AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Science May 3, 2002, Vol.296


速報(Brevia)

トリの雌は雄のさえずりに聞き耳を立てる(Female Eavesdropping on Male Song Contests in Songbirds) トリの雌は、雄のさえずりの上手さを比較して交尾相手を選ぶと言われている。アメリカ コガラ(black-capped chickadees)は、社会的には一夫一婦制であるが、つがい の子供たちの1/3は、異なる父親の遺伝子を持つとの報告がある。Mennillたち (p.873)は 、カナダにおける自然状態のアメリカコガラについて、営巣中のコガラの雌に 複数の雄のさえずりを聞かせ、その行動を調べた。その子供たちの遺伝子を調べた結果 、つがいの雄の社会的地位が高くても、さえずりが下手である場合は、雌コガラは さえずりの上手な侵入コガラと交尾していることが分かった。しかも、さえずり競争で負 けたつがいの雄のランクが高いほど(すなわち、さえずりが上手だったほど)、 雌は、競争に勝った相手と交尾する確率が高かった。(Ej,hE)
Female Eavesdropping on Male Song Contests in Songbirds
    Daniel J. Mennill, Laurene M. Ratcliffe, and Peter T. Boag
p. 873.

見え見えのものは避けて(Avoiding the Obvious)

化学者は、通常、化学的な素反応はある統計的な流儀で進行すると見ている---エネルギ ーは、急速に振動および回転モード間に再分配され、また、さまざまな可能な反応経路に 横たわる深いエネルギーミニマムは、"トラップ"として働き、生成物の創製を支配する 。Sun たち (p.875) は、ある求核置換反応である、OH-+ CH3F- CH3OH + F- の力学シミュレーションに対する結果を与えている 。ポテンシャルエネルギー表面が深い最小値を持っているにもかかわらず、シミュレーシ ョンの示すトラジェクトリーの 90% 以上が、生成物への道筋を辿る。生成物創製は、競 合する統計的エネルギー再分配よりもずっと速いタイムスケールで起きるように見える 。(Wt)
A SN2 Reaction That Avoids Its Deep Potential Energy Minimum
   Zhixiong Li, Jochen Dü Lipeng Sun, Kihyung Song, and William L. Hase
p.875-878.

センチメートル長のナノチューブ(Centimeter Nanotubes)

単層壁のカーボン・ナノチューブの製造は未だに幾分熟練的技が必要とされ、ナノチュ ーブをより速く成長させたり、あるいはもっと長く造るとか、あるいはもっと高純度に造 るには、この技が要求される。Zhuたち(p. 884)は、化学蒸着法、あるいはレーザ-アブ レーション(laser-ablation)法のどちらかから得られるものより遥かに長い、センチメ ートル長の単層壁ナノチューブのロープを、改良浮遊触媒(floating catalyst)法を用い て達成した。(hk)
Direct Synthesis of Long Single-Walled Carbon Nanotube Strands
    H. W. Zhu, C. L. Xu, D. H. Wu, B. Q. Wei, R. Vajtai, and P. M. Ajayan
p. 884-886.

大陸斜面の傾斜を保つ(Maintaining Continental Slopes)

大陸斜面は、2度から4度の一定した角度を保っている。これは、大陸侵食(continental erosion)と海洋力学との均衡によって安定な形状状態のが保たれていることを示している 。Cacchioneたち(p.724)は、大陸斜面よりも低い角度の、半日周期の内部潮汐波は、海底 面に向かって反射され、斜面と海底面に沿ってその速度と剪断応力(shear stresse)とが 増加する。この過剰エネルギーは、微粒子の堆積が斜面に沿って集まらないようにし、そ の結果角度が保たれる。これらのモデルは、北カリフォルニア海岸やニュージャージ海岸 での観測と一致しており、大陸化プロセスと海洋化プロセスとの関係を理解することにも 用いることが出来る。(TO,Og)
The Shaping of Continental Slopes by Internal Tides
    D. A. Cacchione, L. F. Pratson, and A. S. Ogston
p. 724-727

巨視的量子系(Macroscopic Quantum Systems)

