リコーグループの現況

(1)当年度の事業の状況

事業の経過および成果

全般の状況

経営を取り巻く経済環境

2016年度の世界経済は、先進国を中心とした財政支出と、中国をはじめとする新興国において経済成長の減速傾向に歯止めがかかり持ち直しの動きがみられたことから、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。その中において日本は、堅調な海外経済を背景とする輸出・生産増加により緩やかな景気の持ち直し傾向が続きました。米州では、前半は米大統領選の状況から不透明感が見られたものの、後半は新政権下の財政政策などへの期待感による景況感の回復が見られました。一方、欧州では、英国のEU離脱やイタリアの不良債権問題などによる先行き不透明感が継続しました。そのような中、為替も、対ドル、対ユーロともに円高基調で推移しました。

リコーウェイ

リコーグループは、事業活動の基盤となる普遍的な理念『リコーウェイ』の中で、私たちの目指す姿として「世の中にとって、なくてはならない信頼と魅力のブランドでありつづける」を掲げ、「世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献する」ことを使命としています。

そのために、「顧客起点で発想し、高い目標に挑戦しつづけ、チームワークを発揮してイノベーションを起こす。高い倫理観と誠実さを持って仕事に取り組む」を私たちの価値観として実践し、革新的な製品・サービスを提供してまいります。

中長期的な経営戦略

リコーグループの事業において中核をなす画像&ソリューション分野は、市場が大きく変化し業界全体の収益環境が悪化している状況にあります。2014年4月から2017年3月にわたる第18次中期経営計画においては、リコーグループの長期的発展を確実にする変革の3年間として位置づけ、「事業戦略・経営システム・体質改造の三位一体での変革」を進めてまいりました。

その一つ、事業戦略においては、「①オフィスイメージングでの収益力の強化と成長」と「②新たな事業の柱の構築による成長」の2つを基本戦略と定めました。「①オフィスイメージングでの収益力の強化と成長」においては、"先進国の収益力強化"と、"新興国・サービス事業での新たな収益源の確立"を、重点施策として展開しました。「②新たな事業の柱の構築による成長」においては、"商用印刷を中心としたプロダクションプリンティングならびに、産業分野での柱の構築"と、"コアアセットを活用した新規事業の創造"を、それぞれ重点施策として展開してまいりました。

当年度の業績

2016年度の売上高は、成長領域を含む産業分野と、その他分野はファイナンス事業を中心に堅調に推移したものの、カラー複合機の販売不振やプロダクションプリンティングの販売台数減少により、画像&ソリューション分野が減少しました。加えて円高の影響等もあり、売上高合計は、前年度に比べ8.2%減少し、2兆288億円となりました。

売上総利益は、売上高の減少の影響に加え、カメラ事業の有形固定資産および無形資産の減損損失17億円等により、前年度に比べ10.6%減少し 7,886億円となりました。販売費および一般管理費は、将来の事業成長に向けた構造改革に着手したことによる費用増、カメラ事業の有形固定資産および無形資産の減損損失37億円があったものの、継続的にグループをあげて取り組んでいる経費削減活動の成果や為替影響等により、前年度に比べ5.5%減少し7,553億円となりました。その他の収益は前年度に比べ大幅に減少しました。その他の費用はカメラ事業ののれんの減損損失39億円が含まれております。以上の結果、営業利益は前年度に比べ66.9%減少し338億円となりました。

金融収益および金融費用は、前年度に比べ為替差益が増加しました。税引前利益は前年度に比べ68.7%減少し299億円となりました。また、独立企業間価格の算定方法等に関する事前確認(APA)に係る相互協議が日本および米国の税務当局間で合意に至ったことに伴う影響が法人所得税費用に含まれております。なお、当該日米間のAPA合意により、移転価格課税による二重課税リスクを排除しております。以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度に比べ94.5%減少し34億円となりました。なお、開示が遅れていたインドの現地上場子会社の2016年3月期決算に計上した損失を含む69億円を、当連結会計年度に計上しています。

当社海外子会社における決算報告について

当社の海外上場子会社であるリコーインドは、2015年度4~6月期の決算報告後、コーポレートガバナンス徹底のために会計監査人を変更いたしました。その後同年度7~9月期決算において、新会計監査人から一部社員による不正行為の兆候の指摘がリコーインド経営陣・同監査委員会に対してなされました。同社監査委員会は外部専門家を選任し社内調査を進めつつ、2016年4月13日にトップマネジメントを刷新して事業の運営体制を整え、開示が遅れていた2015年度7~9月期の決算報告を2016年5月19日に行いました。その後社内調査を継続し、2016年7月19日に2015年度税引き後損失額の見込額公表後、2016年11月18日に2015年度の決算報告を行いました。

当社においては、本事案についてインドの会社法審判所に申し立てを行い、必要な対応を行っております。加えて、親会社として本事案を把握できなかった管理責任を真摯に受け止め、海外子会社への内部監査の強化など再発防止策を順次策定・実施しております。これまで、子会社経営管理の強化、子会社の外部会計監査人の適格性評価、内部監査の実効性の向上、グローバルでの内部監査部門の連携強化、コンプライアンス教育の徹底などを実施いたしました。引き続き再発防止に向けた取り組みを徹底するとともに、当社グループにおけるガバナンス強化を図ってまいります。



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