Skip to main content Skip to first level navigation
Breadcrumbs

Share

Main content

SPECIAL【座談会】 MFPの未来はここから始まる。「RICOH MP 305+ SPF」

FrontRunner フロントランナー MFPらしくないスタイルから、新しいリコーを感じてください。

2015年10月15日、リコーは新しいデジタルモノクロ複合機(MFP)を発売しました。「RICOH MP 305+ SPF」です。幅350ミリのコンパクトサイズでありながらA3用紙を扱うことができ、デスクサイドに置いても気にならない静かさ。これまでの製品とは一線を画す性能とデザインのMFPは、どのようにして生まれたのか。メンバーたちの証言を交えてお伝えします。


STEP1

商品企画、デザイン、プロジェクトマネージャー、マーケティング奮闘編

「いったんMFPの常識を忘れてみないか」

画像:商品企画担当 山田和弘(やまだ・かずひろ)

商品企画担当 山田和弘(やまだ・かずひろ)

「関係者全員が英知を結集し、120%の力を発揮しながら愛情を込めてつくり上げました。リコーだからこそできた商品だと考えています」

画像:デザイン担当 武田修一(たけだ・しゅういち)

デザイン担当 武田修一(たけだ・しゅういち)

「外観だけでなく操作性を含む細部もかなりこだわってつくり込みました。ぜひそれを実感していただけたらと思っています」

画像:プロジェクトマネージャー 藤森浩一(ふじもり・こういち)

プロジェクトマネージャー 藤森浩一(ふじもり・こういち)

「一度使っていただければ、サイズや静音性などのメリットを実感でき、必ずや愛着を感じていただけるものと確信しています」

画像:マーケティング担当 橋本昌和(はしもと・まさかず)

マーケティング担当 橋本昌和(はしもと・まさかず)

「お客様に心から納得していただける商品ができたと思っています。『リコーを選んで正解だった』と感じていただけるに違いありません」


ちょっと悔しいぞ(商品企画担当者は、悩んでいた)

RICOH MP 305+ SPFの誕生の背景には、リコーで商品づくりに携わる人たちの長年の思いがありました。商品企画を担当した山田和弘もその一人です。2001年にリコーへ入社した彼は、国内販社をはじめ、事業戦略、商品企画、海外駐在などの部門を転々とする中で、「リコーの商品はお客様に喜ばれているのだろうか。他社と何が違うのだろうか」と考え続けてきました。「とりあえずコピーやスキャン、ファクスができればいい。MFPはどれも同じ、そう思われているのではないか。そうだとしたら、悔しいぞ」と。
お客様に喜ばれる商品、ワクワクしていただける商品をつくりたい、そんな山田の想いを実現するチャンスがついに訪れます。RICOH MP 305+ SPF開発のためのプロジェクトがスタートしたのです。2012年4月のことでした。


これまでの概念を覆そう(デザイナーは、決意を固めた)

お客様がワクワクするようなMFPをつくれたら。それは商品デザイナーの武田修一の想いでもありました。入社して10年(2012年当時)、商品の外装デザインを数多く手がけてきた彼は、公共物として誰からも嫌われず、誰もがそれなりに使える最大公約数的なMFPとして正しいデザインを考えてきました。
一方で、既存の概念を崩すような、お客様からエモーショナルな部分で支持されるMFPデザインの可能性についても考えていました。そんな彼にとって、RICOH MP 305+ SPFの開発プロジェクトへの参加は絶好のチャンスとなり、以降、彼はお客様に対するメンバーの想いを形にする役割を担い続けます。

デザイナー紹介 This is KO・DA・WA・RI Vol.10 「身近に置きたくなるMFPを目指して」

画像:これまでの概念を覆そう(デザイナーは、決意を固めた)

チャレンジ精神が再燃した(プロジェクトマネージャーは、気づいた)

