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鉛フリーのピエゾ材料

リコーはPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)材料並みの変形特性を有する鉛フリー(鉛を含まない)のピエゾ材料の開発に成功しました。

鉛フリーのピエゾ材料への取り組み

PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)は優れた圧電特性、強誘電特性をもち、センサーやアクチュエータなどとして、カーナビシステムや高精度位置決め装置などさまざまな製品に使用されています。PZTはRoHS指令の規制物質とされている鉛を含んでいるにも関わらず、代替できる特性をもつ材料が他にないために、同指令の適用除外となっており、一般に多用されています。このため、鉛フリーの材料開発が各方面で進んでいますが、実用化レベルには至っていないのが現状です。リコーにおいてもPZTは、インクジェットプリンターヘッドのアクチュエータとして使用しており、鉛フリーの材料開発に取り組んできました。

新規開発したリコー材料の3つの特徴

1)BSnT(チタン酸バリウムにスズを添加した材料系)を選んだ理由

PZTは、よく“神から賜った材料”といわれるほど優れた圧電特性を持っています。圧電特性(ピエゾ特性)とは、その材料に電圧を加えた時に電圧方向に材料が変形する特性のことです。このPZTの優れた特性はMPB (Morphotropic Phase Boundary:相境界)組成が存在することに起因しています。図1はPZTのMPB組成の状態を示しています。図のようにMPB組成では複数の異なる結晶構造が共存しているため、変形の際に変形の許される方向が増えるため、結果として圧電特性が上がることになります。

図1:PZTの状態図

図1:PZTの状態図

図2:リコーの採用したBSnTの状態図

図2:リコーの採用したBSnTの状態図

リコーは以上の点に着目して、PZT以外で上記の性質をもち、しかも鉛フリーの材料があるかを探索しました。その結果見つけたのがBSnT材料です。この材料はチタン酸バリウムにスズを添加した材料系で、図2のように適切なところにMPB組成が存在しました。

2) Si基板上に作製できる意義と課題

BSnTは良い特性の膜を得ようとすると高い温度(焼成温度)で焼く必要があり、これまでSi(シリコン)基板上に性能の良い膜を形成することができませんでした。従来は基板自体に耐熱性のあるセラミックスを使用しなければならず、微細構造体との一体化による多機能化(いわゆるMEMS化)や駆動回路との一体化(モジュール化)が不可能であり、応用分野が限定されていました。今回のリコー技術の最大の特徴は、BSnTの下地層(ピエゾ材料の下層に設ける電極層)の耐熱性を上げることで、世界で初めてSi基板上にPZT並みの変形特性を持つBSnTの成膜を可能とした点にあります。これにより、その応用範囲は格段に広がることになります。

図3は焼成温度によるBSnT膜の組織の違いを示しています。1000℃で焼成したものは大きな粒径の結晶からできている質の良い膜であることがわかります。図4は焼成温度によるBSnT材料の特性の違いを示したもので、1000℃で焼成した方が分極特性(分極量が大きいほど変形しやすい)がよいことが実証されました。

図4:焼成温度によるBSnT材料の特性の違い

図3:焼成温度によるBSnT膜の組織の違い

図1:PZTの状態図

図4:焼成温度によるBSnT材料の特性の違い(1000度焼成)

図4:焼成温度によるBSnT材料の特性の違い(右が1000度焼成)

3) CSD法(*1)採用の意義

リコー技術のもうひとつの特徴は、原材料に液体を用いている点です。従来のBSnT材料は粉体から作製するため、手間もかかり装置コストも高いエッチング加工でパターンニングする必要がありました。これに対しリコーは、原材料に液体を用いる方法(CSD法)を採用し、同じく自社開発のIJPプロセスでの製造を可能としました。これにより、材料の高い利用効率、製造コストの大幅削減、製造時の環境負荷低減、少量多品種や大面積化などへの投資が低く抑えられる、など多くのIJPプロセスの特徴が活かされ、非常にメリットの高い技術となります。

  • *1CSD法: Chemical Solution Deposition法の略でゾル-ゲル法とも呼ばれ、溶液から出発し、ゾルを経て溶液をゲルに変えることによって材料を合成する方法である。低温合成法であり、さまざまな微細構造、形態、機能をもった材料の合成に応用することができる。

鉛フリーのピエゾ材料の適用

今回開発した鉛フリーのピエゾ材料はPZTと同等の圧電特性をもち、かつ加工性にも適したSi基板上に作製できるので、将来的には現在PZTが利用されているセンサーやアクチュエータなども含めてさまざまな製品への応用の可能性が広がります。
本技術の分類:分野別「基盤技術」「環境」