AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Science September 8, 1995


腫瘍抑圧剤は一時停止させる(Tumor suppressor gives pause)

フォン ヒッペル=リンダウ症患者(VHL)は、腎臓癌などのいろいろな癌にかかり やすく、VHL遺伝子の生殖細胞系列の突然変異体を持っていることが示されている。野 生 型VHLタンパク質は腫瘍の抑圧剤として働くと思われているが、この細胞的役割は よく解ってない。Duanたち(p1402)、Asoたち(p.1439)、Kibelたち(p.1444; およ びKrumm and Groudine の解説,p.1400)によれば、野生型VHLは、転写伸長因子E longinの活動を阻害する。通常、Elongin は転写の途中でRNAポリメラーゼII に よって一時的に転写が停止されるのを防ぐ。VHL は、Elongin の2つの制御サブユ ニットに結合することによって、この阻害作用をおさえる。VHL の結合サイトは、 腎臓癌でしばしば突然変異体を作る領域を含んでいる。このことから、この相互 作用が腫瘍を抑える重要な働きをしているようだ。


スリップを起こさせる(Giving them the slip)

粘着テープがあるものの表面にはよく着いたり、また別の物にはあまり着かなか ったりするのは何のためだろうか?「はがす」と言うことは基盤剤と接着剤が分 離することと思われている。従って、接着の強さとは、基盤の表面自由エネルギ ーと正比例することになる。Newbyたち(p.1407)は、フッ化炭素樹脂表面から透 明なテープをはがすのは、予想に反して通常の炭化水素樹脂表面からよりはがし にくいことを見つけた。これらの表面はシリコン基盤に含まれる各種の官能基を もつシランであった。 また、付着に失敗した領域に指状パターンを見つけ、 この、指状のパターン(粘着層に空隙が指状に切れ込んでいく) によるスリップ現象がテープと基盤の接着の強さを支配しているのであろうとしている 。


火山活動の消滅?(Volcanic extinction)

地球の歴史上、最も劇的な火山活動の消滅は二畳紀-三畳紀の境界で生じており、 これは2億5千万年前の事である。地史上の最大規模の火山活動の1つであるシ ベリア溶岩流玄武岩はこの時生じた。Renneたち(p.1413)は、2つの出来事を年 代的に関連づける資料を提供した(劇的な結論を出すのは控えている)。彼らは アルゴン40-アルゴン39による年代測定を行い、古生物学的境界を形成する 中国南部の火成岩の年齢と、大量噴出火山活動開始に関する同じ研究所での測定 年代との差は(数千年の測定誤差で)識別できないと言う。


あっちこっちつながって(Fully connected)

界面活性剤は、濃度に依存していろいろな凝集物(ミセル、micelles)を形成す る。2ー3本の鎖から成る二量体(dimer)や三量体(trimer)界面活性剤の粘性は、 界面活性剤の濃度が低い時、急激に増加し、これがミセルの3次元的ネットワ ークの分岐に関係している。この分岐現象は計算によって予言されていたが、 直接ミセルの分岐現象の直接的な実験的証拠は得られてなかった。Daninoたち (p.1420)は、透過型電子顕微鏡で三量体界面活性剤が分岐するネットワークを 作ることを示した。


相互作用するGAPs(Interacting GAPs)

グアノシン3燐酸酵素(Guanosine triphosphatases;GTPases)はいろいろな細胞 内反応の分子スイッチとして働く。大腸菌(Escherichia coli) の2つのGTPases は、原形質膜を標的とするタンパク質を制御すると思われている。Powersと Walter(p.1422)は各タンパク質のヌクレオチド特異性を変え、GTPを加水分解する 代わりに、キサントシン3燐酸を加水分解出来るようにした。次に彼らは2つの GTPasesは互いに作用し合い、各タンパク質がもう一方のタンパク質のGTPase活性を刺 激 することを示した。その結果、これは相互GTPase活性化タンパク質(GAPs)として 作用する。GTPases によるこの反応サイクルの制御は,反応サイクルに寄与して いる物質の活性と抑制の両方を物理的に、かつ、一時的に結び付ける。


TRAF 交信(TRAF traffic)

受容体の腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーの一族を活性化させることは炎症反 応を起こすきっかけとなる。TRAF(TNF受容関連因子;receptor associated factor)タンパク質はTNFシグナル伝達に関係する推定エフェクター(修飾因子) である。 Rotheたち(p.1424)は核因子 κB(NF-κB)を活性化させるTNF-R2とCD40のシグナ ル伝達経路中のいくつかのTRAFタンパク質に要求される事項を調べた。その結果、 TRAF2はTNF-R2とCD40の両方のシグナル伝達に必要な共通のメディエイターである ことが分かった。


タイミングの問題(A matter of timing)

マウスの遺伝子の不活性化はバクテリオファージP1のCre/loxP 組換えシステムによる特定のタイプの細胞をターゲットにしていた。Kuehnたち (p.1427)は今回、Mx1マウスの誘導プロモーターを使って、Cre 再配列酵素外来 遺伝子の発現を制御した。Mx1遺伝子はウイルス感染に対して活性化されるが、 インターフェロン(IFN)-α、(IFN)-β、またはIFN誘導体によって、分化された 細胞の中で特定の時期にのみ活性化される。彼らはこの方法を使って、生後8 週間のマウスのDNAポリメラーゼβ遺伝子を取り除いた。この除去作業は肝臓に おいてはほとんど完全で、リンパ球においては、注射の数日後には、ほぼ完全であった 。


動原体においては不可欠(Critical for centromeres)

分裂酵母Schizosaccaromyces pombeでは、動原体(セントロメア)、末端小粒 (テロメア)、不活動な接合型遺伝子座は転写に関して不活動(サイレント) である。swi6+ 遺伝子はクロモドメインタンパク質をコードするが、このクロ モドメインタンパク質はこの酵母の中でヘテロクロマチンを作っている構造 体において転写を抑制し、また、これは、細胞分裂の間、正常な染色体が分離するのに 必要である。 Ekwallたち(p.1429)はswi6+タンパク質が動原体、テロメアとサイレント接合型 遺伝子座に存在することを突き止めた。さらに、彼らはswi6中の突然変異が動原体 を細胞分裂後期の紡錘体に引きずり、その結果染色体が失われることも示した。


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