コピーの不思議Q&A|Ricoh Japan


コピーの不思議Q&A


「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。


静電気、光、その他に関する質問静電気、光、その他に関する質問

中原菜摘さんからの質問:

「静電気はなんで見えないんですか?」

物が見えるということは、物から出た光が目に入るということです。 このことを下の絵を使って考えてみましょう。

物が見えるということは、物から出た光が目に入るということ右の絵は女の子がグラスを見ている絵ですが、グラスが見えるのはグラスからの光が目に入ってくるから見えるのです。 グラス自体は光を放ってはいないので、他の光、たとえば太陽の光や、蛍光灯の光がグラスに当たって反射し、その反射した光が目に入るのです。



月は太陽の光が月の表面で反射し、私たちの目に届くから見える次の絵はどうでしょうか。 夜は空に浮かぶ月を見ることができますね。 これは月を照らす太陽の光が月の表面で反射し、私たちの目に届くから見えるのです (夜の世界の我々には地球の反対側にある太陽は見えませんが、月には太陽の光があたっています)。



星は自分自身で光っており、その光が目に届くから見えるさらに次の絵ではどうでしょうか。 夜空を見上げると、たくさんの星たちを見ることができますね。 これは、星が自分自身で光っており、その光が目に届くから見えるのです。



こうして考えると「物が見える」ということは、物から出た光(あるいは反射した光)が目に入るから見える、ということがわかります。

では、その光とはどういうものなのでしょうか。 光は「粒子」であると同時に「波」でもあるのですが、ここでは難しい話は避け、光を波として下の絵に描きました。

波の山から山の長さを、波長といいます。


私達の目に見える光は、この波長が、ある範囲内にある光だけ私達の目に見える光は、この波長が、ある範囲内にある光だけです。 その波長の範囲とは、380×10 -9 m 〜 780×10 -9 mの長さの波長です。

1×10 -9 mは10億分の1mですから、この波長は非常に短い長さですね。 この範囲の光を「可視光(=目に見える光)」と呼んでいます。 この波長より短くても長くても、人間の目には見えません。


グラスや月や星を見ることができるのは、グラスや月が反射する光、あるいは星の放射する光が、この可視光の範囲にあるからです。

なにかが見えるという現象は、可視光の範囲にある光が私達の目に入ってきているということまた、「青色の光は波長が短く、赤色の光は波長が長い」というように、波長の長さが違う光を、私達の目は「色」として感じます(実際は目に入った光の情報が脳に送られ、脳が色と認識しています)。

つまり、なにか(たとえば、グラス)が見えるという現象は、右の絵のように、可視光の範囲にある光が私達の目に入ってきているということなのです (実際には、光の波長はものすごく短いので、絵のように描くことはできませんが、理解しやすいように表してあります)。


さて。それでは、質問について考えてみましょう。

ある物の大きさが、光の波長よりも小さかったら、人間はそれを見ることはできませんある物の大きさが、光の波長よりも小さかったら、人間はそれを見ることはできません。波長よりも物の大きさが小さいと、光は物にあたることができないので、そのまま通り過ぎていってしまいます。 そうすると我々の目には、物から反射した光が入ってこないので見ることはできないのです。



そして、質問にあった静電気は、光の波長よりも小さいのです。

ですから、たとえば静電気の載った感光紙を顕微鏡で拡大したとしても、その姿を見ることはできません。 下の絵のように物に光を当てて顕微鏡を使って拡大してみようとしても、物が光の波長より小さいと光があたらないので、物からの光が返ってこないからです。

物に光を当てて顕微鏡を使って拡大してみようとしても、物が光の波長より小さいと光があたらないので、物からの光が返ってこない静電気の正体は、原子や分子が電気を持ったものです。

原子や分子と言っても、小学生の皆さんにはわかりませんよね。 世の中の全ての物は、どんどん細かくしていくと、これ以上細かくすると元の性質が変わってしまう状態に到達します。 この状態が「分子」です。つまり物の性質をもった最小の構造が分子です。

その分子を更に細かくしていくと、これ以上細かくできない状態に到達します。 この状態が「原子」です。現在までに、106種類の原子が見つかっています。 世の中の全てのものは、この原子が複雑に結びつき合ってできた分子で構成されています。

静電気は、この原子や分子が電気を帯びたものです。 原子の大きさは、どのくらいか?と言うと、多少は前後しますが、下記のようなレベルの値です。

水素、窒素、酸素原子の直径は 3×10 -9 メートル
鉄、銅、銀、金原子の直径は  0.3×10 -9 メートル

可視光の波長が380×10 -9 m〜780×10 -9 mですから、可視光の波長よりも小さいですね。 ですから、たとえ顕微鏡で拡大しても静電気は見ることができません。

原子や分子を見るためには、電子顕微鏡といった特殊な装置を使います。

これは可視光ではなく「電子線」を物にあてます。電子線は、波長が可視光の波長の1000分の1以下です。 ですから、波長が原子や分子の大きさよりも短く、なんとかこうした極小の存在を捉えることができます。 しかしながら、そのままでは人間の目には見えませんので、特殊なフィルムに写し取って観察することになります。

少し話が難しい方向にいきそうになりましたので、このへんでとめておきます。

今回のご質問に回答するには、かなり本質的な物質のお話に触れなければならず、難しくなってしまいました。 ごめんなさい。 高校生くらいになれば少しは理解できるようになりますが、小学生の皆さんにとっては難しいですね。 ですから、なんとなくイメージが伝われば充分だと思っています。