「今までにないMFP? ワクワク感?」、プロジェクトマネージャーとして開発に参加した藤森浩一は、商品企画担当やデザイナーの意気込みを知って驚きました。「そんな尖った考えを持った人が社内にいるのだ」と。彼は1991年に入社し、以来ファクスやリサイクル事業分野で仕事をしてきました。MFP以外の経験が豊富だったことが、結果的に、RICOH MP 305+ SPFという“異端”のMFP誕生にとって功を奏したのかもしれません。
しかし、当初の自分を振り返り「商品企画担当やデザイナーとは温度差があった」と藤森は明かします。「ワクワク感を抱かせる商品なんて本当につくれるのか」と。ところが、メンバーとコンセプト作りのための議論を深めていくうちに、彼の中で眠っていた何かが目を覚まします。「自分は無難なところで収まろうとしていたのではないか。よし! 冒険を恐れず、一丁やってみようか」。作り手たちのこの心意気こそが、お客様にワクワクしていただける商品づくりに一番必要なことだったのです。


横並びはごめんだ(マーケティング担当者は、変化を望んだ)

マーケティング担当者も早い時期からプロジェクトに参加しました。市場やお客様のニーズを肌で理解している彼らのアドバイスなしに、お客様に喜んでいただける商品づくりはできません。その役割を担ったのが、橋本昌和です。2006年の入社以来、販売の第一線で活躍してきました。その中で、MFPの機能競争が進み、どんどん複雑化していくことに疑問を感じていました。
「数ある中から選択していただくためには、お客様からの『Why RICOH?』の問いかけに回答できる、他にはない価値を持つ商品でなければならない」と橋本は思い続けていたのです。操作性などの使いやすさでは、リコーが他社をリードしている。そうした面は堅持しつつ、他社と横並びにはならない、分かりやすい商品をぜひつくりたい。マーケティング担当者としての責任感に橋本は奮い立ったのです。

画像:横並びはごめんだ(マーケティング担当者は、変化を望んだ)

スリム&コンパクトにこだわる(メンバーの熱気がプロジェクトを動かす)

プロジェクトスタートから数ヶ月後にはRICOH MP 305+ SPFの基本コンセプトができあがりました。「身近に置きたくなるMFP」。デスクサイドに置いて違和感がないというだけでなく、むしろ積極的に置きたくなる商品。そのためにはサイズを徹底的にコンパクトなものにしなければなりません。このことは、企画のメンバーが全世界のお客様を対象に実施した調査でも裏付けられました。
そして導き出されたのが、幅350mmという数字でした。「このラインは譲れない」と山田は言い切ります。既存のMFP(A4モノクロ機)はどれも400mm以上ありました。それより小さくてA3も扱える商品(*)なら、きっとお客様に歓迎されると確信していました。これを受けて、「洗練されたデザイン」をコンセプトワードに、社外を含む多数のデザイナーが数十点のデザイン案を作成、壁に貼りだしてプロジェクトメンバーと議論を重ねました。「尖りすぎ」「現状打破にはこれくらい必要」「オフィスにマッチするか」等々、より良いものをつくろうという熱気に包まれた日々が続いたのです。

* A3も扱える商品:リコーではA3対応機のお客様使用状況を徹底的に調査した結果、A3出力の頻度が少ないお客様が相当数いることが分かりました。そこから「普段はA4をメインにして、必要な時だけA3を扱えるMFP」という企画が生まれました。

RICOH MP 305+ SPF でのA3両面コピーの説明動画


STEP2

設計・開発奮戦編

リコーが考えるMFPの未来をかたちにしよう

画像:静音化技術担当 石田雅裕(いしだ・まさひろ)

静音化技術担当 石田雅裕(いしだ・まさひろ)

「要素開発での静音化技術を惜しみなく投入することができました。これまでMFPを置くことが難しかった場所でも安心してお使いいただくことができる商品になりました」

画像:本体メカ機種リーダー 島信広(しま・のぶひろ)

本体メカ機種リーダー 島信広(しま・のぶひろ)

「今回これまでにも増して細部にわたり神経を配って開発しました。企画の要望にほぼ応えられたのではないかと考えています。自信を持って市場へ送り出せました」

画像:本体構造設計担当 西隆行(にし・たかゆき)

本体構造設計担当 西隆行(にし・たかゆき)

「制約も多く苦労の連続でした。それだけに達成感も大きく、開発に携われたことを心から喜んでいます。貴重な経験ができました」

画像:気流設計担当 星勝博(ほし・かつひろ)

気流設計担当 星勝博(ほし・かつひろ)

