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ヒト神経薬効・毒性評価プレート

ヒトiPS細胞由来の神経細胞プレートで創薬研究の加速に貢献

背景

現在、新薬開発において薬剤の効果や毒性を確認するため、一般的に 動物モデルが活用されています。しかしながら、ヒトと動物の細胞の違いにより、臨床試験の段階においてヒトに対する毒性が明らかになることがあります。ヒトと動物の種差の影響が大きい神経系の課題を解決するために、ヒトiPS細胞を用いた評価系の開発が活発に進められています。その代表的な手法がMEA(Multi-Electrode Array: 多点電極アレイ)プレートと呼ばれる、各ウェルの底に複数の電極を埋め込んだプレート上に、ヒトiPS細胞由来の神経細胞を播種、培養したものです。しかしながら、ヒトiPS細胞を使用したMEAプレートを安定的に作成するためには、長期培養と特殊なノウハウが必要となるため、培養失敗のリスクがありました。

iPS細胞:人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)。細胞を培養して人工的に作られた多能性の幹細胞のこと

解決したこと

リコーが開発したヒト神経薬効・毒性評価プレートは、リコーがバイオプリンティング開発で培ってきた材料プロセス技術を応用することで細胞接着力を大幅に改善することにより、長期培養で発生する様々な課題(細胞凝集や剥がれ等)を解決し、プレートの品質を向上することができました。新薬研究者に届いてすぐに使える(ready-to-use)状態のヒト神経薬効・毒性評価プレートを提供することにより、研究期間の短縮や 培養失敗 リスクの低減を実現し、創薬研究の加速に貢献します。

技術の特徴

今回開発したヒト神経薬効・毒性評価プレートの製造プロセスでは、ヒトiPS細胞をエリクサジェン・サイエンティフィックの高速分化技術で神経細胞に分化した細胞を用いています。この細胞をインク化して、リコーのバイオプリンティング開発やインク開発で培った材料・プロセス技術と組合せることで安定した品質でプレートを生産することが可能になりました。

1. ヒトiPS細胞を高速で神経細胞に分化

共同事業先のエリクサジェン・サイエンティフィックはヒトiPS細胞を短期間で高効率に 様々な細胞へ分化誘導する技術を有しています。今回のプレートにもその技術で分化された神経細胞が使われています。この技術で作成された細胞は成熟細胞に近い機能を持っており、薬効・毒性評価におけるヒトと動物の種差の問題を解決することが期待されます。

2. バイオプリンティング技術を応用した高い細胞接着力

ヒトiPS細胞由来神経を播種したMEAプレートは創薬研究における評価系として活用され始めていますが、長期培養と特殊なノウハウが必要となります。リコーはバイオプリンティング技術やインク開発の材料技術 を応用して細胞接着力が向上させ、安定した品質のヒト神経薬効・毒性評価プレートを製造する培養プロセスを開発しました。作成したプレートは長距離輸送も可能であるため、 ユーザーの手元に届いて直ぐに評価可能な高品質プレートを国内の全ての研究者に提供することが可能になりました。

バイオ3Dプリンター

※本製品は研究用試薬です。

リコーの想い

リコーは、高齢化社会への対応、医療費削減、地域間の医療水準格差解消などが求められるヘルスケア分野を、社会課題の解決に取り組む分野の一つとして位置付け、2016年に事業参入することを決定しました。本技術を用いて、医療研究および創薬研究への貢献を目指します。