離散的なエネルギーレベルやエネルギー状態の重ね合わせのような、量子力学的効果は 、通常は、原子スケールより大きくはない系に付随するものであるが、実際にはある巨視 的な系でも観察することができる。Vion たち (p.886) と Yu たち (p.889) は、超伝導 トンネル接合を用いて二つのレベルからなる巨視的量子系形成に関する結果を与えている 。そして、二つの状態間の干渉が観測されうることを示している。より容易に操作しうる 巨視的システムにおいてこのような大きなスケールの量子系が実現できるとすれば、量子 コンピューティングにおいて有用であることが判明したと言えるのかも知れない(Leggett による展望記事を参照のこと)。(Wt)
Manipulating the Quantum State of an Electrical Circuit
    D. Vion, A. Aassime, A. Cottet, P. Joyez, H. Pothier, C. Urbina, D. Esteve, and M. H. Devoret
p. 886-889.
Coherent Temporal Oscillations of Macroscopic Quantum States in a Josephson Junction
    Yang Yu, Siyuan Han, Xi Chu, Shih-I Chu, and Zhen Wang
p. 889-892.

ファ−ジがつくるナノ粒子膜( Phage Forge Nanoparticle Films )

単にナノ粒子をつくるだけでなく、それを規則的に配列するナノ製造方法が提案されてい る。Leeたち(p. 892;Oberによる展望参照)は、ZnSナノ粒子の表面に特異性を持つM13バク テリオファージのコートタンパク質の遺伝子操作を行った。長い剛直構造を持つそのバク テリオファージは溶液中で液晶相を形成し、ナノ粒子に付着すると集合して規則的な層構 造を形成する。(KU)
Ordering of Quantum Dots Using Genetically Engineered Viruses
    Seung-Wuk Lee, Chuanbin Mao, Christine E. Flynn, and Angela M. Belcher
p. 892-895.

南極の寒冷化とオゾン消滅(Antarctic Cooling and Ozone Losses)

全世界的な温暖化傾向にもかかわらず、過去数十年間の間に南極大陸内地の広い範囲にわ たる温度がわずかではあるがはっきりと寒冷化していることが示されてきた。Thompson と Solomon(p.895;Kerrによるニュース記事参照)は、高緯度の南半球における循環の変化 は過去20〜30年にその地域の大気循環における系統的傾向を反映しているという証拠を示 す。対流圏循環における傾向は、光化学作用によるオゾン消滅で引き起こされた低成層圏 の最近の寒冷化に原因を求めることが出来る。(TO)
Interpretation of Recent Southern Hemisphere Climate Change
    David W. J. Thompson and Susan Solomon
p. 895-899.

花の古いファミリー(Old Family of Flowers)

中国遼寧省西部における上部ジュラ紀から白亜紀後期までに存在した草本の水生植物 Archaefructacaeは新たな科(family)である化石標本として、Sun(p.899; Stokstadによる 表紙の記事とニュース記事参照)により特徴が調べられてきた。その科は、2つの種 Archaefructus liaoningensisとArchaefructus sinensisとを伴う単一の属 Archaefructusから構成されている。分子生物学的分析と系統発生分析とに基づき、この 科は基幹的な被子植物の1つであり、顕花植物おける生殖器官の起源について重要な情報 をもたらす(TO)。
Archaefructaceae, a New Basal Angiosperm Family
    Ge Sun, Qiang Ji, David L. Dilcher, Shaolin Zheng, Kevin C. Nixon, and Xinfu Wang
p. 899-904.

数多くの脂質の意味を理解する ( Making Sense of Many Lipids )

恒常性のメカニズムが生体膜の脂質組成を維持している。哺乳類の細胞において、ステロ ール応答性エレメント-結合タンパク質(sterol response element-binding proteins)が 転写因子であり、脂質にだけ応答する信号伝達とフィードバック機構によりコレステロ ールと脂肪酸の細胞レベルを制御している。Dobrosotskayaたち(p.879;Nohturfftと Losickによる展望参照)は、このような経路がショウジョウバエでも存在しており、又 、主要な膜脂質である細胞のリン脂質の合成にも応答し、制御していることを報告してい る。(KU)
Regulation of SREBP Processing and Membrane Lipid Production by Phospholipids in Drosophila
    I. Y. Dobrosotskaya, A. C. Seegmiller, M. S. Brown, J. L. Goldstein, and R. B. Rawson
p. 879-883.

