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ニュースリリース

リコー、半導体センサとして初めて250℃までの高温測定を可能にした温度センサを開発
~SOIウエハを用いることで実現~

2007年10月1日
株式会社リコー

 株式会社リコー(社長執行役員:近藤史朗)は、SOIウエハ※1を用いることにより、半導体センサとして初めて250℃までの高温測定を可能にした温度センサを開発いたしました。

 従来の一般的な半導体温度センサは、バイポーラトランジスタのV BE※2やダイオードの順方向電流が持つ温度特性を利用して温度を測定していました。これらの方式では、センサーならびに周辺回路の温度が上昇した場合に、PN接合※3に本来できるだけ流れて欲しくない電流(=逆バイアス電流)が発生し、高温時の温度検出や回路動作に影響を与えるため、150℃程度の温度までしか測定することができませんでした。
 今回開発した温度センサは、(1)PN接合の面積を絶縁体によって大幅に削減できるSOIウエハを用いることで、動作を不安定にする逆バイアス電流を低減するとともに、(2)温度測定に異なる2つの半導体が持つ仕事関数差の温度特性を電圧として取り出すことで、温度センサ部の電流の温度依存性の影響を排除しました。これにより、半導体センサとして初めて、250℃まで測定が可能な温度センサを実現しました。

 半導体による温度センサは、金属やセラミックを用いた温度センサに比べて小型・低価格化が可能な上、CPUなどの回路との集積ができるというメリットがあります。今回、半導体センサで高温への対応を可能にしたことにより、自動車のエンジンマネジメントや航空、宇宙分野など幅広い用途での利用が期待できます。
 リコーでは今後、実用化に向けてニーズの探索、製品化技術の深堀を進めてまいります。

 なお本件については、今年10月1日~4日に米国カリフォルニアにて開催されるIEEEの国際会議SOI Conference 2007(late news)で、その動作原理や測定結果について講演いたします。
  • ※1SOIウエハ:半導体材料の一種で、Silicon On Insulatorの略。絶縁膜を内包することにより、一般的な半導体材料に比べ、PN接合の面積を大幅に削減できるため、低消費電力、高い耐放射線性、高い耐高温性などの特徴がある。
  • ※2V BE:ベースエミッタ間電圧。これを用いて温度測定をする場合、2つのバイポーラ間の電流比を一定にする必要がある。
  • ※3PN接合:半導体回路においてP型部とN型部が接している部分。半導体にはP型とN型の2種類があり、その接合部に電圧を加えた際の電流の流れ方で様々な動作を行っている。
  • 今回開発した温度センサ
    今回開発した温度センサ