国際社会で持続可能な社会を目指す動きが加速する中でリコーグループの事業における最大のリスクは、市場ニーズの変化に対応できないことであり、そのために事業が成り立たなくなることであると認識しています。
このような大きな変化を捉えるには、市場ニーズが明らかになってからその変化に対応するのでは遅すぎるものであり、社会の変化を予測して事前に備えておくことが不可欠です。
環境リスクを認識してあらかじめこれに備えておくことは、企業としての競争力強化につながり、市場における機会の獲得に役立つものです。
リコーグループは、環境負荷を極小化した持続可能な社会の市場ニーズを予測し、「脱炭素社会の実現」、「循環型社会の実現」を目指すために2030年と2050年の環境目標を設定し、環境経営を進めています。
企業の非財務情報の開示においても大きな変化がありました。2017年7月のG20サミットで金融安定理事会(FSB)・気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)から、気候変動に関連する財務情報の開示の枠組みについての報告書が公表され、中長期に亘る気候変動関連のリスクと機会とそれらの財務に関する情報公開が企業に推奨されるようになりました。
リコーグループでは、2030年、及び、2050年の中長期環境目標の実現に向け、気候変動関連のリスクを特定、評価するプロセスが3年毎の中期経営計画、年次の事業計画の策定とレビューのプロセスに中に組み込まれています。「TCFDの提言」で示されている低炭素経済への移行リスク、気候変動に関連する物理的リスクの特定と評価においては、サステナビリティ管理部門が中心となり、各事業部門と連携して、以下のようなさまざまな情報から現状把握と将来予測を行っています。
移行リスク:①気候変動に関連する国際的な条約、各国のカーボンプライシングや製品省エネ関連の法規制の動向、②製品・サービスに対する顧客の行動、嗜好と市場ニーズの変化、競合他社の動向、③NPO/NGO/各国政府などの様々なステークホルダーからの期待と要求などを収集し、分析を進めます。
物理的リスク:台風、豪雨、洪水などの気候変動による自然災害の激甚化によるサプライチェーンにおけるリスクの頻度、被害規模を分析、評価します。
上記プロセスのなかで、リスクレベルのマッピング、優先順位付けを行い、企業レベルでのリスクと機会として認識されます。
リコーグループの事業に関わる主な環境関連リスクと機会には次のようなものがあります。
これらのリスクに備え、顕在化(違反や事故等の問題の発生)を予防することにより、社会やお客様からの信頼を確かなものとすることができ、ひいてはそれが事業の発展へとつながっていきます。