命のスプライシング(The Splice of Life)

30〜50%のヒト遺伝子は、選択的スプライシング転写物を生成するが、酵母ではずっと低 い割合しか見られない。Clarkたち(p. 907)は、マイクロアレイに基づくシステムを開 発し、酵母でのスプライシング制御の全体的な概要に到達した。著者たちは、スプライシ ングにより制御されている遺伝子の変異に反応する、すべての酵母イントロン-含有遺伝 子のプレ-メッセンジャーRNAレベルおよびメッセンジャーRNAレベルを調べ、スプライシ ングに対して、全体的にそして個々の転写物のレベルで、何が起こっているかについて確 認する。クラスター解析により、特定の環境下においてどのイントロンが同様に振舞うか 、そしてどの遺伝子が同様な方法でスプライシングに影響を及ぼすか、について示される 。それらのシステムの情報に富む発現プロファイリングのため 、この方法をより複雑なゲノムに対して適用することができる。(NF)
Genomewide Analysis of mRNA Processing in Yeast Using Splicing-Specific Microarrays
    Tyson A. Clark, Charles W. Sugnet, and Manuel Ares Jr.
p. 907-910.

タンパク質のイカダくだり(Protein Raft Trips)

脂質ラフト--すなわち、スフィンゴ脂質およびコレステロールが豊富な細胞膜の微小ドメ イン--に対して注目が集まっている。これは部分的には、細胞膜を介したシグナル伝達に 関与する多くのタンパク質がこれらの構造中に選択的に局在しているためである 。Zachariasたち(p. 913; van Meerによる展望記事を参照)は、シアン蛍光タンパク質 と黄色蛍光タンパク質分子とが通常の二量体形成をしないように遺伝子工学的に処理され た、変異型シアン蛍光タンパク質(mCFP)および変異型黄色蛍光タンパク質分子 (mYFP)の間で、蛍光共鳴エネルギー転移(fluorescence resonance energy transfer;FRET)をモニターすることにより、タンパク質の脂質ラフトへの標的化を研究 した。FRETは、ラフトに局在化することが知られている、CFPとカベオリン (caveolin)との融合タンパク質と、 そのアミノ末端をアシル化されたYFPとの間で検出された。しかしながら、YFPのプレニル 修飾によっては、タンパク質はラフトに標的化されなかった。したがって、タンパク質の 脂質修飾は、局在化を制御することができ、そしてその結果、脂質ラフト中の様々なタン パク質の機能を制御することができる。(NF)
Partitioning of Lipid-Modified Monomeric GFPs into Membrane Microdomains of Live Cells
    David A. Zacharias, Jonathan D. Violin, Alexandra C. Newton, and Roger Y. Tsien
p. 913-916.

シュワン細胞と神経障害(Schwann Cells and Nerve Disorders)

