AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Science October 31, 2003, Vol.302


不安定な太古の海洋(An Old Unstable Ocean)

新原生代における「雪玉となった地球」の状況は、地球の歴史の中でも最も寒かっ た時であろう。7億5千万年前から5億5千万年前の時期に、本質的に地球全体が氷で もって周期的に覆われたが、何故にこのような氷結がこの時期にのみ起こったのか 明白でない。Ridgwellたち(p. 859;Archerによる展望記事参照)は、大気、海洋、沈 殿体の3者の間の炭素サイクルに関する連結モデルを用いて、激烈な新原生代の氷 河時代の原因を明らかにしている。彼らは、新原生代の海洋のように海洋性カルシ ウム質プランクトンが存在してない海洋はーーその理由は石灰質をつくる円石藻類 や有孔虫が顕生代初期に至るまで進化していなかったためだがーー寒冷化の条件と なる低い大気CO2組成とあいまって、海面が低下したときには炭素サイク ルの極端な変動を引き起こすことを発見した。(ku)
OCEAN SCIENCE:
Enhanced: Who Threw That Snowball?

   David Archer
p. 791-792.
Carbonate Deposition, Climate Stability, and Neoproterozoic Ice Ages
   Andy J. Ridgwell, Martin J. Kennedy, and Ken Caldeira
p. 859-862.

結晶粒界に伴なって(Going with the Grain Boundary)

高分解能電子顕微鏡はオングストローム・レベルの分解能を達成している。しか し、軽原子の可視化ではまだまだ挑戦する必要がある。最近、ペロブスカイ ト(perovskite)セラミックスの単結晶中に酸素の 空乏があることが確認され た。Zhangたち(p. 846)は、今回粒界における酸素原子を原子レベルで分析したが、 粒界は多くの材料特性に影響を与えるために非常に関心のある課題である。彼ら は、粒界における原子-スペーシングの変化と金属-酸素結合の拡がりを観測した。 これらの観測は粒子-境界構造における最近の密度汎関数理論計算の正しさを証明す ることになる。(hk)
Direct Atom-Resolved Imaging of Oxides and Their Grain Boundaries
   Zaoli Zhang, Wilfried Sigle, Fritz Phillipp, and Manfred Rühle
p. 846-849.

脆弱性の源(The Fundamentals of Fragility)

普通には結晶化する多くの物質は、急冷するとアモルファス(非晶質)ガラスとな る。ガラス状態へのなり易さは脆弱性(fragility)として定義され、ガラス転移温 度に近づける際どの程度速く粘性が変化するかを測定することで数値化されてき た。Scopigno等は(p. 849)、この脆弱性をガラス転移温度よりもかなり低温での分 子の振動特性と関連づけることができることを示している。これまで巨視的に扱う ことしかできなかった脆弱性を微視的な原子間の相互作用と結びつける結果となっ た。(NK)
Is the Fragility of a Liquid Embedded in the Properties of Its Glass?
   Tullio Scopigno, Giancarlo Ruocco, Francesco Sette, and Giulio Monaco
p. 849-852.

薄氷化(Thinned Out)

過去10年間に生じた南極大陸ラルセン棚氷の2ヶ所の崩壊は、温暖化が直接の原因 なのか?Shepherd等は(p. 856 Kaiserのニュース記事参照)、衛星による高度測定に よりラルセン棚氷で広範囲にわたって重量バランスが崩れていることをつきとめ、 夏に溶け出した海水が棚氷の土台を徐々に溶かしていると結論している。広く伝え られた1995年および2002年の崩壊の少なくとも9年前から棚氷の薄氷化は始まって おり、その薄氷化が崩壊の原因であるかもしれない。彼等は、ラルセン棚氷のCセク ションもここ100年の間に同じ状態になるであろうと結論している。温暖化が南極半 島の棚氷の崩壊の原因である可能性が、これらの結果から示唆された。(NK)
GLACIOLOGY:
Warmer Ocean Could Threaten Antarctic Ice Shelves

   Jocelyn Kaiser
p. 759.
FORENSIC GEOCHEMISTRY:
Isotopic Data Pinpoint Iceman's Origins

   Constance Holden
p. 759-761.
Larsen Ice Shelf Has Progressively Thinned
   Andrew Shepherd, Duncan Wingham, Tony Payne, and Pedro Skvarca
p. 856-859.

