AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Science February 16, 1996


年を取る宇宙 (Aging Universe)

球状星団と呼ばれる私達の銀河系の特徴的容貌は、宇宙の年令の評価に役に立つもので ある。これらの星 団の最も古いものの年令は、一つの下限を与える。球状星団に関する観測的なデータは 、しかしながら、 ハッブル定数に表現されているように、宇宙膨張から推算される年令と矛盾している。C havoyer et al. (p.957)は、星の進化のモンテカルロ法による研究の結果を与えており、これは、天の川 中の17の最も古 い星団の年令を推算するのに用いられた。シミュレーションは120.7億年の下限を、また 、145.6億年のメ ディアンを与えた。著者達は、このような年令は、特に、約100億年以下という年令を与 えるハッブル宇宙 望遠鏡の結果と比較された上で、宇宙論のモデルを制限するものであると結論している 。(Wt)

氷河の流出 (Glacial washout)

掘削アイスコアから得られた記録によれば、最後の最大氷河期の大気は、 今日の大気に比べて塵が多かった。最近の証拠はまた、熱帯の大洋表面温度は 5°C低かったことを示している。Yungたち(p.962)によれば、これらの観察 結果は当時の水循環が弱かったことを示唆している。塵の移動モデルを使って、 著者たちは、この氷河期には水循環が係数にして2だけ小さかったと推察している。(Ej )

気の利いたゲル (Smart gel)

ゼラチンのような高分子に水が加えられると、水和ゲルが形成される。これは、3次元 的な高分子のネッ トワークにより安定になっている。このような水和ゲルは、例えば、筋肉やコンタクト レンズにおいて重 要なものである。Warriner et al.(p.969)は、異常な特性の水和ゲルのクラスを発見し た。これらの材料 は、水を加えると液体状のフェーズから、薄層状のゲルを形成し、そして、さらに水を 加えると、液体状の フェーズに再度溶解する。薄層状のゲルのフェーズは固体状の成分を含んではおらず、 将来は、例えば生物 学的に活性な膜の蛋白質の実現に用いることができよう。(Wt)

開明銀河 (Enlightened galaxies)

ある銀河は円盤状の形状である。すべてではないがそれらのあるものは、相当の厚さを 示している。その 様な星の分布となる形成メカニズムは、なお難題である。Sridhar and Touma(p.973)は 、空中浮揚を誘 起する円盤形成の力学モデルを報告している。すなわち、ある特別の共鳴タイプに捕獲 されている、星は 高い垂直方向のエネルギーを獲得し、円盤面の上下に分布するようになるというプロセ スである。このモ デルは、薄い円盤とより厚いハロー銀河形状との中間的なものである、私達の銀河の起 源についての理解 を深める可能性がある。(Wt)

鎖状の徒党 (Chain gang)

大部分の大人の脳神経細胞と異なり、わずかな数の脳室下領域 (subventricular zone)の細胞は、臭覚球に移動するような子孫細胞を作る。 Loisたち(p.978)の示すところによれば、これらの細胞は、膜の特殊化したもの (membrane specialization)で互いに結ばれて鎖状で移動する。この鎖は、 たぶん神経膠(glial)細胞である別の細胞によって包まれている。この鎖の移動は、 発生途上で他の神経細胞が神経組織を通過する付随的移動手段としても使われているか も 知れない。(Ej)

抵抗の制御 (Control of resistance)

Leishmania major原虫のような寄生虫感染への応答はインターロイキン-4(IL-4) の生成によって制御されていると思われていた。このIL-4は、非生産的な 免疫応答応を作り、感染を防ぐための適正な応答を邪魔しているとして悪者扱い されていた。しかし、Noben-Trauthたち(p.987)が、感受性マウス系統からIL-4 遺伝子を取り除いた場合、マウスは耐性を示さなかった。何かが、この応答を 制御しているかも知れない可能性が出てきた。Gueler たち(p.984)のin vitro での実験によれば、感染しやすさは、防御応答を誘導するIL-12を生成する 感受性T細胞能力の喪失にかかっているらしいと言う。すなわち、今まで不適切 な応答を誘起すると考えられていたIL-4にかかっているのではなく。これについては 、Marx(p.912)によるニュース解説参照。(Ej)

翻訳操作 (Translation operation)

リボゾームは、ヌクレオチドの直鎖状配列をアミノ酸の直鎖状配列へ変換する、 最後の翻訳ステップを実行する。転移RNA(tRNA)分子はその仲介役を演じる ;一方で、水素結合相互作用によってヌクレオチド配列の鏡像を作り、他方で リボゾーム機構によって結合される部位に共有結合アミノ酸を置く。 3つの リボゾームtRNA部位が知られている;これらは大ざっぱにに言うと、付加すべき 新しいアミノ酸を持っているtRNA、すでに結合されたアミノ酸を持っているtRNA、 離れて行くtRNA。Agrawalたち(p.1000)は3次元低温電子顕微鏡マップ (Cryoelectron microscopy map)を見せ、どのようにtRNAがこれら部位に納まり、 リボゾーム中を動くか示した。(Ej)

品質管理 (Quality control)

タンパク質合成の最中にミスが生じると、生成されるポリペプチドは急速に分解 する。Keilerたち(p.990)は、生成されるタンパク質の合成が完了する以前 であっても、新しく合成されるタンパク質の品質管理の実態を発見したと 報告している。欠陥のあるメッセンジャーRNAからタンパク質を作っている バクテリアにおいて、直ちに分解するタンパク質をマークするためのペプチド のタグが合成中に付けられた。この、先例のないメカニズムが、Jentsch(p.955) によって「展望」で議論されている。(Ej)

お粗末な受付け (Poor reception)

糖尿病突然変異のマウスと肥満突然変異のラットは極端な肥満で、通常糖尿病を 持つ。この表現型(phenotype)は肥満マウスに似ており、体の脂肪の量を調節する 分泌タンパク質であるleptinを合成する機能に欠陥がある。Chuaたち(p.994; Barinagaによる解説参照、p.913)は遺伝子のマッピングの研究の結果、表現型が なぜ似ているについて、分子論的に解明した。彼らの結論によれば、糖尿病と 肥満の表現型は、脳で発現されているleptinの新しく性状決定された受容体中 の突然変異によっていることが示唆されている。(Ej)
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