末梢神経系のグリア細胞であるシュワン細胞は、ミエリンを産生するなどの重要なサポ ート的役割を果たすが、それらの生成は、2つの重要な神経系障害を促進するようである 。1型神経線維腫症(NF1)は、ときどき悪性に進行する、神経系における多発性良性腫瘍 (神経線維腫)を発症することを特徴とする遺伝性の障害である。罹患した個体は、腫瘍 抑制遺伝子NF1の一方のアリルに生殖系列変異を有し、そしてそれらの腫瘍は、もう一方 のアリルの発現欠損を示す。神経線維腫には、複雑に交じり合った細胞型が含有され、そ してこれらの細胞のいずれが腫瘍を引き起こしているかについては不明である。NF1の発 現を特定の細胞型において選択的に除去することができる精巧なマウスモデルを使用して 、Zhuたち(p. 884)は、腫瘍がシュワン細胞前駆体から特異 的に引き起こされることを示す。しかしながら、興味深いことに、周囲の非腫瘍化細胞が NF1の機能的アリルを一つだけ有する場合に、腫瘍発生が非常に促進されることから、腫 瘍発生における腫瘍-宿主相互作用が重要であることが示される。レプラの病原体である Mycobacterium lepraeは、ミエリン化したシュワン細胞には感染しないが、シュワン細胞 に接触すると神経線維の脱ミエリン化を引き起こして細胞内に侵入し、感覚の進行性欠損 を引き起こす。神経損傷はバクテリアに対する宿主の免疫応答により間接的に媒介された と考えられたが、しかしRambukkanaたち(p. 927;Brophyによる展望記事を参照)は 、M.lepraeが接触により媒介されるメカニズムを介して脱ミエリン化を直接的に引き起こ すことを示す。神経損傷の結果、シュワン細胞の代償性増殖がin vitroおよび in vivoのいずれにおいても顕著に刺激され、そしてこのようにして、M. lepraeはより多 くの感染するのに適した細胞を生成して、支配する。(NF)
Neurofibromas in NF1: Schwann Cell Origin and Role of Tumor Environment
    Yuan Zhu, Pritam Ghosh, Patrick Charnay, Dennis K. Burns, and Luis F. Parada
p. 920-922.
Contact-Dependent Demyelination by Mycobacterium leprae in the Absence of Immune Cells
    Anura Rambukkana, George Zanazzi, Nikos Tapinos, and James L. Salzer
p. 927-931.

修復に間に合わない(Not Keeping Up with Repairs)

DNAの複製やDNA損傷プロセスは、二本鎖の分裂をもたらすが、これは、染色体の転位置や 悪性度リスクの増加をもたらしかねないものになっている。Celesteたちは、DNA修復に関 連するタンパク質H2AXのゲノムの安定性維持における役割を検証した(p. 922)。H2AXを欠 くマウスの細胞は、照射によって引き起こされる損傷への感受性の増加や、染色体破損 、転位置の発生率増加など、いくつかの遺伝的異常を示した。H2AXを欠く(H2AX-/-)オス のマウスは、対合の失敗や減数分裂の静止に由来する精子形成欠損のために不妊であった 。T細胞やB細胞の発生も消失し、B細胞はスイッチの組換えにおいても欠陥を示した 。DNA修復酵素の補充は、H2AXのない状態ではひどく影響を受けるが、これは、このタン パク質がDNA損傷への応答の調整において中心的役割を果たしていることを確認 させるものになっている。(KF)互変化に対する選択圧を生じる場合にのみ維持されると予 想される。この要求性は、相互作用するパートナー分子に対して同様な進化速度を必要と するようである。(NF)
Genomic Instability in Mice Lacking Histone H2AX
    Arkady Celeste, Simone Petersen, Peter J. Romanienko, Oscar Fernandez-Capetillo, Hua Tang Chen, Olga A. Sedelnikova, Bernardo Reina-San-Martin, Vincenzo Coppola, Eric Meffre, Michael J. Difilippantonio, Christophe Redon, Duane R. Pilch, Alexandru Olaru, Michael Eckhaus, R. Daniel Camerini-Otero, Lino Tessarollo, Ferenc Livak, Katia Manova, William M. Bonner, Michel C. Nussenzweig, and Andre Nussenzweig
p. 922-927.

ストレスと酒量(Tackling the Link Between Stress and Alcohol)

人間がアルコール依存症になる確率はその人の遺伝的性質と人生を通して受けるストレス などの出来事に対する個人の反応に依存する。副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH: corticotropin-releasing hormone)はストレスに対する内分泌反応を制御し、ストレス関 連の行動を仲介する。Sillaberたちは(p. 931、Holdenによるニュース解説も参照)、スト レスに誘引されるアルコール摂取の分子と細胞レベルのメカニズムを理解するために 、CRH1受容体が欠乏したマウスを作りだした。CRHR11の欠乏した(crhr1-/-)マウスは基礎 的なアルコール摂取や好みの上で野生のマウスと異なることはなかった。しかしながら繰 り返しストレスを与えた後にはアルコール消費量が徐々に増加し、その後継続してアルコ ール消費が上昇しつづけた。アルコール摂取行動の変化と同時にNメチルDアスパラ ギン酸受容体のNR2Bサブユニットのタンパク質レベルの増加も見られる。CRH1受容体の変 化とNR2Bサブユニットの遺伝子的及び適用的な変化はストレスに誘引されるアルコール摂 取量の増加とアルコール依存症を引き起こす遺伝的危険因子の要素となり得る。(Na)
Enhanced and Delayed Stress-Induced Alcohol Drinking in Mice Lacking Functional CRH1 Receptors
    Inge Sillaber, Gerhard Rammes, Stephan Zimmermann, Beatrice Mahal, Walter Zieglgansberger, Wolfgang Wurst, Florian Holsboer, and Rainer Spanagel
p. 931-933.