アイスマンの出生場所(Iceman Origins)

イタリアとオーストリアの間のアルプス分水界に沿った氷河から発見された保存が 良好な氷結ミイラ、アルプスのアイスマンはヨーロッパの新石器-銅石器時代の衣服 と狩猟の装備を持っていた。アイスマンは死亡時約46歳であり、5200年位前に生き ていた。Mueller たち(p.862;Holdenによるニュース記事参照)は、その歯のエナメ ル質や象牙質、皮質骨や海綿骨、及び腸内遺物の同位体分析により、アイスマンの 生まれた場所と移住場所を突き止めた。それによると、アイスマンはアルプス分水 界の南、約60キロメートルの範囲内で彼の全生涯を通して生活したが、その範囲内 でも、幼年時代と成年時代とは異なる地域で暮らしていた。(TO)
GLACIOLOGY:
Warmer Ocean Could Threaten Antarctic Ice Shelves

   Jocelyn Kaiser
p. 759.
FORENSIC GEOCHEMISTRY:
Isotopic Data Pinpoint Iceman's Origins

   Constance Holden
p. 759-761.
Origin and Migration of the Alpine Iceman
   Wolfgang Müller, Henry Fricke, Alex N. Halliday, Malcolm T. McCulloch, and Jo-Anne Wartho
p. 862-866.

シロイヌナズナのゲノムの転写(Transcription of the Arabidopsis Genome)

シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)という植物モデルのゲノム配列が明らかに されたが、もうひとつの重要な研究課題はその転写ユニットの全てを同定すること である。Yamadaたち(p 842)は、2つの戦略を用い、そのような地図を作成した。ゲ ノム全体をモザイクタイルのようにカバーする2つのセットを生成した。ひとつの セットは全長cDNAであり、もうひとつは高密度オリゴヌクレオチドアレイであっ た。これらの道具を用い、以前には仮定にすぎなかった遺伝子の発現の証拠を提供 した。更に、大部分の遺伝子でアンチセンス発現がみられた。結局この研究によれ ば、動原体中の転写ホットスポットの存在を確認した。動原体は、細胞分裂時に忠 実な染色体分離の役割を果たす染色体領域である。(An)
Empirical Analysis of Transcriptional Activity in the Arabidopsis Genome
   Kayoko Yamada, Jun Lim, Joseph M. Dale, Huaming Chen, Paul Shinn, Curtis J. Palm, Audrey M. Southwick, Hank C. Wu, Christopher Kim, Michelle Nguyen, Paul Pham, Rosa Cheuk, George Karlin-Newmann, Shirley X. Liu, Bao Lam, Hitomi Sakano, Troy Wu, Guixia Yu, Molly Miranda, Hong L. Quach, Matthew Tripp, Charlie H. Chang, Jeong M. Lee, Mitsue Toriumi, Marie M. H. Chan, Carolyn C. Tang, Courtney S. Onodera, Justine M. Deng, Kenji Akiyama, Yasser Ansari, Takahiro Arakawa, Jenny Banh, Fumika Banno, Leah Bowser, Shelise Brooks, Piero Carninci, Qimin Chao, Nathan Choy, Akiko Enju, Andrew D. Goldsmith, Mani Gurjal, Nancy F. Hansen, Yoshihide Hayashizaki, Chanda Johnson-Hopson, Vickie W. Hsuan, Kei Iida, Meagan Karnes, Shehnaz Khan, Eric Koesema, Junko Ishida, Paul X. Jiang, Ted Jones, Jun Kawai, Asako Kamiya, Cristina Meyers, Maiko Nakajima, Mari Narusaka, Motoaki Seki, Tetsuya Sakurai, Masakazu Satou, Racquel Tamse, Maria Vaysberg, Erika K. Wallender, Cecilia Wong, Yuki Yamamura, Shiaulou Yuan, Kazuo Shinozaki, Ronald W. Davis, Athanasios Theologis, and Joseph R. Ecker
p. 842-846.