「試行錯誤の繰り返しでしたがこの経験は今後の設計業務の基盤となるものだと思っています。一回り成長できた気がします」


要素開発の成果を世に出せる(静音化技術担当者は、チャンス到来と喜んだ)

「これはやりがいのあるテーマだ」。最初に企画の趣旨を聞かされた時、静音化技術担当者の石田雅裕は、そう感じました。「A4サイズでA3出力できるMFPなんて聞いたことがない。それを自分たちの手でつくれる」と。石田は入社7年目(2012年当時)、これまで商品設計や要素開発などに携わってきました。中でも静音化については数年前から取り組んできたテーマだったので、その成果を商品に搭載できるチャンスが巡ってきたことに胸が高鳴りました。以来約3年、開発途上で難関にぶつかるたびに、この「自分たちの手で世に出す」という初志を思い出し、自身と周囲を励まし続けたのです。


奥に寝かせたものを上に乗せる(メカ機種リーダーは、大胆な決断を下した)

「さて、どうしたものか」。本体メカ機種リーダーの島信広は、商品の仕様を聞いて頭を痛めました。幅350×奥行き460×高505mmにすべてを収めて、しかもA3通紙を可能にするには、A4を横搬送させなければなりません。これでは、作像ユニット(感光体や現像器などを一まとめにした装置)と駆動ユニット(ローラなどを動かすための部品を一まとめにした装置)を並べるのが精一杯で、電装ユニット(電気系統部品を一まとめにした装置)を配置することができません。設計経験22年(2012年当時)のベテランだった島も、思わずうなってしまいました。
作像系と駆動系の配置は変更不可能です。考えられる方法はただ一つ、これまで背面に配置していた電装ユニットを上部に移動させるしかありません。「この思い切ったレイアウト変更で、A4を横送りできるコンパクト設計のめどが立った」と島。さらに駆動系のダウンサイジングを進めることでサイズ要求に応えられそうだと、見込んだのです。

画像:奥に寝かせたものを上に乗せる(メカ機種リーダーは、大胆な決断を下した)

こんなデザイン、見たことがない(本体構造設計担当者は、唖然とした)

本体構造設計担当者の西隆行は、レイアウト図を見て目を丸くしました。「無事収まるのか」と。理由は、デザインが要求してきた本体の角R(角の丸みの半径)にありました。要求されたコンパクトサイズを実現するだけでも困難だと感じていたところへ、さらに四隅に丸みを持たせて欲しいという要求。入社4年目(2013年当時)、デジタル印刷機の本体駆動設計などに携わってきた彼が、これまで見たこともないほど緩やかな角Rでした。外装のRが大きいほどフレームのサイズが小さくなりユニット配置の余裕がなくなります。難しい要求でしたが、創意工夫により、従来のMFPにはない美しい丸みを持たせることができました。

画像:こんなデザイン、見たことがない(本体構造設計担当者は、唖然とした)

また奥行きも当初計画よりも10mm伸ばすことにしました。「背面をフラットにしたいというデザインの要求に何としてでも応えたかった」と西は語ります。それでも“余裕”の二文字からはほど遠く、なおも0.1mm単位での挑戦が続きました。コンパクトでありながらA3通紙可能なMFPは、こうした設計者たちの努力から生まれたのです。

画像:フラットな背面 フラットな背面

狭すぎて逃げ場がない(気流設計担当者は、焦った)

コンパクト化のしわ寄せで苦労していたのは、気流設計を担当した星勝博も同じでした。本体内の熱対策のために、送風や排気の最適化を図るのが彼のミッションです。2010年入社の星は、それまで高速機の気流設計を手がけてきました。内部に比較的余裕があり、しかも多くのファンを配置できる高速機とは違い、今度はスペースが限られ、さらに静音化という課題もプレッシャーとなりました。「とんでもないテーマを与えられたものだ」と星は思いました。モジュール間が密接しているためダクト形状が制限され、さらにデザイン性を優先して、背面以外はルーバー(気流を制御するための羽根)を設けてはならない、という厳しい条件も課せられました。その上、静音化のためにファンの数を最小限に抑え、回転数も下げるよう要求されたのです。
星は連日シミュレーションを繰り返しながら、この難題に挑んでいきました。不要なファンの回転をなくすため温度検知のセンサーを組み込んだり、最大の熱源となる定着部に空気断熱層を設けるなど、斬新な方法を次々と考え出していきました。こうして、コンパクト化やデザイン性を犠牲にすることなく静音化と温度上昇の両立を成し遂げたのです。

