AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Science July 12, 1996


しっかり捕まえて(Maintaining a hold)

転写伸長は、RNAポリメラーゼ(RNAP)、DNAテンプレート、新生RNA鎖からなる三者複合体 に起きる。複合体は、完全に解離してしまわないように抵抗力を保持してなければな らないばかりでなく、DNAに沿って動けなければならない。Nudlerたち(p.211;および Landickによる「展望」p.202)は、伸長が起きる間にRNAP-DNA相互作用に寄与する2 つの成分を見つけた。反応の前進を仲介すると思われるFコンタクトは、 RNAの伸張に先だって起きる必要があり、また、RNAPβサブユニットのジンク(Zn)フィ ンガーと2重DNAの7ー9塩基対との非イオン性接触が必要とされる。非反応性 複合体を保持するRコンタクトはRNAPβサブユニットのカルボキシ末端によって仲 介され、DNAのテンプレート鎖のみが必要となる。(Ej,Kj)

対称的な水( Symmetrical ice )

理論的な研究によると、高圧化に置かれると氷の中の 水素結合は対称的なものになるだろうと予測されてい る。しかし、この効果を実験的に研究するのは困難で あった。 Goncharov たち (p. 218)は、その場観察 によるシンクロトロン赤外反射型分光を用いて、210Gpa までの水素添加あるいは重水素添加した氷の中の水 素結合の変化を測定した。彼らは60Gpaにおいて、水素 添加した氷は、非対称な水素結合を持つ分子性固体 から、対称な水素結合を持つイオン性の固体に変化す ることを見出した。(Wt)

白銀比の銀の膜( Silver films with a silver mean)

半導体の上に、金属をエピタキシャル成長させた高品質 の膜を作ること、あるいはその逆は困難である。な ぜならば、表面の拡散係数や原子の結合の相違により、 均質な膜よりも、つぎはぎだらけの厚めの「島」状 に成長しやすいためである。二段階の低温のナノ メーターサイズのクラスターの膜のデポジションと、引き 続くアニーリングを用いることにより、 Smith たち (p.226)は、ガリウムひ素の上に銀の膜をエピタキ シャル成長させた。それらの膜は、数千オングト スローム以上に渡り、原子レベルで平坦となっている。銀 の膜を作成するためには、厳しく定められた臨界的 な厚さにすることが必要である。そして、その表面は、 「白銀比("silver-mean")」(銀の 結晶方位が)周期性を持つ、長い範囲に渡る擬似的 な周期性の分子の配列により変調されている。(Wt)
(注)                           1
        白銀比=  2 + ----------------------
                                 1
                      2 + ----------------
                                 1
                            2+ ----------
                               2 + ....

麻疹と抑制された免疫( Measles and depressed immunity)

併発性の麻疹の感染は、細胞を媒介とする他の感染 要因に対する免疫を抑制するという世紀的な古さを持つ 知見は、少なくとも説明はなされた可能性がある。 人間の単球細胞の表面上の麻疹のウィルスに対する受容 体は、CD46として知られる分子である。Karp たち (p. 228)は、感染性のウィルスの粒子によるCD46 の交差結合(ウィルスの増殖による 感染は必ずしも必要とされない) は、サイトカイン インターロイキン-12の 生産を減少する方向に制御することを示した。インタ ーロイキン-12は、細胞性の生体反応の発生にとって 決定的であることから、宿主は細胞間の病原体による 感染に脆弱なままとなるのである。(Wt)

HIV-1のαらせん コートタンパク質(An α-helical coat ptotein in HIV-1)

ヒト免疫不全ウイルスー1型(HIV-1)のRNAゲノムは、その生涯の間にアクセサリタ ンパク質によるパッケージングとアンパッケージングを経過する。成熟したウイルス の主要成分の一つはp24キャプシドタンパク質であり、これは細胞性タンパク質サイ クロフィリンに直接結合している。そして、この細胞性タンパク質サイクロフィリン はまた、免疫抑制薬のサイクロスポリンの標的になっている。Gittiたち(p.231)は、こ のキャプシドタンパク質のコア領域をNMRで解析した構造を示し、これが、他のウ イルス性コートタンパク質に見られない、殆ど全体がαらせん構造であることを示した 。更に、proline rotamase であるサイクロスポリンが、作用するらしいproline 残基は、シス型でもトランス型でも存在することから、サイクロフィリンの役目とし ては、ウイルスが細胞に侵入した後に起きるキャプシドの分解に関与することが示唆 される。(Ej,Kj)

しっかりとくっついて(Held together)

細胞機能を変化させる生化学的シグナルは、しばしばタンパク質の二量化によって 仲介される。その例がラパマイシンによる免疫抑制である。このラパマイシンは、 FKBP12(FK506-結合タンパク質)と、FRAP(FKBP-ラパマイシン-付随タンパク質)と呼 ばれるもう一つのタンパク質の会合を起こす細胞透過性の小分子である。Choiたち (p.239;およびBalterによるニュース解説p.183)は、FRAPの,FK506とFKBP12との三者複合 体中の結合 領域の結晶構造を示した。ラパマイシンは、2つのタンパク質に相互作用して複合体 をいっしょに束ねているが、他方、タンパク質同士にはほとんど相互作用は無い 。 このFRAPに関する構造上の情報は、セルサイクル、DNA修復、そして組換えを制御 するのに重要な機能を有する、関連タンパク質の性質を解明するのに役立つであろう 。(Ej,Kj)

マークを付け間違えた幹細胞(Mismarked stem cells)

全ての血液細胞は造血幹細胞(HSC)として発生する。この重要な前駆細胞は、CD34マ ーカーをもつ細胞として特徴づけられている。しかしながら、Osawaたち(p.242) が、マウスHSCを精製するために、CD34のマウス相同体に対する単クローン抗体を マーカーとして利用したとき、発生初期の成人骨髄HSCは、このマーカーに対して 全く反応しないか、あるいは少ししか反応しなかった。 このような細胞は、致死量で放射線照射したマウスの免疫系を一時的に再構成すると きに利用された。これらの結果から、CD34はHSCのただ一つのマーカーであるとは言 えないと思われる。(Ej,Kj)

リンパ球のヒッチハイク(Hitchhiking lyphocytes)

リンパ球は、細胞上のL-セレクチンがHEV上の抹消節addressinに結合することで仲介さ れる 「よじり運動」によって、高内皮小静脈(HEV)に沿って動きな がら結節リンパ節に侵入する。Diacovaたち(p.252)は、 第2のメカニズムが働いていることを示した。 活性化した血小板はリンパ球に結合し、たとえリンパ球のないL-セレクチンであっ ても、血小板のP-セレクチン受容体によって「よじり運動」を生じさせる。この第2 の経路は、血小板が慢性炎症を患っている領域へもリンパ球を運搬するのに役だって いるようだ。(Ej,Kj)

マクロポーラスなポリマーの設計(New designs of mactroporous polymers)

反応性ポリマーは固相合成や触媒、あるいは分離剤として多様な役割を演じている。 また、高反応性で耐溶媒性のマクロポーラスポリマーのビーズも製法が確立しているが 孔の構造の最適化、あるいは、多様な大きさの孔によって分離できる多種類の化学 物質へ適用させる努力によって、その応用はますます広がりつつある。その結果、 どんなに複雑で入り組んだ孔の空間配置であっても設計出来るようになってきて いる。そのため、高速速度論性や高反応性、あるいは高収率性を有するポリマーの 設計がたった一回のプロセスで可能になってきた。多様な応用を含め、F.Svec と J. Frechet(p.205) はマクロポーラスなポリマーの現状を解説している。(Ej)
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