コピーの不思議Q&A|Ricoh Japan


コピーの不思議Q&A


「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。


コピー機の部品に関する質問コピー機の部品に関する質問

杉本航太くんからの質問:

「液晶画面の仕組みを教えてください」

コピー機の液晶画面の写真実験で皆さんが分解したコピー機には、大きな液晶画面がついていましたね。



スイッチを入れ、文字が表示されている液晶画面の写真コピー機のスイッチを入れると、右のように液晶画面に色々な文字が表示されました。

コピーをとる人は、液晶画面を見ながら画面に表示されている部分に軽くタッチするだけで、簡単にコピー機にやってほしい命令を与えることができます。 また、画面にタッチすると、画面の内容を変えて、さらに次の命令を待つなどの操作を行うことができます。




画面の内容を変えて表示された液晶画面の写真右の液晶画面は、前の液晶画面と内容が違いますね。

このように液晶画面は絵や文字を表示する装置です。 どのような仕組みでできているか、なかなか興味のある部品ですね。 それでは、さっそくその仕組みを見ていくことにしましょう。



まず、液晶という部品自体は光りません。 液晶画面の下にランプが内蔵されていて、そのランプが点灯して、液晶画面を明るく照らしています。 そして、絵や文字があるところは光を通さないように、絵や文字がないところにだけ光を通すようにしています。 これをどのようにして実現しているかというと、液晶という特殊な物質を下図のようにガラスで挟んで密閉しています。

液晶は、内側に走査電極と表示電極を通したガラスで挟まれています

ガラスには非常に細かい電極が下図のように設けられています。 光を遮らないように電極は透明な物質で出来ています。

液晶を挟んだ裏のガラスの走査電極が上から下に8本並び、表のガラスの表示電極が左から右に10本並んでいます

このような構造で、走査電極と表示電極が共にONとなり、液晶に電圧がかかると、電圧がかかった液晶はその結晶構造を変化させます。

ここで、横に並んでいる走査電極のON/OFFを順番に繰り返していきます。 電極をONし、次に電極をOFFにして、電極をONするといったことを非常に短い時間のあいだに、繰り返します。

正面から見ると走査電極と表示電極が縦横左右に走って格子状になって見えます

上の絵では、一番上の走査電極の電極がONのとき、表示電極の縦の電極の1234をONにすると、電圧が液晶に加わり液晶の結晶構造が変化します。 次に走査電極の電極がONのとき、縦の電極78をONにし、次に走査電極がONになったとき、縦の電極をONにし... といったことを行い、「51」という形が表示されるよう、液晶の結晶構造を変化させています。

そして液晶全体は、下記のような構造になっています。 上図のような液晶を透明電極つきのガラスではさみ込んだものは、下図で「液晶セル」として表わしています。 液晶画面の下にはランプが点灯しています。 液晶は自分自身では光らないので、液晶画面を明るく表示するためにはランプなどの光が必要になります。

反射板に当てたランプの光が偏光子に反射され、そこを通過した液晶セルを通して液晶を照らし、光が通過する部分と通過しない部分ができます

図の左にある反射板は、円筒状の照明ランプから出る光を画面全体に広げる役目をしており、「偏光子」は特定の方向に振動する光のみを通過させる役割を持っています。

上の例に戻りましょう。 「51」の形に電圧をかけた部分は、液晶の結晶の配列(並び方)が変わり、光の振動方向が変わるため、ランプの光が偏光子2を通過することができません。 その結果、「51」という文字の形に光が遮断され(=暗くなり)、液晶画面上に現れます。 液晶画面は、このように光を遮断することによって絵や文字の形を表示しているのです。

この例では、表示電極8本、走査電極8本の少ない電極数ですが、実際の電極数は何千、何万とあります。 電極の幅が小さければ小さいほど、絵や文字を細かく綺麗に表示することができますが、もちろん電極数は多くなります。

以上のように液晶の仕組みはなかなか難しく、理解するためには様々な科学分野の知識が必要となります。 特に小学生の皆さんにとっては、難し過ぎたかも知れません。 ですが、おおまかに理解して頂ければ結構です。