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インクジェットプリンティング法によるピエゾ薄膜の形成技術

リコーはインクジェットプリンティング(IJP)法により、ピエゾ薄膜を数ミクロンの厚さで形成したアクチュエータの開発に初めて成功しました。

インクジェットプリンティング(IJP)法でピエゾ材料を扱うメリット

IJP法とは、原料のインクをインクジェットで吐出して、所望の材料を所望のパターンで形成する技術です。一般の電子デバイス作製工程(半導体プロセス)ではエッチング法でパターンを形成しますが、IJP法ではインクを塗布するだけでパターンを形成できるため大幅な低コスト化が図れます。

特に、ピエゾのようなエッチングし難い材料においては、材料の利用効率が高くなるだけではなく、素子の製造コストを大幅に抑えられる上に、工程数が少なくて済み、製造時の環境負荷を低く抑制できる特徴があります。IJP法であれば、任意のパターン形状のものが、印刷データを変えるだけで形成でき、少量多品種の生産にも対応可能です。さらに製造装置が簡単で、大面積化等の設備投資が従来の半導体プロセスの約半分に抑えられるというメリットもあります。

リコーのIJP法の特徴は、(1)耐溶剤性のある工業用インクジェットヘッドと、(2)ピエゾの原料となる特殊インク(CSD法(*1)による)を共に自社の技術で保有している点にあります。ピエゾ材料のIJP法でこの要となる両方の技術を保有する企業は世界に数社しかありません。


  • *1CSD法: Chemical Solution Deposition法の略でゾル-ゲル法とも呼ばれ、溶液から出発し、ゾルを経て溶液をゲルに変えることによって材料を合成する方法である。低温合成法であり、さまざまな微細構造、形態、機能をもった材料の合成に応用することができる。

パターン精度向上の技術

IJP法で正確なパターンを描くためには、多くの技術が必要となります。リコーは図1のように基板表面の親水-疎水性を制御する技術(親水性領域のみに目的とする機能性層が形成できるようになり、パターンの精度があがります)とインクの吐出制御技術、さらには不要物を排除しながら厚膜を焼く焼成技術等を開発しており、これらの集積があってはじめて正確なパターン形成が可能となりました。

図1:IJP法概要

図1:IJP法概要

膜厚を均一に作る技術

コーヒー滴をこぼした時に、滴の周辺部だけ色の濃いシミが残る現象をコーヒーステイン現象といいますが、IJP法でパターンを描く際にも、図2のように乾燥の過程で液の対流が起こり周辺部の濃度が濃くなる現象が発生します。リコーはこれを、溶剤の種類と乾燥速度を工夫することで抑制し、解決しました。

図2:コーヒーステイン現象

図2:コーヒーステイン現象

図3は、本技術により作製したアクチュエータの実サンプルで、左はコーヒーステイン現象対策前の膜厚データ、右は対策後の膜厚データを示しており、対策後の方が均一であることがわかります。

図3:コーヒーステイン現象対策前後の実サンプルでの膜厚測定比較 (左)対策前 (右)対策後

図3:コーヒーステイン現象対策前後の実サンプルでの膜厚測定比較 (左)対策前 (右)対策後

IJP法で形成したPZT膜の特性

図4はIJP法で塗布したPZT薄膜(厚さ2ミクロン)の実サンプルの拡大写真です。黒い部分がPZT部分で、ラインのはみ出しなく均一なパターンが形成できています。

図5は走査型電子顕微鏡(SEM)による断面写真です。中の薄い線はIJP法による塗布界面で、ほぼ等間隔に規則正しくできており、PZT膜の内部にボイド(空隙)などの欠陥のない良質な膜であることがわかります。

図4:実サンプル拡大写真

図4:実サンプル拡大写真(厚さ2μm)

図5:PZT2μmの断面SEM写真

図5:PZT2μmの断面SEM写真

図6は作製したPZT膜の分極特性を示したものです。印加電圧に対する分極量が大きいほど、膜の変形特性も大きいことを示しています。点線はスピンコート法(基板を高速回転させて遠心力で薄膜を形成する方法)で作製したもので、実線がIJP法で作製した膜の特性です。IJP法の膜がスピンコート法と同等以上の特性であることがわかります。このIJP法でアクチュエータを実際に作製し、実用上十分な変位特性が得られることを確認しました。

図6:PZT膜の分極特性(実線:IJP法、点線:スピンコート法)

図6:PZT膜の分極特性(実線:IJP法、点線:スピンコート法)

広がるIJP技術の活用

IJP技術は既に液晶パネルの製造工程や3次元プリンター等の分野で実用化されています。また、今後はフレキシブルディスプレイや太陽電池等のプリンテッドエレクトロニクス分野や半導体を直接IJP法によりパターンニングする電子素子分野においてもその応用が期待されています。