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ニュースリリース

半導体レーザー「ハイパワーVCSEL(ヴィクセル)モジュール」を開発

~レーザー点火、レーザー加工機、センシング用途の展開を視野~

2016年7月6日
株式会社リコー

   株式会社リコー(社長執行役員:三浦善司)は、エンジンなどの点火用途にも使用可能となる高出力なファイバーカップリング式808nm帯半導体レーザー「ハイパワーVCSELモジュール」を開発しました。

   ハイパワーVCSELモジュールには、高い出力性能、コンパクト性、温度変化に対する波長安定性という3つの技術優位性があります。

   リコーは、プロダクションプリンターなどの書き込み光源として商用化したVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser*1)素子を用いた新しいアプリケーションの開発を行ってきました。

   今回、VCSEL素子の発光効率の向上、発光チャンネルの大規模集積化により、アレイの大幅な高出力化を実現しました。さらにモジュール全体の放熱性を高めたことにより、コージェネレーションシステムなどで使用される発電用ガスエンジンの点火方式として注目されている、レーザー点火プラグヘッドのレーザー結晶の励起用光源に必要な高いエネルギー出力が可能になりました*2(QCW(擬似連続波発振)動作:200W)。

 

ハイパワーVCSELモジュールの技術優位性

1. 高い出力性能

   VCSELアレイ単体の出力310W、モジュールとしてのファイバーアウト出力200Wを達成し、ファイバーカップリング式のVCSELモジュールとしてはこれまでに無い高い出力が可能になりました。*3

 

2. MLA実装技術によるコンパクト性

   本VCSELモジュールでは、面上に膨大な数の発光チャンネルを有するVCSELアレイと、各発光チャンネルに対応するレンズを1枚のチップに集積したMLA(Micro Lens Array)とを用いることで、従来の端面発光レーザーを用いたモジュールよりも極めて少ない、数点の部品での実装と小型化を実現しました。

 

3. 温度変化に対する波長安定性

   VCSELはその構造上、従来の端面発光レーザーに比べ波長の温度安定性が10倍程度高く、温度変化に対する波長安定性に優れています。レーザー点火プラグヘッドのレーザー結晶などに使われる固体レーザーの励起においては、安定した出力を実現するため、励起光の波長安定性が極めて重要です。上述の波長安定性により、精密な温度コントロール装置が不要となり、VCSELモジュールの大幅な小型化が可能となります。

 

   これらの技術優位性に加え、リコーが培ってきた独自の光学技術を組み合わせることにより、多様なアプリケーション向けのレーザーデバイスやモジュールの供給を行うことができます。

   今後、リコーは、レーザー加工機、レーザーパターニング等の表面加工、非熱加工、センシング、といった用途への展開も見据え、さらなるアプリケーション開発を進めてまいります。

 

*1 VCSELとは面発光レーザー素子と呼ばれる半導体レーザーデバイスで、従来の半導体レーザー素子である端面発光レーザー素子と比較して、製作や取り扱い、実装が簡単であり、高出力動作でもレーザー光による端面損傷による故障が無いため高い信頼性を備えています。

*2 本開発には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)戦略的省エネルギー技術革新プログラムの助成を一部受けています。

*3 駆動条件:500μs(パルス幅)、20Hz(繰り返し周期)。

 

画像:左:ハイパワーVCSELモジュールにファイバーと空冷装置を装着。右:ハイパワーVCSELモジュール。
左:ハイパワーVCSELモジュールにファイバーと空冷装置を装着
右:ハイパワーVCSELモジュール

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