化学物質による悪影響を最小化する事は国際的な合意事項であり、リコーグループもこの考えの基、リコーグループ化学物質管理基本規定を定めています。事業活動や製品に使用される化学物質による人の健康や環境への影響等のリスクをより最小とし、グループ及び係る人や環境に対し、安全・安心に近づく管理を目指しています。
リコーグループでは製造工程で取扱う化学物質の汚染予防的対応として、使用以前の検討段階で有害な化学物質の使用を禁止とする取り組み、使用段階における使用量及び環境への排出等をグループで共有・削減する取り組みを行っています。
また、過去の活動の結果発生した土壌汚染へのリスクを最小化とする活動及び、土地等の取引時には化学物質による環境リスク評価を行い、必要な管理及び環境負荷低減活動を進めています。
リコーグループの製造工程では以下により、人への健康影響や環境への悪影響等のリスクを把握・管理する体制を目指しています。
① 法・規制が遵守されている
② 使用され、環境へ排出される化学物質について、安全性、使用量・排出量が管理されている
③ 化学物質の悪影響最小化に努め、予防的対応による未然防止を図っている
④ 環境負荷削減に繋がる技術の開発・導入に努め、持続成長可能な社会へ貢献している
⑤ 品質・コスト・生産性向上等の活動において、人の健康と環境安全面考慮し、必要な対応に努めている
⑥ 社会とのコミュニケーションがなされて、協力関係、信頼関係が構築されている
⑦ グループ各人は、化学物質に関する継続的な自己の能力向上および知見の収集に努め、跨る他工程においても必要な化学物質管理に関する情報共有に努める
環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ日本のPRTR法の対象物質を含むグループで取り扱いの多い化学物質を環境影響化学物質として、製造・研究・開発工程で使用する環境影響化学物質の管理活動を1999年より継続しています。
事業所や設備に使用されているアスベストについて、レベル3までの調査を対象とし、リコー国内事業所全サイトについて、レベル3までのより詳細な調査を実施しています。飛散防止対策を施し、周辺の地域住民・従業員を含め、人体に影響がないレベルにあることを確認しています。今後も計画的に改善・除去を進めていきます。
PCBについては、保有するPCB含有製品を調査し、法令に基づく管理を行っています。各事業所で保管しているPCBを含むコンデンサや蛍光灯安定器などの電子機器は、密閉容器などに入れて漏洩を防止すると共に、定期的に点検を行い適正に管理・保管しています。リコーグループでは、2021年度までに高濃度PCB廃棄物の処理を完了しました。低濃度PCB廃棄物も計画的に処理を進めていきます。
リコーグループは社会的責任、環境リスク、および財務リスクの視点から、土壌・地下水汚染問題をとらえています。グループの「土壌・地下水汚染に関するリスク管理標準」において、土壌・地下水汚染に対するリスクマネジメントの基本方針を定めて運用しています。
① ヒトへの健康被害を予防することを最優先とする。
② 国/自治体の法規制/条例を遵守する。
③ リコーグループの事業に起因する汚染については、リスクの評価・管理・低減に取り組む。
④ 自治体や地域住民とのリスクコミュニケーションに取り組む。
⑤ 土地の取得・譲渡、借用・返却時は土壌汚染の可能性を確認する。
土壌・地下水汚染については、90年代前半から自主的な活動を開始、リコーグループの生産事業所の他、リコーグループの非生産事業所を含めた全サイトでの調査・改善をグローバルに展開してきました。
リスクマネジメントシナリオを作成し自主的に各国基準を目標にリスク低減を進めています。
リコーグループ(連結対象会社)が不動産の売買・賃貸借取引を行う際には、土壌汚染、PCBs、アスベスト、その他の環境法規制要求事項等の環境リスクを管理する事とし、「土地・建物取引および賃貸借に関する環境リスク評価標準」を定め、事業への影響を最小限にする事に努めています。
リスク管理の主な方針は、(1)M&Aを含む不動産の取得・売却ならびに賃貸借時に、重大な環境リスクとこれに関連する健康リスクを評価する、(2)評価されたリスクについて、管理・低減計画を作成し、計画的に対策を実施すること、(3)資産の取引の際に、環境/健康リスクに関する重要な情報を利害関係者に開示することとしています。把握された環境リスクについて、担当部門と環境部門が協議の上、取引を行うかどうかを決定しています。
製品づくりのサプライチェーン全体で化学物質管理体制を構築し、環境や人体に影響を及ぼす可能性がある化学物質の削減と管理を行っています。また、このような管理を行うことで、世界各国の法規制への確実な対応に加え、環境ラベルなどの法規制より厳しい独自基準もクリアできる製品作りを進めています。また、国際化学物質管理への戦略的アプローチ(SAICM)の考えを継承する「持続可能な開発のための2030アジェンダ(The 2030 Agenda for Sustainable Development)」に従い、SDGsの達成に向けて、2030年までに製品ライフサイクル全体で化学物質リスクを最小限に抑えることを目指して活動しています。
リコーは1993年から「製品に使用される可能性のある環境影響化学物質」について、リスク管理の考え方に基づいて管理や削減を行ってきました。 管理・削減の対象となる化学物質は、最新の規制動向や科学的知見などを取り入れて随時見直しています。
また、リコー製品に使われる部品の多くは、サプライヤー企業で原材料の調達と製造が行われ、供給されています。このような状況下で製品に含まれる環境影響化学物質の管理や削減を進めるために、リコーグループ内だけでなく、サプライヤー企業と一体となったサプライチェーン全体での管理体制と、膨大な環境情報を正確に収集、伝達する仕組みを構築しています。
トナーや現像剤などのサプライ製品には、様々な化学物質が使われています。リコーグループでは、「製品の安全性は顧客満足の基本条件である」との考えのもと、世界各国の法規制にも対応可能な厳しい社内基準を設け、適切な化学物質管理によるサプライ製品の安全確保に取り組んでいます。また、お客様にサプライ製品を安心してご使用頂くために、サプライ製品の安全性情報をSDS(Safety Data Sheet(安全データシート)として公開しています。
リコーグループでは、複写機やプリンターなどの使用時に発生する化学エミッション*1 について、お客様が製品を快適にご使用頂けるように独自の基準を設け、製品が基準に適合していることを確認しています。
*1 製品から排出される化学物質で、オゾンや粉じん、VOC(Volatile Organic Compound: 揮発性有機化合物)などがあります。