AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約

Science December 8 2017, Vol.358

イッカクの逃走(The flight of the narwhal)

動物は脅威に対して、攻撃、逃避、すくみという、よく知られた行動で反応する傾向にあり、それぞれが異なる一連の生理的反応を必要とする。海獣は、酸素が得られず、圧力に順応しなければならない環境に逃げ込むことになるかもしれないという理由から、特有の課題に直面する。Williamsたちは、絡まった網から解放した後のイッカクに、水中用の心電計、深度記録計、および加速度記録計を設置した。この動物は、心血管系とそれが保護する組織に極度のストレスをかけるという、相反する心血管反応を同時に示した。(Sk,kh)

Science, this issue p. 1328

腎臓疾患での足掛かりを得る?(Gaining a foothold on kidney disease?)

世界的に見た腎臓疾患の主要因は、巣状分節性糸球体硬化(FSGS)として知られている。FSGSは、腎臓での血液ろ過機能に必須の独特の細胞型である、蛸足細胞の損失と関係している。蛸足細胞は、毛細血管に巻き付き、尿への血漿タンパク質の漏れ(タンパク尿)を防ぐ足突起の絡み合いを形成する。Zhouたちは、TRPC5イオン・チャンネルを選択的に阻害する化合物を用い、蛸足細胞の損失を防ぐことにより、異なる2つの腎臓疾患のマウス・モデルでタンパク尿を抑制した(ChungとShawによる展望記事参照)。短期検討では、この化合物は検出可能な副作用を示さなかった。このため、TRPC5阻害剤は、進行性腎臓疾患に対する療法として、詳細検討に値するかもしれない。(MY)

【訳注】
  • 巣状分節性糸球体硬化症:高タンパク尿を伴い、徐々に腎機能障害が進展する疾患。
  • TRPC5:生体内外からの環境刺激(温度、浸透圧、化学物質、生体電位など)により活性化されるカルシウム流入型イオン・チャネル。
Science, this issue p. 1332; see also p. 1256

ブラックホールの噴出の中の状態(Conditions in a black hole outburst)

連星系 V404 Cygniは、ブラックホールを周回する赤色巨星から構成されている。2015年には、ブラックホール近傍の降着の急増により、1989年以降初めて周囲のプラズマに急激な輝きをもたらし、一時的には天空で最も明るいX線源となった。Dallilarたちは、その爆発の間に撮影された電波、赤外線、可視光、およびX線望遠鏡からの観測を結びつけた。彼らは、各波長でいかに急速にその発光強度が減衰するかを比較した。それにより、彼らは放射領域の大きさに制限を与え、その内部のプラズマがシンクロトロン放射により冷却されたと確定し、そのブラックホールの周りの磁場を測定できた。(Wt,KU,kj,kh)

Science, this issue p. 1299

電子がグラフェン中で元気を失うのを観察する(Watching electrons lose steam in graphene)

グラフェンは極めて純粋に製造することができるが、それでもなおゼロではない電気抵抗を有する。この抵抗は、電子エネルギーの熱への変換に付随するものであるが、これは本当の所どのように起こるのだろうか? Halbertalたちは、超伝導量子干渉デバイスに基づく微小走査温度プローブを用いて、この問題を研究した。グラフェンの正方形の試料に電流が流れたとき、主に原子スケールの欠陥近傍で電子はそのエネルギーを失った。これらの欠陥はバルクの内部ではごくまれであるが、試料の端部ではかなり一般的であった。(Wt,KU,nk,kh)

Science, this issue p. 1303

ごまかしのうまい FAKは腫瘍の免疫回避を指示する(FAK directs tumor immune evasion)

腫瘍は、免疫系の監視を逃れたり、或いは免疫系の活動を抑制するのに熟達している。Serrelsたちは、免疫逃避機構に関わる接着斑キナーゼ(focal adhesion kinase:FAK)が、腫瘍細胞のインターロイキン33(IL-33)濃度を上昇させる転写ネットワークを活性化することを見出した。扁平上皮がんのマウス・モデルにおいて、FAK-IL-33複合体は、重要な免疫抑制因子の産生と分泌を促進した。これら FAKが媒介する信号を遮断することは、免疫系が腫瘍を見つけて殺すのに役立つかもしれない。(Sh,kh)

Sci. Signal. 10, eaan8355 (2017).

