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トップメッセージ

代表取締役社長執行役員・CEO  大山 晃

“はたらく”に寄り添い、
お客様の生み出す力を支える
デジタルサービスの会社へ

大山 晃
代表取締役
社長執行役員・CEO

2023年9月6日


多様性と自律性でリコーを信頼される企業へと成長させる

2023年4月に代表取締役 社長執行役員・CEOに就任した大山晃です。経営トップとして、これまでにない大きな責任を担うことになり、身の引き締まる思いです。

また4月には企業理念「リコーウェイ」を改定し、「“はたらく”に歓びを」を使命と目指す姿に位置付けました。この実現に向け、はたらく人に寄り添い、はたらく人の生み出す力を支える「デジタルサービスの会社」への変革を加速していきます。

私はCEOとしてリコーの企業価値を向上させ、未来につないでいくことを自身の使命ととらえ、株主、社員やその家族、お客様やお取引先、社会など、すべてのステークホルダーに絶大なる信頼をいただける会社を目指し、まい進する所存です。

私自身のキャリアを振り返ると、海外、特に欧米に身を置いた期間が長く、組織運営における多様性の大切さを身に染みて実感しました。その中で、私が重視してきたのが人との対話、コミュニケーションです。国や地域が違えば言葉や文化が異なります。欧州駐在時にはそうした異なるバックグラウンドを持った者同士が融合し、それぞれの個性や異なる意見を汲み取りながら、多様な考えを尊重し合うことで、新たなシナジーを生み出すカルチャーを醸成してきました。同質化した組織は進化しません。「デジタルサービスの会社」への変革を実現するため、社員の多様性を尊重し、一人ひとりの自律的な成長を支援することでさらなる挑戦を促し、それが事業成長へとつながるよう、マネジメントを行ってまいります。

20次中計:改革を断行し、「デジタルサービスの会社」への助走を完了

第20次中期経営計画(20次中計)では、「デジタルサービスの会社」への変革を掲げ、買収を含む成長投資を進めながら、経営基盤の強化に向けて、組織や制度、ITシステムなどの社内改革も推し進めました。2021年4月に社内カンパニー制を導入し、各ビジネスユニット(BU)への権限委譲を進め、各BUがそれぞれの市場で起こる変化に迅速に対応できる体制を構築しました。加えてROIC経営や事業ポートフォリオマネジメントにより、収益率向上や体質強化に向けた取り組みも加速しています。さらに、戦略実行力の強化を目的に、2022年4月にリコー式ジョブ型人事制度を導入するなど、人的資本に対してもさまざまな取り組みを進めてまいりました。一方で、世界的なサプライチェーンの混乱により、複合機を中心としたデバイスの供給が滞り、業績に影響を与えるなど、この数年は外部環境変化への対応に追われました。

最終年度である2022年度の業績は、売上高が当初目標を上回る21,341億円と増収となりましたが、プリントボリュームの回復遅れやハードウェアの部材不足、原材料価格の高騰などの影響によって、営業利益は当初目標を下回る787億円、ROEも目標に届かず5.9%となりました。一方で、社会課題解決に向けた取り組みを着実に推進し、世の中からも高い評価をいただくことができました。リコーでは、ESGの取り組みを「非財務」ではなく、事業における将来のリスク回避・機会獲得につながる「将来財務」と位置付けて活動しています。今後もESGを推進し、持続可能な社会の構築に貢献することが事業成長につながるという、リコーグループの同軸経営の考え方を実践していきます。

リコーならではのデジタルサービスで新たなストックビジネスを確立

代表取締役社長執行役員 CEO  大山 晃

基本方針の1つ目「地域戦略の強化とグループ経営の進化」のポイントである、デジタルサービスのストック収益の積み上げについてご紹介します。

リコーのプリンティングビジネスは、複合機の販売というフロー(売り切り型)ビジネスを起点に、印刷に伴う消耗品販売やお客様先での保守サービスなど、利益率の高いストックビジネスにより安定的な収益を確保してきました。今後はデジタルサービスの会社としての成長を確実なものにするため、プリンティングビジネスに加え、新たなストック収益の創出を加速させます。お客様の課題に合わせたさまざまなデジタルサービスを提供し、デバイスやIT環境のサポート・サービスや、SaaSベースのアプリケーション・サービスなどのストックビジネスを成長させ、地層のように収益基盤を積み上げていきます。

デジタルサービスの市場には高い成長性があります。その中で、複合機に代表されるデバイスを通じてグローバルに広がる顧客ネットワークは、私たちの大きな強みです。文字や写真、音声・動画など、人が認知可能なアナログ情報と機械・ソフトウェアが処理するデジタル情報の出入り口となる独自の優れたエッジデバイスを、リコーグループは多数保有しています。これらのエッジデバイスと、自社やパートナーのさまざまなアプリケーション・サービスとをRICOH Smart Integration(リコーグループ共通のプラットフォーム)上で融合し、お客様の“はたらく”のDXに貢献します。特に中堅・中小企業のお客様の場合、自社内にITの専門性を持つ人材が不足しているため、専門性を持った体制によるサービス・サポートが不可欠となります。この点において、業界随一の販売・サポート体制でお客様に寄り添い続けてきたリコーだからこその強みがまさに活きてくる、また市場優位性につながる領域であると確信しています。

デジタルサービスの提供能力を強化するために、グローバルで買収や業務提携を着実に進めています。2022年度には業務用スキャナーで世界No.1のシェアを持つ株式会社PFUをリコーグループの一員に加えました。2023年5月には、2024年度前半をめどにリコー、東芝テック株式会社両社の開発・生産に関する技術的な強みを持ち寄り、合弁会社を組成することを発表しました。デジタルサービスの提供には、競争力のあるエッジデバイスが欠かせません。リコーグループやパートナーの技術やノウハウを掛け合わせ、シナジーを創出することで、競争力の高い、強いものづくりを実現していきます。また、ワークフローのデジタル化領域を広げるため、2022年度にサイボウズ株式会社と業務提携し、RICOH kintone plusを日本や北米で展開するなど、アプリケーションの拡充を進めています。さらに、デジタルサービスの提案能力を強化するためのデジタル人材教育にも力を入れています。