ニューロンのサイレントされたDNAのアンマスキング(Unmasking Silenced DNA in Neurons)

DNAのメチル化は、長期の遺伝子発現サイレンシングに重要であると思われてい る。Chenたち(p 885)とMartinowichたち(p 890)は、脱分極に応答する急性ニューロ ンの遺伝子発現の重大な制御因子のひとつがDNAメチル化であることを示してい る(KloseとBirdの展望記事参照)。両方の研究によれば、刺激されないニューロンに おいて、メチル化したDNAと特異的に結合するタンパク質MeCP2は、脳由来神経栄養 因子(BDNF; brain-derived neurotrophic factor)をコードする遺伝子のプロモータ と会合したが、いったん脱分極誘発の情報伝達が起きると放出された。Chenたち は、このような放出がBDNF遺伝子の発現増強と相関しており、制御したMeCP2リン酸 化に関与することを示した。Martinowichたちは、BDNF遺伝子の活性依存的な発現 は、MeCP2、ヒストンデアセチラーゼ1、及びコリプレッサーであるmSin3Aを含む抑 制複合体の放出によって生じることを示唆した。学習と記憶におけるMeCP2の役割の 提案によって、MeCP2変異はどうしてRett症候群を引き起こすかを説明できるかもし れない。Rett症候群は、異常な脳の発達と進行性神経減退を症状としているヒトの 疾病である。(An)
DNA Methylation-Related Chromatin Remodeling in Activity-Dependent Bdnf Gene Regulation
   Keri Martinowich, Daisuke Hattori, Hao Wu, Shaun Fouse, Fei He, Yan Hu, Guoping Fan, and Yi E. Sun
p. 890-893.
Derepression of BDNF Transcription Involves Calcium-Dependent Phosphorylation of MeCP2
   Wen G. Chen, Qiang Chang, Yingxi Lin, Alexander Meissner, Anne E. West, Eric C. Griffith, Rudolf Jaenisch, and Michael E. Greenberg
p. 885-889.

補食関係がレミングの個体群動態の原動力(Predation Drives Lemming Population Dynamics)

高緯度におけるレミング(タビネズミ)とハタネズミ個体数のサイクル状の変動 は、捕食者-被食者動態のみにより説明できるのかどうか、あるいはそのサイクルに おいて食物植物の入手可能性および品質の動態が中心的な働きをしているのかどう か、について、齧歯動物個体群動態の研究においては長い間議論がなされてい る。Gilgたち(p. 866;HudsonとBjo/rnstadによる展望記事を参照)は、グリーン ランドにおける75平方kmの研究場所でのクビワレミングとその4種の脊椎動物捕食者 (オコジョ、キツネ、フクロウ、およびトウゾクカモメ)に関する、注目に値する 長期的なデータセット(15年、または丸4年を3サイクル)をまとめた。その結果、 この場所では、クビワレミングの個体数変動はこれらの捕食者との間の緊張から直 接的な影響を受けているのであって、個体群密度がピークに達している時でも、レ ミングの食物が制限されることに関する証拠は何も見つからなかった。(NF)
ECOLOGY:
Vole Stranglers and Lemming Cycles

   Peter J. Hudson and Ottar N. Bjørnstad
p. 797-798.
Cyclic Dynamics in a Simple Vertebrate Predator-Prey Community
   Olivier Gilg, Ilkka Hanski, and Benoît Sittler
p. 866-868.

大型のDNAらせん(Making Bigger DNA Helices)

多数の核酸類似体が報告されているが、これらのほとんどはDNAバックボーンの変形 を意味している。Liuたち(p. 868)は、ベンゼン環の幅が約25%拡大された塩基を 用いる、遺伝学的な対合システムを記載する。拡大されたアデニン塩基およびチミ ン塩基は、正常な水素結合を介して適切な非修飾塩基と塩基対合した。拡大された 直径を有する二重らせんは、ワトソン-クリック二重らせんよりも熱力学的に安定で あったが、これはおそらく、塩基の重なりが向上するからだろう。構造解析のデー タから、この二重らせんは、右巻きで、二本鎖で、かつ塩基対合したらせん型であ ることが確認された。4種の拡大した塩基が4種の天然の塩基と対合することによ り、情報をコードするための8種類の塩基対合が生じる可能性がある。また、塩基サ イズが大型であることから、このらせん状の塩基対合の全てが蛍光性であり、この ことから天然のDNAおよびRNAを検出する際に実用的な応用が可能であることが示唆 される。(NF)    
A Four-Base Paired Genetic Helix with Expanded Size
   Haibo Liu, Jianmin Gao, Stephen R. Lynch, Y. David Saito, Lystranne Maynard, and Eric T. Kool
p. 868-871.