3'末端からのスプライシングの理解(Understanding splicing from the 3′ end)

スプライソソームは、真核生物の mRNA前駆体からイントロンを除去し、エクソン(同士)を結合することによって成熟転写物を産生する。数十年の機能研究とスプライソソーム構造理解の最近の進歩にもかかわらず、3'スプライス部位(SS)がスプライソソームによって認識される機構は不明なままであった。LiuたちとWilkinsonたちは、酵母の触媒後スプライソソームの高分解能低温電子顕微鏡構造を報告している。その構造は、3'SSがイントロン領域とタンパク質因子によって安定化されている、5'SSと分岐点との非ワトソン-クリック塩基対によって認識されることを明らかにしている。(Sh,KU,kj,kh)

【訳注】
  • スプライシング:DNAから写しとった遺伝情報のなかから不要な部分を取り除く分子的な編集作業
  • スプライソソーム:転写されたmRNA前駆体からイントロンを取り除いて成熟RNAにする機能を持つタンパク質とRNAの複合体
  • イントロン:転写はされるが最終的に転写産物からスプライシングによって除去される塩基配列
  • エクソン:DNAまたはRNAの塩基配列中で成熟RNA に残る部分
  • 非ワトソン-クリック塩基対:アデニンとチミン(もしくはウラシル)、グアニンとシトシンという自然に決まった対以外の塩基対
Science, this issue p. 1278, p. 1283

アクリロニトリルを作る甘い供給源(A sweet source to make acrylonitrile)

これまで、石油原料をバイオマスで置き換えることに対する関心の大部分は燃料に集中していた。しかしながら、バイオマスには汎用化学物質製造の分野にもまた多くの用途がある。そのような候補の1つは、広範なプラスチックと繊維の前駆体であるアクリロニトリルであり、これは、現在プロピレンから誘導される。Karpたちはこの化合物を、エステルである3-ヒドロキシ・プロパン酸エチルから効率的に製造した。このエステルは、糖類から継続的に得ることができる。この工程は、触媒として安価な二酸化チタンに依存し、プロピレン酸化に伴うシアン化物の副産物を回避する。(MY,KU,nk,kh)

Science, this issue p. 1307

事故死の一因(One cause of accidental deaths)

銃砲に関連する事故死の件数は銃砲の数に相関すると思われるかもしれないが、因果関係が存在するという主張には説得力がなかった(Cookと Donohueによる政策公開討論会参照)。2012年の合衆国東部の小学校における銃乱射事件は、20人の子供たちの死をもたらした。LevineとMcKnightは、この事件前の任意の時期と、事件後の銃購入の増加(身元調査での増加数の報告による)を用いて、より銃にさらされるようになったことで60人近くの事故死がもたらされたことを示した。(Sk,KU,ok,kh)

Science, this issue p. 1324; see also p. 1259

脳への直接的な道を通る(Taking a direct route to the brain)

造血幹細胞と前駆細胞(HSPC)は、それらが病気のマウス脳に直接注射されると、そのマウスに骨髄細胞および小膠細胞を急速に発生させた。血液脳関門を回避するために、Capotondoたちは、神経変性疾患のマウス・モデルにヒト HSPCを大脳側脳室に注射した。この方法は、HSPC由来の骨髄細胞および小膠細胞が最も必要とされる部位でそれらを迅速かつ安定した産生をもたらした。(KU,kj,kh)

【訳注】
  • 小膠細胞(ミクログリア細胞):障害を受けた神経組織のを修復に関与する細胞
Sci. Adv. 10.1126/sciadv.1701211 (2017).

