AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Science July 28, 1995


原人の二本足歩行の歩み (Early steps in hominid bipedalism)

Clarke and Tobias(p.521), 及び、Oliwensteinの解説(p.476)によれば、南アフリカ で発見された4つの原人の足の関節骨から判断すると、2本足歩行ながら、初期の原 人は動きが自由で木登りが出来たようだ。Sterkfontein Member 2による復元された 足の骨は350万年前のAustralopithecus africanus または、他の初期原人に属してい たと思われる。足が2立歩行に適するように進化する過程は、モザイク的(非一様に )であったと思われる。なぜならこの骨は足の先の方は猿のようであり、かかとは人 間の特徴を備えているから。


強い衝撃 (Hard hitting)

砂浜を走る走者は歩を進める毎に瞬間的に砂を圧縮する;この応力はどのように粒状 物質中に分散するのであろうか? Liuたち(p.513)はポリマー粒子にこれと同じ屈 折率を持つ液体を浸し、粒子の散乱を抑えた状態で応力による複屈折を調べ た。その結果、応力分布は一様ではなく、粒子のつながっている方向に最大値を示すこ と が解った。応力の分布は指数関数的であり、粒子の不均一な性質によっても部分的に 強められている。


手軽なゲル重合体 (Handy gel polymers)

ポリマーのゲルは温度や溶媒によって膨張したり縮小するように作ることが出来る。 Huたち(p.525)は上記複数のポリマーが絡み合った触手(ネットワーク)を作った。 これは2つのポリマーの性質の差分に反応して、これが曲がり、変形する。そのため 、例えばゲル触手(gel hand)で物を掴んだり離したりすることができる。


転位を見る (Displaying dislocations)

半導体結晶の中の転位は電子の移動や光電的性質に影響を与えるが、この転位の構造 を観察することは難しかった。McGibonたち(p.519)はGaAs(001)上に成長したCdTeの 60度転位、Lomer転位を画像化した。この像を得るために彼らは Z-コントラスト透過 電 子顕微鏡像を最大エントロピー法で処理した。その結果、いくつかの原子配列は予想 に反した非対称構造を持っていることが解った。このような「モデルを使わない観察 方法」(例えば、X線回折による構造解析法はモデルを利用する方法)の重要性がこ れで理解できる。


整列 (Lining up)

微生物は方解石の様な無機物の成長方向をコントロールすることができるが、これは 強酸性の巨大分子状の有機物ポリマーを利用している。Bermanたち(p.515)はこれを 真似し、10.12-pentacosadiynoic 酸の上にLangumuir-Schaeferフィルムを置き、方 解石の(012)面を析出させた。ポリマー側のチェインは、成長する結晶に合わせて再 配列すると言う。


タンパク質によるダイエットプラン (Protein diet plan)

マウスの肥満遺伝子の突然変異体はヒトの病的な肥満に似た症状を示す。正常な遺伝 子物質(OB)は体重や脂肪の沈着を調節する内分泌因子と思われる。3つの研究グルー プによると(Pelleymounter たち,p.540;Halaasたち、,p.543;Campfieldたち,p.546 ;Barinagaによる解説記事p.475)組替えOBタンパク質を ob/ob突然変異マウスに毎日投与したところ、見かけたところ何の害もなく体重が20ー 30%も減少した。このタンパク質を正常のスリムなマウスにやったところ、割合は 小さいがはっきりと体重の減少が見られた。OBタンパクは食物の摂取とエネルギー消 費に影響を与えるが、これは両システムを変更 することで体重の調節が可能になるという臨床研究の結果にも整合する。


片方のえり好み (Taking sides)

水和した共役二重結合をカルボン酸にする触媒酵素は反立体化学的な進行をさせる。 即ち、二重結合が作る平面の反対側から互いにタンパク質とカルボキシル基が付加さ れる。一方、水和した共役二重結合をチオエステルに変える酵素はsyn(同じ側)の 経路をとる。Mohrigたち(p.527)は酵素が関与しない並列反応を調べ、チオエステル の水和がカルボン酸に比べより起き易く、酵素が化学的には生じにくい経路を取るこ とについて、著者は偶然説を取っている。


神経細胞中のMHCの誘発 (MHC induction in neurons)

健全な神経細胞は主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラス1分子を発現しない。Neuman nた ち(p.549)は個々に培養したラットの海馬神経細胞内の発現誘導を調べ た。電気的に活性(健全体)な細胞はクラス1分子のどちらの成分についてもほとん ど mRNA を発現しない。電気的に不活性な細胞では制御が厳密でなく、 H鎖のmRNAが生じるか、またはβ2ミクログロブリンのmRNAが生じるかであり、 両方同時に生じることはない。両方のmRNA の発現と 表面での分子の発現をさせる ためには、電気的に不活性な細胞にγインターフェロン処置が必要である。この発現は ウイルス感染で誘発された状態を真似ており、かつ、中枢神経システム病理学の発達に 重 要な意味を持つのかも知れない。


信号へ反応する準備完了 (Ready to respond to signals)

一連のプロテインキナーゼは順番に活性化状態を伝達して行くが、これはマイトジェン 活 性化タンパク質(MAP)キナーゼ カスケード(雪崩現象)として知られており、 細胞表面の受容体からの信号を細胞質または核の目標に伝達する機能である。同様な カスケードが酵母からほ乳類に到る真核細胞においても存在する。Maedaたち(p.554) の発見によれば、細胞外の浸透圧(osmolarity)が増加することで活性化する酵母中の MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)は、2つの異なった刺激信号を受け取ることが出来る。 MAPKKはカスケードの最初のキナーゼ(MAP kinase kinase kinase)か、あるいは、MAP KKが直接(浸透圧センサーと思われている)トランスメンブランタンパク質のSrchom ology-3 (SR3) ドメインと結合するのに必要な第2のメカニズムかのいずれかによっ て活性化されている。


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