AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Science November 8, 1996, Vol.274


締まった軌道 (Tighter orbits)

他の太陽系の中心星に非常に近接した軌道を回る木星サイズの惑星の発見に より、モ デル化の研究は、混乱するほどに刺激されることとなった。このモデルは、どのようにし て、ある 惑星がそのような近接してはいるが、しかし見かけ上は安定な軌道に進化することができ たのかを 説明できるはずのものである。Rasio と Ford(p. 954)は、中心星から遠く離れた軌道 を回る木 星サイズの二つの惑星から出発した場合のシミュレーション結果を与えている。彼らは、 ある場合 は、潮汐作用による散逸によって、一つの惑星の軌道半径が減少し、また円形になる間に 、もう一 つ他の惑星は系外へ放出されることを見出している。(Wt)

軟着陸 (Soft landings)

ナノメータースケールの構造を造るための1つのアプローチは、気相から表面上へそ れらを堆積させることであろう。しかし、表面への衝突は、堆積された構成物をより小さ な種類の ものへ断片化し、また、表面を損傷する可能性がある。Bromann et al.(p. 956)は、 可変温度の走査型トンネル顕微鏡を用いて、白金表面上への銀のクラスターの堆積におけ る衝突エネルギー の影響を研究し、破壊的な効果を最小限にする方法を調べた。断片化と基板の損傷は、1 エレクト ロンボルト以上の衝突エネルギーで起きたが、しかし、もし、最初に不活性ガスであるア ルゴンの 緩衝層を吸着されたならば、より高いエネルギーで衝突するクラスターも健全なままで吸 着させる ことができた。緩衝層は、高温のクラスターからの運動エネルギーを、それが断片化する 前に、効 率的に輸送した。(Wt)

熱的活性光スイッチ (Thermally activated optical switches)

結晶中に並んだ原子がx線を散乱するように、結晶性の配列をなす大きなコロイド粒子は 可視光を散乱する。Weissmanetたち(p.959)は、高分子のコロイド格子を作り、この周期 が温度で変わるようにした。1つの場合には、格子の整列度合が温度によって変化し、そ の結果散乱効率が変化する;また、他の場合には、格子の周期が変化し、散乱波長が変化 する。こうすることでこの物質は可変調な光学フィルターとなる。(Ej,Wt)

内核の対流 (Inner core convection)

地震波の観測によって、音波が地軸に平行な場合はより高速に進行するすることが示 されている。この内核の非等方性の理由は良く分かってない。Romanowiczたち (p.963)は、内核の非等方性をモデルを導くため内核の構造に敏感な圧縮波速度と、 地表での自由振動を利用した。彼らによれば、大規模な対流セルが非等方性を作って いるのであろうと言う。(Ej)

分子運動 (Molecular motion)

分子単体の映像を撮るためには、しばしば、分子を固体に固定するか、表面に固定す るか、分子運動を低下させるために低温にするかが必要となる。しかし、生物分子に これを適用する上で、もし結果が意味のあるはずのものならば、液体中で行う必要 がある。Dicksonたち(p.966)は、ポリアクリルアミドゲル中の水孔に分子を捕らえて ブラウン運動を制限させた。この孔のサイズはゲルの濃度をコントロールすることで 変えることが出来る。側方運動に約1秒間追従出来るように、薄膜中の分子をレーザ ー励起した。例えば、ナイルレッドの色素分子は、2ナノメートル孔で映像化できる 。蛍光標識された抗体のような、より大きな分子は、同様な手法で、より低濃度ゲル によるより大きな孔によって映像化出来た。(Ej)

形と機能 (Form and function)

アフリカツメガエルのオタマジャクシの視覚系は、発生中であっても情報を処理して いる。オタマジャクシの視蓋中のニューロンは、色々な成熟段階を示す。Wuたち (p.972)は、これらニューロンのシナプス伝達特徴の分析によって、機能も同時に発生 していることを示唆している。未成熟なニューロンはNメチルDアスパラギン酸によ って情報伝達することは出来るが、視覚として機能する情報処理には寄与していない 。成熟するにつれて、活性シナプスからのフィードバックシグナルに促されて、視覚 情報処理に寄与しているのと同じ様に、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキ サゾールプロピオン酸による情報伝達へと変化している。(Ej,Kj)

HIV-1貯蔵所 (HIV-1 reservoirs)

ヒト免疫不全症ウイルス-1型はリンパ組織の中で産生し生存するが、血液サンプルの 場合と異なり、これらの器官におけるウイルス負荷を定量化することはずっと難しい 。Haaseたち(p.985;および表紙)は、生体内原位置(in situ)でRNAハイブリッド形 成法とイメージ分析を利用して、何人かの前駆症状患者のHIV-1負荷を分析した。その患 者のほとんどは場合抗レトロウイルス治療を受けている。血しょう中に比べて100から 10000倍もの多数のウイルスを安定に蓄えた濾胞性樹状細胞が見つかった。このような分 析を通じて、全体的なウイルス性負荷に対する治療効果をモニターすることが出来る。 (Ej,Kj)

植物の情報 (Plant signals)

サイトカイニン(cytokinin)ホルモンは様々な面の植物の成長と生理を制御している 。Kakimoto(p.982)は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)のサイトカイニン非依存性突然 変異体に影響された遺伝子を同定した。この遺伝子CKI1は、サイトカイニン認識とか 制御の役割をする、細菌の2成分シグナル伝達系に類似のタンパク質を符号化する。 (Ej,Kj)

クリーンな捕獲 (Clean capture)

細胞生物学や生物医学の多くの研究では、特定の細胞集団を、不均一な組織切片から 単離する必要がある。Emmert-Buckたち(p.998)は、この目的のための1段階の高速な 手法を開発した。レーザー捕獲法による顕微解剖では、目的細胞を同じ視野内の熱可 塑性フィルムに細胞を移すために焦点の合ったレーザービームが使われている。それ から、細胞物質はフィルムから容易に除かれ、標準的な核酸や酵素の分析試験を行う ことができる。(Ej,Kj)
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