アジアへの定住(The peopling of Asia)

近年、アジアの古人類学 (特に初期の現生人類がアフリカの外へ広がった際の移動パターン) が、注目されるようになってきた。Baeたちは、考古学、ヒト族の古生物学、地質年代学、遺伝学、および古気候学による、後期更新世アジア人の進化履歴の現状を概説している。彼らはアジア大陸にまたがって、分散モデルにおける単一回に対する複数回の諸説、および分散経路における南方路に対して北方路の諸説を評価している。彼らはまた、行動形態および環境適応における変動可能性と、これらが現代人の分散と土着の人々との相互作用にいかに影響してきたかを概説している。(Sk,ok,nk,kh)

Science, this issue p. eaai9067

ダムのある河川において流れを最適化する(Optimizing flow in dammed rivers)

水力発電用ダムは、水力発電用ダムは河川の流れを根本的に変え、しばしば下流の水の働きや生産性に影響を与える。巨大な熱帯の河川系での漁業が影響を受ける場所では、食の安全保障への連鎖的影響があるかもしれない。Saboたちは、メコン河に対し、データに基づいた時系列モデリング手法を用いて、カンボジアの食の安全保障に不可欠な漁業を最適化するような流れ方の特徴を推定した(PoffとOldenによる展望記事参照)。流れを慎重に処方することにより、管理された水文系内での将来の魚獲量を最大化することが可能である。そのようなデータに基づいた手法は、水文学を生態系や食物生産と結び付けることが可能で、他の河川系での食の安全保障を提供する手助けになりそうな設計原理を明示するのに使えるかもしれない。(Sk,nk,kj,kh)

Science, this issue p. eaao1053; see also p. 1252

コンピュータか人間か?(Computer or human?)

我々が人間であると証明することは、今や、電子メールのアカウントの作成、オンライン投票、さらには科学論文のダウンロードのようなものでさえ、インターネットでやる多くの仕事の一部となっている。最も一般的なテストは文字に基づく CAPTCHA であり、利用希望者は、歪められたり、部分的にぼかされたり、あるいはごちゃごちゃした背景中に示される文字を、解読するように求められる。このテストは、コンピュータにはそれが難しいが、(ほとんどの)人はそうではないという理由で利用されている。Georgeたちは、比較的少ない訓練データを用いながら、高い正解率で CAPTCHA を解くことのできる、コンピュータ視覚の階層モデルを開発した。この結果は、いくつかのオンライン・サービスがすでにやったように、文字に基づく CAPTCHA の使用をやめるのが良い考えであろうことを示唆している。(Sk,KU,nk,kh)

【訳注】
  • CAPTCHA(キャプチャ):「completely automated public Turing test to tell computers and humans apart」(コンピュータと人間を区別する完全に自動化された公開チューリングテスト)。応答者がコンピュータでないことを確認するのに使われる。
Science, this issue p. eaag2612

エキシトン凝縮体を探る(Probing an excitonic condensate)

エキシトン(固体中で電子とホールの結合状態)は、十分に低い温度条件でボーズ凝縮を示すと予測されている。エキシトン凝縮は、電子とホールの間の物理的分離がその結合状態のより長寿命化を可能にする量子ホール二重層のような系で研究されてきた。Kogarらは、三次元半金属である1T-TiSe2でエキシトン凝縮を観測した。このような系において、他の型の秩序からエキシトン凝縮を区別するには工夫が必要である。そうするために、筆者らは、電子集団励起を測定するために開発された技術である、運動量分解電子エネルギー損失分光法を用いた。電子モードを励起するために必要なエネルギーは、有限の運動量において無視できるほどになり、凝縮体の形成を示唆している。(NK,KU,nk,kj,kh)

【訳注】
  • 1T-TiSe2:1T型ダイカルコゲナイドTiSe2、1T-は層構造の型式のひとつ
Science, this issue p. 1314

脳を築く(Building a brain)

ヒトの脳は、内側から外側への形で、一連の層でできている。前駆細胞は、一見 組織的な形で新しい神経細胞を生み出すが、あらゆる細部に落とし穴が潜む。Nowakowskiたちは、発生中の脳からの単一細胞のトランスクリプトームを分析し、脳を組み立てる上での隠れた複雑さを明瞭にした。各々の細胞にとって、脳内での位置はもちろん、どの型の神経細胞が脳発生全体の中のどの時点で作られつつあるかも、重要である。これらの個々の発現パターンが、脳皮質の組織化された多様性を生み出す。(MY,ok,nk,kh)