先のない集団(Population at a Loss)

いったん広まった種のごく少数の個体だけが、孤立した生息地に残っている場合、その種 は、実際には、その領域全般にわたって機能的に絶滅していると言える。よって、分離し た集団の絶滅は、現実をより正確に反映するものなのである。CeballosとErhlichは、大 部分の集団の空間的違いに基づいた代用尺度、存在領域サイズの減退、を提示している (p. 904)。もしある種が存在している領域が劇的に減少した場合、その種が集団の大部分 を失ったと想定することは論理的である。充分な歴史的データが利用できる数少ないグル ープである広い範囲の哺乳類は、その歴史上の存在範囲の50%かそれ以下にまで減ってき ている。(KF)
Mammal Population Losses and the Extinction Crisis
    Gerardo Ceballos and Paul R. Ehrlich
p. 904-907.

タンパク質ネットワークの疎結合ハブ(Sparsely Connected Hubs in Protein Networks)

細胞の情報伝達経路に関する今までの知識と、遺伝子やタンパク質の分析から、生理学の 基本となる制御ネットワークの特徴が分かってきた。実際、代謝経路や情報伝達経路は 、相互作用するタンパク質のネットワークで形成され、そのタンパク質の産生は、遺伝子 の調節ネットワークで制御されると言う具合に。これら2つのネットワークの位相幾何学 的性質を調べるために、Maslov とSneppen (p. 910)は相互作用するノード(節)の接続 の関連性を定量し、これを全くランダムに再接続されたヌルモデルと比較した。このネッ トワーク、および、制御ネットワークの両方とも、比較的少数のタンパク質は他のタンパ ク質との接続性が高いが、これら接続性の高いタンパク質は、もともと結合が疎であるタ ンパク質と主に接続している。このような接続性の高いノー ド間の相互作用抑圧はネットワークにおいて情報伝達の特異性やクロストークと関連があ るものと推察される。著者たちは、理由はわからないが、このタンパク質ネットワークは 、インターネットサービスプロバイダー間の接続と似ていると述べている。(Ej,hE)
Specificity and Stability in Topology of Protein Networks
    Sergei Maslov and Kim Sneppen
p. 910-913.

それ程暇じゃないんです(Busier Than You Might Think)

染色体がどれほど転写活性に携わっているかは見方に依存する。通常、転写領域はcDNA配 列をゲノム配列と並べることによってマッピングするか、あるいは、ゲノム配列をコンピ ュータで解析してコード領域をマッピングする。Kapranovたち(p. 916) は、ヒト染色体 21, 22を25-ヌクレオチドのプローブを用いて観察した。このプローブはサイトゾル・ポ リアデニル化DNAの検出に利用されたものである。これらのプローブは各塩基の間隔で 、あるいは、35塩基対の間隔で配置した。著者たちは、従来の推測と比べ、実際は1桁も 多くの染色体が転写に利用されていることを見つけた。彼らによれば、このような転写物 が今まで見過ごされていた理由は、例えば、ライブラリーでの検出濃度が低過ぎたか、不 純物が混入されたものとして排除されていたためであると思われる。 (Ej,hE)
Large-Scale Transcriptional Activity in Chromosomes 21 and 22
    Philipp Kapranov, Simon E. Cawley, Jorg Drenkow, Stefan Bekiranov, Robert L. Strausberg, Stephen P. A. Fodor, and Thomas R. Gingeras
p. 916-919.

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