コピーの不思議Q&A|Ricoh Japan


コピーの不思議Q&A


「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。


コピー機の構造に関する質問コピー機の構造に関する質問

滝本祥子さんからの質問:

「 カラーコピー機の中には、鏡が何個入っているのでしょう?どうしてその数だけ必要なのですか?」

カラーコピー機の中には沢山の鏡が入っています。 鏡のあるところは、以下の2つの部分です。 1つは原稿の画像情報を読み取る「スキャナー部」、もう1つは読み取った画像情報を書き込む「書き込み部」です。

結論からお話ししますと「スキャナー部」には3枚の鏡があります。 「書き込み部」には12枚の鏡とポリゴンミラーがあります(ポリゴンミラーも鏡です)。

それでは、どうしてこんなに鏡が必要なのか、考えてみましょう。

「スキャナー部」

まず、原稿のスキャナー部について考えてみましょう。 スキャナー部の絵はテキスト(青本)の20ページに記載しています。 鏡は、下の絵に示した3ヶ所の場所にありますので、鏡は3枚使っています。

スキャナー部

鏡が3枚ある理由を考えるには、スキャナーがどういう役割をもっているか考えなければなりません。 スキャナーは原稿の像を正確に読み取るために、原稿の縮小された像を画像読み取り板(CCD)に投影する役割をもっています。

風景写真これは、カメラで写真を撮ることと似ています。 たとえば、右のような風景を写真に撮ろうとしてカメラを構えました。



カメラを構えてシャッターを押しました。 するとシャッターが開いたわずかな時間のあいだ、フィルムの面には縮小された風景の像が映し出されます。 この映し出された像をフィルムが読み取り、記録しているのです。 この像がボケていると、フィルムはボケた像を記録してしまいますので、ピントがあった像を映し出すことが重要になります。

「ポジフィルム」を使った場合のイメージ
(※「ポジフィルム」を使った場合のイメージ)

上記の関係を絵に表わすと、下の図のようになります。 風景がカメラのレンズによって縮小されて、フィルムの面に像を結び(映し出され)ます。

風景はカメラのレンズによって縮小されて、フィルム面に映し出されます



以上はフィルムを使ったカメラの例ですが、デジタルカメラでは、このフィルムにあたる部分にCCDと呼ばれる、小さなセンサーの集まりでできた電子部品が組み込まれています。

カメラの例で説明しましたが、この関係はカラーコピー機でも同様です。 スキャナーは原稿の像を正確に読み取るために、原稿の縮小された像を画像読み取り板に投影しているのです。

CCDが正確に原稿の情報を読み取るためには、このCCDの面にレンズを通して縮小された原稿の光像が投影されなければなりません(CCDについては、テキスト(赤本)の23ページに記載していますので参考にしてください)。

照明された部分の原稿像がレンズを通して縮小され、CCD面に投影されます左の絵は、原稿台の上に置いた原稿を照明ランプで照らし、照明された部分(10〜20mm)の原稿像がレンズを通して縮小され、CCD面に投影されている状態を表わしています。

ところで、レンズから物までの距離を「a」、レンズから像を結ぶ位置までの距離を「b」とし、レンズの焦点距離を「f」としたとき、次の公式が成り立ちます。
焦点距離を導き出す公式

このような関係にある時、正確な像(ピントの合った像)を作ることができるのです。


このレンズのことは、小学校ではまだ習いませんね。 ですので、この式を覚える必要は全くありませんが、ここで言いたいのは、この絵のままだと『コピー機の原稿を置く台の高さが高くなって使いにくく、コピー機も大きくなってしまう』ということです。

そこで、この式の関係を保ちながら、下の図のように鏡を使って像を結ぶ光線を何度か折り曲げて、原稿台の位置が高くならないように、またコピー機のサイズが大きくなり過ぎないようにしています。

このように鏡で光線を折り曲げても、前の式の関係が保たれていれば像はボケることなく、しっかり作られるのです。 これが、鏡を使う理由ですね。

鏡で光線を曲げることによって原稿台とCCDの距離を縮めることができます

このように、スキャナー部に複数の鏡を配置することによって、原稿台を低くすることができます。

そして、鏡は照明ランプと共に、前式の関係を維持する駆動制御を受けて原稿の端から端までを順番に照らし出し、原稿像を端から順番にCCD面に投影します。 CCDは、投影された像から1行づつ、順次読み取っていきます。

「書き込み部」

次に「書き込み部」の鏡について考えてみましょう。 書き込み部の様子は、赤本、青本の24ページにわかりやすい絵が記載されています。 それを下記に写し、鏡のあるところを示しました。

カラーコピー機の書き込み部左の図は、カラーコピーを作るためのトナー像を作り出す、「作像部」が各色ごとに示されています。

原稿の情報を書き込むレーザー光線が、作像部の決められた位置に照射されるように、鏡を使って光線を曲げています。 このようにスキャナー部と同じように『光を曲げるために』、作像部でも多くの鏡が使われています。

絵で説明すると、下図のようになります。
鏡を使ってレーザー光線を曲げて、作像部に照射します


鏡を使ってレーザ光線を曲げているのです。 こうすることで、作像部の決められたところにレーザ光線を照射することが簡単にできるだけでなく、コピー機のサイズを小さくすることができます。

以上で、鏡の役割をおおよそ理解できたでしょうか。 鏡をうまく使い、コピー機のサイズを小さくしているのですね。 小学生の滝本さんにとっては難しい内容であったと思います。 おおよそのことが、なんとなく理解できれば充分です。