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現像剤流れ解析技術

観察困難な電子写真の現像剤粉体の流れを、エックス線可視化やシミュレーションにより解析します。

現像プロセス設計に役立つ現像剤流れの観察技術

通常私たちが使っている複写機やプリンタの一方式である二成分電子写真方式では、直径数μmのトナーと数10μmのキャリア(鉄粉)という微粒子から成る現像剤という粉体を用いて画像を作ります。トナーは画像を紙の上に形成し、キャリアはトナーを運ぶ役目を担っています。現像剤は装置内を回転する搬送スクリューやパドル(攪拌機)によって攪拌されながら循環しています。そして「現像」というプロセスで、画像形成に必要なだけトナーが消費されます。現像プロセスでは画像品質を一定に保つために、現像剤の流れを制御することはとても重要です。不均一な流れが発生すると画像ムラ等の問題が起こるからです。

新しい現像プロセスを設計する時には、現像剤の流れを正確に評価しなくてはなりません。ところが粉体の流れは「非線形」という性質を持っており、計算で予測するのは難しいという問題があります。さらに、現像剤は内部の挙動が観察できないため、実験で評価するのも困難でした。

そこで私たちは現像剤流れの観察技術として「エックス線可視化技術」を、計算予測技術として「並列化粒子シミュレーション技術」を開発しています。これらの技術は現像プロセスの設計時に役立っています。


図1:可視光で見た現像剤搬送路

図1:可視光で見た現像剤搬送路

可視光では困難な内部の流動構造観察を行うために、エックス線吸収率の高い粉体をトレーサーとして現像剤の内部に注入し透過エックス線で可視化しました。現像剤や容器はエックス線がほとんど透過するので、トレーサーの動きだけが観察できます。トレーサーは現像剤の動きに追随することを別に確認しているので、トレーサーの動きで流れの特徴が分かります。

図2は色々な搬送スクリューを用いたときの、流れの構造の違いをパスライン(トレーサーの軌跡)によって表したものです。色は経過時間を示しています。トレーサーの動きを画像解析することによって、速度や攪拌の強さも計測することが可能です。

図2:エックス線可視化による様々なスクリューの現像剤流れの構造

図2:エックス線可視化による様々なスクリューの現像剤流れの構造

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並列化粒子シミュレーション技術

粉体の動きは非常に複雑で、一般の流体力学の方程式を使ったシミュレーションではうまく再現できません。そこで現像剤粉体に含まれる全ての粒子の動きを一粒一粒計算することで、粉体としての流れの挙動を予測する離散要素法という手法を用います。この方法は、十分正しく動きをシミュレーションできるのですが、現像剤に含まれる粒子の個数は非常に多数のため計算時間も膨大になるという問題がありました。

そこで、計算システムとして共有メモリ型計算機を複数台ネットワーク接続したコンピュータクラスタを用いました。粉体の流れ領域を複数に分割し、各領域の計算を各計算機に割り当て、計算負荷を分散するプログラミングを行い計算時間の短縮を図りました(図3)。

図3:コンピュータクラスタシステムによる領域分割計算

図3:コンピュータクラスタシステムによる領域分割計算

図4はこの方法を用いて計算された「磁気ブラシ」と呼ばれる磁場中で形成される現像剤の三次元挙動です。



図4:磁気ブラシの3次元挙動シミュレーション

トナーを帯電させるために現像剤にブレードを強く押し当て、摩擦力を与えるという工程があります。図5はそのブレードによって狭窄された流路を通過する現像剤シミュレーションの結果です。色は粒子の初期位置を表しており、ブレード周囲でどのように現像剤が混ざり合っているかが分かります。



図5:ブレードを通過する現像剤挙動のシミュレーション

現像プロセスの設計にこのようなシミュレーション技術は非常に有効です。可視化技術は観察技術としてだけではなくシミュレーションの精度を高めるのにも必須であり、双方の技術力を高めていく必要があります。



技術の先進性

エックス線可視化技術

従来内部の構造が不明だった粉体流動を、エックス線を用いることで初めて観察できるようになりました。特にスクリューの形状によって流動構造が大きく変化し、搬送や攪拌に影響を与えることは全く知られていないことでした。本技術の先進性は可視化情報学会でも認められ、2008年学会賞を受賞しています。

並列化粒子シミュレーション技術

粉体を精度良く計算できる粒子要素法は膨大な計算負荷から、なかなか実用に至りませんでした。本技術はコンピュータクラスタを用いて、最適な並列化プログラミングによって計算速度を向上させ、実用上十分な計算時間・粒子個数を達成しています。特に二次元断面のシミュレーションは高速性・利便性から、現在現像プロセス設計にはなくてはならないツールになっています。

モノづくりにおける可視化で製品価値の向上

本技術はシミュレーション活用により、現像プロセス設計においても、リコーの設計思想である「作らずに創る」を実現するものです。本技術は、二成分現像方式を用いるコピーやプリンタの現像プロセスの設計に利用され、設計期間の短縮・不具合の解決への貢献が図られています。

「可視化」「見える化」という技術は、プロセスの不明な物理メカニズムの解明に非常に役立ちます。本技術によって不明な現象の理解を進め、製品価値の向上につなげていきます。