタッフによる現場感覚あふれる気づきや、未来への提言も合わせて収録しております。<第四章・第五章>
このプロジェクトは、株式会社リコーならびにリコーグループが単独で成し得たものではなく、極めて数多くのボランティアの皆さまのご協力、地元地方自治体や各種団体のご理解とご尽力、復興のために志を同じくする数多くの企業のご協力によって成り立つことができました。この場を借りまして関係各位への御礼を申し上げますとともに、未曽有の大災害から立ち上がろうとする皆さまの決意と行動に心より敬意を表します。
セーブ・ザ・メモリープロジェクトをサポートいただいた皆さま:
セーブ・ザ・メモリープロジェクトを実行したリコーグループ:
株式会社リコー