【訳注】
  • トランスクリプトーム:特定の状況で細胞中に存在する全ての転写産物(全RNA)のことで、同一ゲノムでも遺伝子発現の違いで、組織や時間により異なる。
Science, this issue p. 1318

磁気先端はエッジ状態を再構成する(A magnetic tip reconfigures edge states)

物質のトポロジカル位相は Chern数などの不変量によって特徴づけられ、それらが物質の全体的な特性を決定する。異なる Chern数を有する2つのドメインの境界において、カイラル・エッジ状態が形成されると予想される。 Yasudaたちは、磁気力顕微鏡先端を用いて磁区を形成することで量子異常ホール材料の試料中にそのような状態を作り出した。磁壁に沿ったカイラル・エッジ状態の存在が、電気輸送測定によって確認された。これらの状態を再構成し、操作する能力は、スピントロニクスを向上させるかもしれない。(KU,nk,kj,kh)

【訳注】
  • Chern数:量子ホール効果などに現れる量子数で, 普通は整数値を取り、ループが棒に巻き付いている数のようなイメージの、系の詳細によらず保たれるトポロジカル(位相幾何学的)不変量、
Science, this issue p. 1311

バイオ技術の偉業(A biotech tour de force)

光合成の重要酵素である RuBisCoは、大きな8つの部分単位と小さな8つの部分単位からなる複合体である。この酵素は、カルビン・ベンソン・バッシャム回路で大気CO2の固定を仲介する。RuBisCoは酵素効率が不十分であることに加えて、CO2とO2の識別に不具合を抱えている。O2の固定は、光呼吸というエネルギー的に無駄な反応に終わる。このため、遺伝子操作することでRuBisCoの触媒特性を高めようとする強い誘因が存在する。しかしながら、この植物由来の酵素を、取扱い容易な細菌宿主中で発現させることは、何十年もの間、不可能だった。Aignerたちは、大腸菌内で植物RuBisCoを実用的に発現させることに成功した(YeatesとWheatleyによる展望記事参照)。これは、RuBisCoについての体系的な変異解析と、作物収率の増大に有利な変異体の選択を可能にするはずである。(MY,nk,kj,kh)

Science, this issue p. 1272; see also p. 1253

掌性源からの離脱の時間を測定する(Clocking departures from chiral origins)

分子中の原子群が右巻きや左巻きで配置されうるのと全く同じように、光線の電場や磁場は、右巻きや左巻きのコルク栓抜きのように回転することができる。分子と光における互いの巻き方の一致や不一致は、光イオン化の間、電子が脱出する際に、非対称分布の飛跡を生じる。Beaulieuたちは、干渉計による方法を用いて、この非対称性に付随する時間的動力学を明らかにした。彼らは、樟脳の鏡像異性体を円偏光を使って調べた。これは、24アト(10-18)秒にも達する角度に依存した飛跡の遅れを明らかにした。(MY,kh)

【訳注】
  • 非対称分布の飛跡:掌性分子の気体に円偏光を照射して観測される光電子の強度が、光電子を観測する角度(光の入射方向を0度、進行方向180度とする)に関して分布を持つこと。
Science, this issue p. 1288

強靭になるための多くの道(Many roads to being tough)

天然材料と人工の材料で靭性を増加させる多くの方法が存在する。例えば、第2の相や沈殿物を用いたり、または設計された構造体や成形された結晶を活用することである。Polishchukたちは、クモヒトデによって形成される方解石マイクロレンズのナノスケールの内部構造を詳述している(Duffyによる展望記事参照)。マグネシウムの豊富な粒子の偏析は、ホスト・マトリックスに圧縮応力をかける第2の相を形成する。この強靭化機構は、古典的な冶金学で知られているギニエ-プレストン・ゾーン(Guinier‐Preston zone)に似ている。(KU,ok,kh)