画像:狭すぎて逃げ場がない(気流設計担当者は、焦った)

静かに、もっと静かに、もっともっと静かに(立ちはだかる60dB(A)の壁)

構造設計チームが0.1mm単位での試行錯誤を続ける一方で、静音化技術チームは0.1デシベル(dB(A))単位での取り組みを進めていました。目標値は57dB(A)。これは静音化技術チーム自らが立てた目標でした。「従来のデスクサイド機が63dB(A)前後なので、これを圧倒的に凌駕しよう。そうでなければつくる意味がない」と。
音は-3dB(A)ごとに半減します。-6dB(A)で約75%減、-9dB(A)で約88%静音化できる計算です。騒音の主要発生源である駆動用歯車かみ合い方式を一新(内歯歯車(*))したほか、外装カバーの間を迷路形状(ラビリンス構造)にして音漏れを低減するなどの、数々の新しい静音化技術を次々と駆使していきました。これだけでも従来比半減にまで抑え込めましたが、そこから先に進めません。「60dB(A)の壁」と石田は表現します。要因は紙の搬送音にありました。万事休す!

* 内歯歯車:円周の内側に歯を設けた歯車のこと。外歯歯車に比べ、歯車同士があたる音が低減する。


壁の向こうには新しい世界が広がっていた(もう置き場所に困らない)

60dB(A)の壁を突破するために、石田は思い切った手を打ちます。要素開発で取り組んでいた消音器(ヘルムホルツ消音器(*))を、排紙トレイ近傍に搭載することにしたのです。搭載にあたってのポイントは2つ。音の発生源に応じた消音性能を得られるよう設計することと、シンプルな構造にしてコストを抑えることでした。測定と試作を何度も繰り返し、騒音の周波数に対応した消音器を設計しました。そして、モールドと板金の組み合わせというシンプルな構造で仕上げたのです。
これによって、60dB(A)を下回ることができ、さらに搬送音の低減化やファンの低騒音化などにより目標の57dB(A)を達成した上、最終的には56.3dB(A)、そして静音モードでは53.4dB(A)という圧倒的な静音化を果たしました。こうして、たとえば図書館のような静かで落ち着いた雰囲気の中でも気兼ねなく使用できるMFPが誕生したのです。

RICOH MP 305+ SPFの静音モード説明動画

* ヘルムホルツ消音器:「ヘルムホルツ共鳴」と呼ばれる共鳴現象を発生させた消音技術。

画像:ヘルムホルツ消音器

STEP3

RICOH MP 305+ SPFを通して、リコーの新しいファンをつくっていきます

2015年7月、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で『Value Presentation 2015』(主催:リコージャパン)が開催されました。これは、新たな価値をお客様と共につくるための催しです。ここにRICOH MP 305+ SPFを参考出展したところ、お客様から高い評価をいただくことができました。曰く「今までのリコーにはなかったユニークな商品だね」「これだけコンパクトでA3出力もできて、しかもMFPだなんて、よく考えたものだ」「これまで気がかりだった音が静かになったのはとても嬉しい、デスクサイドに置きたい」……。
今までにないMFPをつくりたいとの想いは、3年の歳月を経て、ついにお客様のもとへお届けすることができたのです。今後、このMFPを世界中のお客様にお使いいただき、それによってリコーのファンをさらに増やしていきたい――。メンバーたちの想いはさらに広がっていきます。

画像:RICOH MP 305+ SPFを通して、リコーの新しいファンをつくっていきます

RICOH MP 305+ SPFの操作イメージが確認できます

リコーはMFPやプリンターの設置イメージを仮想的に3D表示できるスマートデバイス向けアプリケーション「RICOH AR」を無償提供しています。RICOH MP 305+ SPFの設置イメージ、印刷イメージ、各カバーやARDF(自動原稿送り装置)などの開閉イメージを再現できます。ぜひ、RICOH MP 305+ SPFのコンパクトさと利便性を仮想体験してみてください。

画像:RICOH MP 305+ SPFの操作イメージが確認できます