ニューロンが鍵を握る(Neurons Hold the Key)

プリオンタンパク質、PrP、は、多数の細胞型で普遍的に発現されており、そしてプ リオンタンパク質(PrP)の疾患関連型であるPrPScは、ヒトにおけるクロイツフェ ルト-ヤコブ病やウシにおけるウシ海綿状脳症などのいわゆるプリオン病の確立と伝 播に関連している。中枢神経系プリオン感染を発症するマウスにおいてPrPScの蓄積 を防止する治療を行っても、生存期間を有意に長くすることはなかった。Mallucci たち(p. 871;Couzinによるニュース記事を参照)は、確立されたニューロン侵襲 性プリオン病を有するマウスにおいてニューロンのPrPを枯渇させることにより、初 期海綿状神経病理を転換させ、ニューロンの喪失を防止し、そして臨床的疾患への 進行をを完全に停止させることを示した。末期症状の野生型動物において見られる レベルと同等のレベルまでニューロン外PrPScが蓄積しているにもかかわらず、この 現象が生じた。このように、非ニューロン性PrPScが増殖することに病原性があるの ではなく、スクレイピー感染の間にニューロン内部でPrPcがPrPScへ継続的に転換す ることが抑制されることにより、プリオンの神経毒性が防止される。(NF)
MEDICINE:
In a First, Infected Mice Recover From Prion Disease

   Jennifer Couzin
p. 763-765.
Depleting Neuronal PrP in Prion Infection Prevents Disease and Reverses Spongiosis
   Giovanna Mallucci, Andrew Dickinson, Jacqueline Linehan, Peter-Christian Klöhn, Sebastian Brandner, and John Collinge
p. 871-874.

臓器移植:短期遭遇の延長(Organ Transplantation: Extending a Brief Encounter)

臓器移植のための免疫抑制剤における特異性改善とより低い毒性実現の必要性に よって、リンパ球の免疫応答を制御する細胞内情報伝達経路に焦点が絞られてき た。これらの中では、Janusリン酸化酵素3(JAK3)がとくに有望そうであるが、これ はそれが、いくつかのキーとなるサイトカインによって情報を媒介するからであ る。これらサイトカインは、共通のγ鎖を利用しているのである。Changelian たち は、(選択性が大で、かつ)低分子量の、JAK3の阻害薬を開発した。この阻害薬 は、経口投与後、霊長類およびマウスの器官移植モデルにおける器官同種移植(片 を著しく生き延ばせる)ものであった(p. 875)。(KF)
Prevention of Organ Allograft Rejection by a Specific Janus Kinase 3 Inhibitor
   Paul S. Changelian, Mark E. Flanagan, Douglas J. Ball, Craig R. Kent, Kelly S. Magnuson, William H. Martin, Bonnie J. Rizzuti, Perry S. Sawyer, Bret D. Perry, William H. Brissette, Sandra P. McCurdy, Elizabeth M. Kudlacz, Maryrose J. Conklyn, Eileen A. Elliott, Erika R. Koslov, Michael B. Fisher, Timothy J. Strelevitz, Kwansik Yoon, David A. Whipple, Jianmin Sun, Michael J. Munchhof, John L. Doty, Jeffrey M. Casavant, Todd A. Blumenkopf, Michael Hines, Matthew F. Brown, Brett M. Lillie, Chakrapani Subramanyam, Chang Shang-Poa, Anthony J. Milici, Gretchen E. Beckius, James D. Moyer, Chunyan Su, Thasia G. Woodworth, Anderson S. Gaweco, Chan R. Beals, Bruce H. Littman, Douglas A. Fisher, James F. Smith, Panayiotis Zagouras, Holly A. Magna, Mary J. Saltarelli, Kimberly S. Johnson, Linda F. Nelms, Shelley G. Des Etages, Lisa S. Hayes, Thomas T. Kawabata, Deborah Finco-Kent, Deanna L. Baker, Michael Larson, Ming-Sing Si, Ricardo Paniagua, John Higgins, Bari Holm, Bruce Reitz, Yong-Jie Zhou, Randall E. Morris, John J. O'Shea, and Dominic C. Borie
p. 875-878.