【訳注】
  • クモヒトデ:その骨格は方解石(炭酸カルシウム)から作られており、装甲板のごとき強靭さを持つ
  • ギニエ-プレストン・ゾーン:合金の融点をTm(K)としたとき,Tm/2以下の低温度で時効処理しても,平衡状態図に示された安定相は容易には生じない。溶体化処理・急冷後,低温で時効処理をするとGPゾーン(ギニエ=プレストンゾーンの略)と呼ばれる準安定相をまず生じ,その後中間相が形成される。GPゾーンの結晶構造は母相と同じであり,見掛け上一種の溶質の偏析のように見えるため,GPゾーン形成による硬化を析出硬化から除外して考える立場がある。
Science, this issue p. 1294 see also p. 1254

上部海洋におけるメタン源(A source of methane in the upper ocean)

メタン濃度は、酸素を含む表面水で高い。メチルホスホネート(MPn)は、提案されている供給源であるが、Mpnを合成する酵素(MPnS)はこれまで、豊富に存在するとはいえ、海洋微生物の一つである、古細菌 Nitrosopumilus maritimusおいてのみ同定されていただけである。Bornたちは MPnSおよび、同じ基質に作用するが、異なる生成物を作る関連酵素の結晶構造を記述している。それらの構造を比較することで、彼らはDNA配列マーカーを決定し、豊富に存在する微生物Pelagibacter ubiqueを含む他の海洋微生物において MPnSの同定を可能にした。これらの知見は、MPnが上部好気性海洋におけるメタンとリンの両方の供給源であるという提案を支持している。(KU,kj,ok,kh)

Science, this issue p. 1336

回復にはまだ道半ば?(An even longer road to recovery?)

モントリオール協定下、オゾン層破壊物質の生成を管理する一致協力した努力により、オゾン層は回復途上にある。21世紀の後半期、オゾン層は主に大気中二酸化炭素濃度に支配されるだろう。展望記事において、Liangたちはオゾン層の回復は減速するかもしれないと説明している。これは、モントリオール協定の不完全な遵守、管理されていないオゾン層破壊物質の排出上昇、及び気候変動に起因する自然界のオゾン破壊物質の排出増加のためである。1980年の状態への完全なオゾン層の回復は、規制遵守の改善と気候変動を抑えるための取り組みの成功が必要とされるだろう。(Uc,KU,ok,nk)

Science, this issue p. 1257

T濾胞ヘルパー細胞の感作(プライミング)(Priming T follicular helper cells)

我々の免疫系において、T濾胞ヘルパー(Tfh)細胞は、B細胞による抗体産生を調節する。Krishnaswamyたちは、樹状細胞(cDC)の通常サブセットの, マウスの鼻腔内免疫に応答してTfhの細胞運命拘束を感作する能力を調べた。CD11b+移動性2型cDC(cDC2)は、活性化T細胞をTfh系統へ細胞運命拘束を促進する上で重要な役割を果たした。著者たちは、鼻腔内免疫化後の cDC2の輸送を画像化し、これがTfh細胞の感作が起こるリンパ節内の部位に抗原を運ぶことを見出した。これらの知見は、ワクチンの設計と提供に重要な意味を持つ。(KU,nk,kj,kh)

【訳注】
  • 感作(プライミング):細胞を抗原に対して感じやすい状態にすること、またはそのための準備刺激
Sci. Immunol. 2, eaam9169 (2017).

骨格の成長の検出(Detecting skeletal growth)

発育中、骨は軟骨内骨化と呼ばれるプロセスによって生成され、その結果、X型コラーゲンの断片が産生される。軟骨内骨化は長骨の成長や骨折の治癒中にも起こる。 Coghlanらは、X型コラーゲン断片が血液から単離できることと、その濃度が骨格成長速度と相関していることを発見した。断片濃度は年齢と逆相関し、成人が骨折治癒をしている間では変動した。この断片の量を分析することは、小児の骨格成長の即時的マーカーとして、あるいは成長と骨障害に対する処置の反応を監視するために有用となるかもしれない。(ST,kh)

Sci. Transl. Med. 9, eaan4669 (2017).