知覚と錯覚(Perceptions and Illusions)

イメージングの研究によって、異なった2つの錯覚の根底にある原因が明らかになっ た(Eyselによる展望記事参照のこと)。運動による刺激(たとえば、画面上を動く一 つのパターン)によって、その近傍にある定常性刺激の位置が、運動の方向に向かっ て移動したように知覚されることがある。機能的磁気共鳴イメージング(映像法)を 用いて、Whitneyたちは、初期視覚処理領域において、定常性刺激によって活性化さ れた領域の網膜部位が運動とは逆の向きに移動するということを発見した(p. 878)。予測されたはずのものとは対照的に、活性化部位は知覚された位置とは逆の 向きに移動するのである。tactile funneling 錯覚においては、隣り合う2本の指の 指先を刺激することで、結果として2本の指の間に一つの強い刺激点があるように知 覚される。Chenたちは、光学的イメージングを用いて、一次体性感覚皮質(SI領域) におけるこの錯覚の、神経の原理を研究した(p. 881)。知覚と整合して、SI領域は 知覚された部位に活性の焦点を含んでいて、これはコントロール条件下におけるも のより大きかったが、一方実際の2つの刺激部位で示された神経活性は、どちらか一 方の部位が単独で刺激された場合よりも小さかった。つまり、SIにおける神経の焦 点の位置が錯覚の知覚位置を説明し、一方、3つの部位(実際の2箇所と幻覚性の1箇 所)全域にわたっての活性の減少および増加のパターンが知覚される強度を説明する のである。(KF)
Optical Imaging of a Tactile Illusion in Area 3b of the Primary Somatosensory Cortex
   Li M. Chen, Robert M. Friedman, and Anna W. Roe
p. 881-885.
Flexible Retinotopy: Motion-Dependent Position Coding in the Visual Cortex
   David Whitney, Herbert C. Goltz, Christopher G. Thomas, Joseph S. Gati, Ravi S. Menon, and Melvyn A. Goodale
p. 878-881.
NEUROSCIENCE:
Illusions and Perceived Images in the Primate Brain

   Ulf T. Eysel
p. 789-791.

太平洋における大気-海洋間のCO2流 束(Air-SeaCO2Fluxes in the Pacific)

エルニーニョ南方振動(El Nino-Southern Oscillation)や太平洋十年振動(Pacific Decadal Oscillation: PDO) のような、北太平洋で発生する多くの大規模で、擬似 周期的な海洋-大気間のプロセスは、海洋と大気間のCO2交換に重大な影 響を与えている。この PDO は、1977年と1989年に大きな変移を受けているが、この 変移のCO2に対する影響は確認されてはいなかった。Takahashi たち (p.852)は、1980年と2002年の間になされた海中の 100,000個のCO2の分 圧(pCO2)測定を用 いて、1989年の POD の状況変移に付随する太平洋の 赤道地方の海水中におけるCO2の化学状態の変化を記述している。太平 洋の赤道地域における海洋-大気間のpCO2の相違は、過去20年の間に 30〜40% ほど変化したことを示している。これは、1989年の PDO の状況変移と一致 しており、海から大気へのCO2流束は、類似の割合で変化したことを示 唆している。この結果は、年あたり2ペタグラム(10の15乗グラム)という、地球規 模での海洋の平均 CO2取り込み量が、10年間に渡り10〜15% 変化したこ とを示唆している。(Wt)
Decadal Variation of the Surface Water PCO2 in the Western and Central Equatorial Pacific
   Taro Takahashi, Stewart C. Sutherland, Richard A. Feely, and Catherine E. Cosca
p. 852-856.

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